表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/56

第3話 レアリティって?


「僕の力が、剣聖よりもずっと強い……?」


「これは本来、王族にしか伝わらない秘密だから他言無用ね。アーク君だから言うけど」


 ラティは立ち上がり、ゆっくりと話し始める。


「私達王族の一部のジョブには『慧眼』というスキルが使えるの」


「『慧眼』?」


「『慧眼』というのは、本質を見抜くことができるの。それが人であろうが、モノであろうが。レアリティはその中の一つの本質。簡単に言うと、この世界にとってどれだけすごいものか簡単に理解できるの」

ラティは話しを続ける。


 どうもレアリティは、大まかに六つに分類されるらしい。


『N……どこにでも落ちてる』

『UN……少し高価なアイテム』

『R……希少なアイテム』

『S……家宝クラス』

『SS……国宝クラス』

『SSS……神話クラス』


 僕が追放されたザマール家の【アダマンタイトソード】はSランクらしい。


『おめでとうございます。モンスター初撃破により能力が解放されます』


 頭の中に青いウインドウが浮かんだ。


 能力というのは一体なんなのだろうと思っている。さらに青いウインドウが続けて表示される。


【ただの木の枝(SSS)】


 と記載されていた。ラティの言っている事は嘘ではないようだった。


 つまりこの世界にはレアリティというのがあって、この【レアリティ変更士】の力は、そのレアリティを変更できるものらしい。だとしたら……すごいジョブなんじゃ……?


「アーク君のジョブ。とんでもないジョブだよ……それこそ世界がひっくり返るような……」


「そうなんだ。このジョブの力で僕はラティを守れたんだね。良かった。本当に良かった」


 世界がひっくり返るかどうかは実感が湧かないけれど、僕の眼の前にいる大事な人を護れるのであれば、僕にとっては十分だ。


「そういう優しいところが、私は好きなんだけどね。優しくて馬鹿みたいにお人好し。でも私はスキルで見た本質を信用して一緒に居たの……卑怯な私でごめんね」


 ラティは本当に申し訳なさそうな顔をした。だけど隠しごとをしていても、少なくとも一つはっきりしたことがある。


「スキルで僕のことを見て信頼していたとしても、僕の事をいつも気にかけてくれるし、仲良くしてくれていたじゃないか。ラティの方が十分に優しいよ」


「私は優しくない……ないけど、そう言って貰えるとなんだか照れるね」


 ラティは目に涙を浮かべて、嬉しそうに笑った。僕はその笑顔を見て、助けられて良かったと心の底から思ったのだが……僕は純粋な疑問が浮かんだ。


「そういえば、どうしてラティはこんなところにいるの?」


「それはアーク君が心配で……この調子だと【剣聖】じゃないから追い出されたんだよね?」


「そうだけど。どうして知ってるの?」


「アーク君の兄……ガイアがベラベラと話をしてたからよ。剣聖だろうがなかうろが、アークを追い出すつもりだって、笑いながら言ってた」


 ラティの瞳は怒りで震えているようだった。僕は幼馴染みで長い付き合いだけれど、こんなに怒っているラティは初めて見る。


「私、あの人嫌い。【慧眼】で見なくても分かる。本当に気持ち悪い。下心が見え見えなの。アーク君の兄じゃなかったら話もしたくもないんだから」


「お兄様はそんなことを……!?」


「だから心配で急いで来たの。結果としてアーク君に助けられちゃったけど。ありがとう。すごくかっこよかったよ」


「本当に無事で良かった……」


 僕は不覚にも照れてしまった。剣聖ではなかったけど、僕はこの【レアリティ変更士】で良かったと思った。未だにこのジョブがよく分からないけれど。ただの木の枝であの威力。これでもし、普通の武器などのレアリティを変更できるのだとしたら……。


 僕は自分が授かったジョブの可能性に胸の高鳴りを感じて、手を握りしめる。


 そのことに気づかせてくれたラティに感謝しかない。


「アーク君はこれからどうするの?」


「いや、極東の地に行くために街に行こうと思って」


「それなら私もついていくね」


「本当に?」


「うん。何かあってもアーク君が守ってくれるし」


 ラティは僕に気を遣わせないために言ってくれているのだろう。やっぱりラティは優しいと思う。


**************


 僕とラティは近くの街に辿り着いた。


 この街しか極東に向かう馬車は出ていない。そもそも極東の地になんて向かう人自体が少ないのだ。


 とはいえ身支度をするには丁度良い。公爵家を追放されて準備できるものは少なかったから。ここで装備や身の回りのアイテムを揃えよう。


「はい。毎度あり」


 僕は道具屋で5シルバーを使って【刃こぼれした剣】1個と【低級ドーピング】を5個買った。


 もしも【レアリティ変更士】でこのアイテムのレアリティを変更したらどうなるのだろう。そんな期待を込めて購入してみた。


 これで残されたお金は4ゴールドと5シルバー。


 お母様が残してくれたお金はなるべく使いたくないのが本音。馬車の金額も考えなきゃいけない。でもちゃんと用意しないで旅に出るよりマシだろう。


 ラティは先に服屋で服を買ってから馬車を取ってくれるという。身分の問題とか気になったけど『一応、お忍びの格好だし、身分は明かさないから大丈夫』だと言った。


 極東の地には一緒に行けないだろうけど、最後まで良くしてくれて僕は嬉しい。


 僕は道具屋で購入した【低級ドーピング】のレアリティを変更してみた。


【低級ドーピング(N)】→【低級ドーピング(SSS)】


【低級ドーピング】は本来効果時間が30秒しかなく、能力の上昇値が微妙で使用する人は滅多にいないのだが……レアリティを変更した後の【低級ドーピング(SSS)】はどうなんだろう。


 僕は試しに【低級ドーピング(SSS)】を飲んでみた。


「あ、なんか身体が軽くなった気がする」


 でも何が変わったか分からない。どれくらいの効果時間なのだろうか? きっとSSSレアだとすごいのだろう。すこし楽しみになっている自分がいる。


「これはどうなんだろう?」


 僕は【刃こぼれした剣(N)】のレアリティを変更した。


【刃こぼれした剣(N)】→【刃こぼれした剣(SSS)】


【刃こぼれした剣】のレアリティを変更しても【刃こぼれした剣】のままだった。そこは別に刃こぼれが直るとか、そういうものではないらしい。見た目も一切変わらない。


 僕は布で剣を覆うと、馬車を取ってくれているラティの元に向かうことにした。


 道具屋から馬車までは歩いて五分くらいの距離である。アイテムのレアリティを変更してみたとはいえ、ラティを待たせているかもしれないので少し急ごう。


 僕は早足で馬車乗り場に繋がる角を曲がると、


『あなた達!! 恥を知りなさい!!』


 ラティの怒号が聞こえた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
☆★☆新作のハイファンタジー作品を公開しました!めちゃくちゃ面白いので是非是非ご覧下さい!!★☆★

https://ncode.syosetu.com/n8050jh/ ざまぁ確定の悪役貴族に転生した俺が、最推しのラスボスヒロインと結婚することになったので原作知識をフル活用して幸せになります~なお、嫁を馬鹿にした勇者は俺の敵じゃありません~

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ