表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
水縹に咲く二ロトパラ  作者: 山野悠太
第2部 3章 『月蝕の夜』
97/133

閑話 少女の中に潜むもの

 魔女の家で暮らすようになってから、幾度となく見るようになった、夢の話。


  重い瞼を開くと、そこは爆心地。崩れた影はワルツを踊り、壊れた蛇口は口を開けたまま眠っている。


 「まるで、世界の終わりのようでしょう?」


  真鍮製の嘴をかたかたと鳴らしながら、真紅の猛禽が微笑んだ。まるで私を取り囲むように―私が力尽きる瞬間を、待つように。周囲には、無数の鳥たちが留まっている。


 「時間も、空間も、ここでは燃え尽きるだけ」


  相変わらず、鳥はよく喋る。最近になって、よりそう思うようになった。


 「夜は明けないし、陽は昇らない。水も、土も、風も、燃えて、燃えて、燃える」


  髑髏の虚ろな眼窩が、きらりと光る。


 「這い蹲うのは、何故だと思う?」


  真紅の鷹は、その鋼鉄の爪で、足元の毛虫を握り潰す。鈍く光る鉄の脚には、品のない金色の輪飾りが括られていた。


 「生まれ堕ちたから」


  彼女ら—あるいは彼ら—は、翼を大きく羽ばたかせて。


 「聳える塔の頂上で、待っているわ」


  ふわりと、その巨躯を、宙へ浮かべた。


 「月が綺麗なうちに、また会いましょう」


  伝えるべきことは、伝えたから—。


  そう言い残し、鳥たちは空の彼方へ消えていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ