第13話 決着、クイーンビッグアント
「初級剣術スキル【4連撃】……!」
僕は【ただの木の枝(SSS)】をレアリティ変更でSSSにした初級剣術スキル【4連撃】で青のウォーリアアントの胴体に合わせて流れるように叩き込む。
確実に頭、首、脚、胴体を紙切れのように切り裂く。
「こんなに簡単に倒されるとショックを受けてしまいますね……」
「やっぱりアーク君には敵わないなぁ……好き」
スカーレットさんは僕を見て肩を落として、ラティは目をうっとりとしている。ラティは思ったよりも元気そうで良かった。
残りはクイーンビックアントを含めて3体もいる。頑張ったラティとスカーレットさんのために、早く倒してしまおう。
僕は全力で残り2体のウォーリアアントに近づいて【4連撃】を叩き込む。声を出す前に二体のウォーリアアントはバラバラになって地に伏せる。
『KSYAAAAA!!!』
クイーンビックアントの声には怒りが含まれている。残るはこいつだけだ。
「えいっ!!!」
僕は足に力を入れて勢いよくクイーンジャイアントアントに向かって飛ぶ。
クイーンビックアントは顎を僕に叩きつけるが、僕はその攻撃を横に受け流して【ただの木の枝(SSS)】を勢いよくクイーンビックアントにスキルと共に叩き込む。
「初級剣術スキル【4連撃】×3……!」
『KSYAAAAA!!!』
レアリティをSSSに変更した4連撃×3……つまり僕はクイーンビックアントに【ただの木の枝(SSS)】を12回叩き込む。
するとクイーンビックアントはウォーリアアント同様、バラバラになって倒れた。
「これで解決っと」
僕は一息吐いて、ラティとスカーレットさんの方に向かう。
「冷静にアーク様にお任せすれば良かったですね。申し訳ありません」
「いえ、そんなことないです。むしろ、ありがとうございます」
スカーレットさんは苦笑しながら僕に頭を下げる。今回イレギュラーはあれど、死者を出されなかった。死者が出ると街の皆の雰囲気が暗くなっていたかもしれない。大事に至る前にスカーレットさんが助けてくれて本当に良かった。
「アーク君は本当にすごいね」
「ちょっ、ちょっとラティ!? どうして僕に抱きついてるの!?」
「だって、そこの女の子達を避難させる時にアーク君だって抱いたんでしょ?」
ラティは僕に抱きついたまま、未だ意識を失っている女冒険者達に視線を向ける。
「いやいや、さすがに言い方に語弊があるって」
「細かいこと気にしないでって」
「あっ、そういえば!」
僕はふと思い出す。
「この魔法石って持って帰っていいですか?」
スカーレットさんは優しそうな笑みを浮かべる。
「えぇ、もちろん構いませんが……ただ大きさによっては魔法石を持ち帰るのが大変になりますけど」
「分かりました。それでは少しだけ持ち帰りましょう」
僕は【刃こぼれした剣(SSS)】の柄で魔法石を叩く。
すると大きめの魔法石の原石が取れた。
僕はあらかじめレアリティを変更しておいた【ただの麻袋(SSS)】の中に収納する。麻袋より大きいけど、まだまだ全然入りそうだ。
「ちょっと待ってください!? なんですかその麻袋は!?」
「えっと……ただの麻袋ですけど……」
「ただの麻袋が袋より大きな魔法石を入れられる訳ないですよね!?」
「たしかに少し空間が広くなっていますけど」
「少しどころじゃないですが……?」
スカーレットさんの口角が引き攣っている。この麻袋便利なんだけどなぁ……。
「さすがアーク君ね!! これだけ多くの魔法石が採取できるようになれば、表彰ものだよ!! これでパパに良い報告できるわ!! これで結婚するって言っても良い顔するわね!!」
そんな僕の内心も知らずか、ラティは喜んでいる。まぁ、ラティが嬉しそうだし……いっか。
「じゃあ戻ろうか」
そうして僕達はジャポリの街に帰還した。
******
ジャポリの街の領主になって一週間が経過した。
あの後、僕はみんなの手伝いもあり、ひたすら魔法石を採取した。
街に残っていた【ピッケル(N)】を10本ほど【ピッケル(SSS)】にレアリティを変更したおかげで、作業自体はとても楽に進んだ。採取したものも【ただの麻袋(SSS)】にひとまとめにしたお陰で採取量も増えているのだが……。
「魔法石を採ったはいいけど、どうにかして売らないと……」
僕は領主の部屋の机で頭を抱えていた。
エドワードさん曰く、この街に商人が来るのはあと一週間くらいだと言う。これでも運が良い方らしい。
ジャポリの街近辺を支配していたライザは僕が倒した。
その情報もギルドを通じて周知してくれているから、ジャポリの街の来てくれる商人も増えることを期待しているのだが、なんにせよここは僻地だ。
あと一週間でできることを考えた方がいいのかもしれない。早く街の人の心労を減らしたい。
「アーク様、今よろしいでしょうか?」
ノックと共にエドワードさんが部屋に入ってくる。
「実は一週間後に訪れるはずの商人がこちらに訪れおりまして……今から面会頂けないでしょうか?」
「本当ですか!? すぐに行きます!」
僕は準備をして応接間に向かう。僕はその商人と交渉をしないといけない。僕は緊張で鼓動が早くなるのを抑えて応接間の扉を開いた。
よければ画面上にありますブックマークボタンを押して頂けると続きを追いやすくなりますのでぜひ!
【東田からのお願いです】
・面白い!
・続きが読みたい!
・更新応援してる!
と、少しでも思ってくださった方は、
【広告下の☆☆☆☆☆をタップして★★★★★にしていただけると嬉しいです!】
皆様の応援が東田の原動力になります!
何卒よろしくお願いします!