『またね。』と言うのは魔法の言葉
僕にはお友達がいた。でも実際に目には見えない。そのお友達は夜になった時、僕が瞼を閉じたら現れた。
家族への「おやすみ」がお友達に会う合図。温かいお布団の中に入ってうとうとしたらあの子がやってきた。
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「アキラ!」
あの子は僕をアキラと呼ぶ。でも本当の名前はアキラではない。前に何でアキラと呼ぶのか聞いてみたら何となくだったらしい。
「マサト!」
対して僕はあの子をマサトと呼んでいる。
「今日は何をする?」
「お空を飛んで星を見たい!」
「良いねえ。じゃあ早速行こう。」
いつものように2人で何をするか決めた。
「お空の星、綺麗だね〜。黄色、青色、ピンク色、白色、たくさんの色がある〜。」
2人で隣り合わせになりながら星を眺めていた。
「アキラは何色の星が好きなの?」
「僕はね〜白色!カッコいいから。」
「いいねぇ。僕も白色が好きなんだ。」
「いっしょだね!」
2人で顔を突き合わせて、笑った。マサトは自分に似ていると思うことがよくあった。好きな食べ物は2人ともハンバーグ。嫌いな食べ物は2人ともトマト。好きな色は白色。
(マサトって、もう1人の僕みたいだな。)
そう思った。
しばらく時間が経って現実の世界で起きなきゃいけない時間になった。
「アキラ。もう時間だよ?」
「やだ。まだこっちにいたい。」
僕はマサトに抱きついていた。
「...アキラ。実はね、僕今日で会えなくなるんだ。」
「え?」
「僕、遠くに行くことになったの。さっき見た星くらい遠く。」
「ならもっと離れたくない!何でどこかに行っちゃうの?僕のこと嫌いになっちゃったの?」
「違うよ。」
マサトは僕のことを抱き返して言った。
「アキラのことは大好きだよ。」
「なら!」
「でもね、行かなきゃいけないの。」
なにやら肩あたりに湿り気を感じた。
「マサト、泣いてるの?」
「ごめんね。アキラ。」
(何の『ごめん』なんだろう。)
「アキラには、迷惑かけたね。ごめんね。」
マサトはごめんと言い続けた。
「そんなに言われても、分からないよ。」
「そう、だよね。あ、そろそろ時間ギリギリだね。じゃあ、」
『またね。』
僕はその言葉で目が覚めた。
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僕が寝ていたのは仏壇の前だった。
「もういつまで寝てたの!学校、遅刻するわよ!」
どうやら実際はお母さんの声で起きたらしい。
「ごめ〜ん!」
僕は支度をして学校へ行った。
最近、僕は同じ夢を見ている。マサトと呼ぶ人物が僕と遊んでいる。でもその子は実在しない。周りの人にも聞いてみたけどやっぱり実在しない。自分とよく似たあの子は僕のかけがえのない友達であることはこの先変わらない。『またね。』と告げられてから新しいあの子が出てくる夢は消えた。でも僕は信じている。またあの子とどこかで再開できる日を心待ちにしている。
そして今日もあの子に会えるのではないかと思って瞼を閉じるのであった。
童話書くのって難しい。