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第31話 バフォメット第2形態

更新!

応援よろしくおねがいいたします!


「おい! バフォメット!! お前なにしてんだよ!」


「うるせぇな……あのアークってやつ想像以上に強いんだよ。それにお前から貰った生命力ごときじゃ足りない」


 キーチクとバフォメットは言い争いを始めた。原因はキーチクの思い通りに行かなかったからだ。


 逆に言えば、僕達は勝利まであと少しのところまで来ている。ここで勝機は逃してはいけない。


「せっかく召喚したんだ! なんとかしろよ! お前は魔界でも強い方なんだろ!?」


「……手がない訳ではない」


「本当か!? 早くやれ!」


「いいんだな?」


 バフォメットはニヤリと笑っている。きっと何かを企んでいるのだろう。しかしキーチクはまったく気づく様子もない。


「いいからやれ!」


「召喚者の願いなら仕方ない……それでは失礼して」


 バフォメットはキーチクに向かって腕を大きく上げて、


「は? なにを?? ぐわぁぁああ! お、俺の!! 俺の腕が!!」


 右腕を切り飛ばした。


「痛ぇ……痛ぇ......! どうして俺の腕を!?」


 キーチクは地面にうずくまり呻く。バフォメットは地面に落ちた腕を拾い上げ、食べ始めた。


「うん。美味い」


 バフォメットは意にも介していない。バリボリと骨が貪る音が不快に響く。


「ぉい……!! どぉして、俺の腕を切り飛ばしたんだ!! なんか言えよ!!」


「どうして?? お前が願ったのではないか『なんとかしろ』と。その『なんとか』をするための代償を支払って貰ったまでだ。それに――」


 バフォメットの身体は急激に大きくなった。明らかに力が強くなったのが分かる。


「――召喚者の生命力から力を直接貰えば、元の身体になる。ちょっと呪いでお前の腕は今後治ることはないが気にするな。確実に倒してやろう」


 さらっとキーチクの腕は治らないと言っているが今は構っている暇はない。ここからは防ぐだけではダメだ。攻撃に回らないと。


 これ以上の問答は意味がない。だとしたら戦うしかない。


 僕は【そこそこの木の板(SSS)】を捨てて【ただの木の枝(SSS)】を両手に装備する。


 より速く。より多く。相手に攻撃をするための最適解。


 まだ家から追放される前に僕は数多くの剣術に関する初級スキルを覚えた。それが僕の強み。


「貴様!! 今まで力を抑えていたのか!!」


「抑えていたわけじゃない。みんなを傷つけないように立ち回っていただけだよ」


「それを抑えていたというのだ!」


 攻撃を加える度にドォンドォン!と空気が爆発したような音がする。


「これがアーク君の本気なんだね……お願い。勝ってアーク君」


「す、すごいです……アーク様!! 負けないでください!!」


 ラティとユリナが僕の勝利を願っている。絶対に負けられない。


 それにキーチクは言っていた。この悪魔1体で文明を滅ぼしたと。だとしたらこの王国のためにも負けられない。僕は僕の周りの人間を傷つけられるのを黙って見ているほど臆病な人間じゃない。


「そろそろ終わりだ!」 


「貴様じゃ我を倒せはしない! くらえ! ヘルズフォール!」


 バフォメットは僕に向かって落下の勢いをつけて攻撃してくる。闇の魔力を纏っての攻撃は直感で危険だと感じた。でも、


「避けるなら避けてみろ! もし避けたらこの街の人間は生きてはいけないだろうがな!! ハーハッハッハ!!」


「くっ!! 避けるなんて絶対しない!」


「そうか! なら死ぬがいい!!」 


 僕は落下攻撃を仕掛けてくるバフォメットに対して、全力で攻撃を緩和するために風魔法を全力で噴射する。ある程度の速度でぶつかれば、多少は速度は相殺できるからだ。


 しかしながらバフォメットの方が攻撃の勢いがやや強い。


「初級風魔法……【ウインドダッシュ】! いっけぇぇえええ!」


 僕はふと気づき微調整をしながら落下地点の軌道を変える。そこに僕の勝機があるかとしれない。


「地に足をつけるのが精一杯とはな……恐ろしい人間だ……とはいえ、お前も魔力が限界だろ?」


 たしかに僕は【ウインドダッシュ】を超連発で使った。いくら初級魔法でSSSレアの力でも数による魔力消費はたしかだった。でも……


「そうかもしれないね。何もなければ限界だったかもしれない。でも今はそうとは限らないよ?」


「はぁ……何を言って……ん? なんだここは!! 我の力が抜けていく……まさか!? これは聖水!?」


 バフォメットは大きく息を荒げている。落ちた先は温泉である。


「あくまで聖水に似たようなやつだけど」


 僕が魔法石のレアリティを変更して作り出した温泉の効能は聖水に匹敵するとのことだった。悪魔は神聖力に弱い。賭けでは当たったが弱体化しているようだ。


 それに僕の傷と使用した魔力は温泉の効能によって回復をした。これなら安全に倒せるはずた。


「なんたる屈辱! これで勝ったと思うな……無駄に死を選ぶより、せめて貴様らの魂も巻き込んでやる!」


 バフォメットはそういうと自分の腕で心臓を貫いた。


「くはっ……う、うおおおおおっ!」


 魔力が極限まで小さく圧縮されている。その後、光に包まれて姿を変える。


「我程度では3分しか持たないが、それでもお前を殺すには十分だろう」


 僕はバフォメットが放つ圧に押され、後退りをする。先程よりも強いのが直感で理解できた。


「お待たせして申し訳なかったな。では始めようではないか」


 いったいどうすれば良い。3分耐えれば良いという問題ではない。あまりに戦闘を繰り広げると、結果としてジャポリの街自体に被害が広がってしまう。


 そうなったら、僕がジャポリに来たの、元の状態に戻ってしまう。それだけは嫌だ。


……誰か! 僕に戦える力を授けてくれ!


『魔法石(SSS)のレアリティを再変更できます』


 僕は温泉の元にしていた魔法石に触れていた。


「レアリティの再変更……?」


『魔法石(SSS)をレジェンダリーレアに変更しますか??』

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