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閑話 少女の中に潜むもの
魔女の家で暮らすようになってから、幾度となく見るようになった、夢の話。
重い瞼を開くと、そこは爆心地。崩れた影はワルツを踊り、壊れた蛇口は口を開けたまま眠っている。
「まるで、世界の終わりのようでしょう?」
真鍮製の嘴をかたかたと鳴らしながら、真紅の猛禽が微笑んだ。まるで私を取り囲むように―私が力尽きる瞬間を、待つように。周囲には、無数の鳥たちが留まっている。
「時間も、空間も、ここでは燃え尽きるだけ」
相変わらず、鳥はよく喋る。最近になって、よりそう思うようになった。
「夜は明けないし、陽は昇らない。水も、土も、風も、燃えて、燃えて、燃える」
髑髏の虚ろな眼窩が、きらりと光る。
「這い蹲うのは、何故だと思う?」
真紅の鷹は、その鋼鉄の爪で、足元の毛虫を握り潰す。鈍く光る鉄の脚には、品のない金色の輪飾りが括られていた。
「生まれ堕ちたから」
彼女ら—あるいは彼ら—は、翼を大きく羽ばたかせて。
「聳える塔の頂上で、待っているわ」
ふわりと、その巨躯を、宙へ浮かべた。
「月が綺麗なうちに、また会いましょう」
伝えるべきことは、伝えたから—。
そう言い残し、鳥たちは空の彼方へ消えていった。




