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第11話 アリの巣への突入

【ファイアーボール(N)】→【ファイアーボール(SSS)】


 僕の指先に巨大な炎の塊が球状に生成される。これをビックアントの群れに叩きつけた。


 ズドォォォオオオン!!


「なっ!?」


 するとビックアントの群れは霧散し、大地は焦土と化した。大地は赤く熱してジューという音が所々から聞こえてくる。


 思ったとおりこのレアリティ変更士はスキルにも影響するようだ。


「これがファイアーボールだって!? どう見たって最上級の魔法スキルじゃないか!?」


 スカーレットさんは驚きを隠せていなかった。


 僕はスカーレットさんの方を向いて答える。


「いえ、初級魔法のファイアーボールです。僕は初級魔法……いや、初級スキルしか使えないんです」


「す、すごすぎる……初級魔法でその威力……これで中級以降を覚えたらどうなってしまうんだ……」


 スカーレットさんは戦慄した表情で僕を見ていた。


 僕も興味がある。中級魔法スキルを覚えるには時間がかかるかもしれないけれど、いつかラティに教えてもらおう。


 スカーレットさんは僕に膝をついて、頭を下げる。


「新領主様。先程までの御無礼、許されないとは存じますが謝罪させて下さい。そして改めまして、自警団団長スカーレット・シスコが新領主様にご挨拶奉ります。以後、スカーレットとお呼び下さい」


「あ、はい。気にしてないので、大丈夫ですよ?」


「なんという、ご寛大な御心……! 今後自警団は新領主であるアーク様の下で働かせて頂きます!」


「えっと……助けてくれると僕も嬉しいです」


 僕は苦笑してしまった。今までモンスターから街の人を守っていたのは、この人達なのだ。

ジャポリの人達を苦しめていたライザという男は僕が倒したけれど、領主としての僕はまだ右も左も分からない。だとしたら今後助けてもらうのは新領主である僕の方なのだ。


 スカーレットさんは僕の事を真っ直ぐに見つめている。時折、首を横に振って葛藤しているようにも見える。


「しかし……いや、アーク様なら……」


 何か僕に言いたいことがあるのだろうか? 可能であれば手伝ってあげたい。


「あの、僕にできることがあればやりますよ??」


 スカーレットさんは安心したような溜息を漏らして嬉しそうに話を続ける。


「本当ですか!? 実は、ご相談があるのですが……」


「は、はい……」


「クイーンビックアントというビックアントのボスがいるのですが、こちらの討伐をして頂きたいのです」


「クイーンビックアント??」


「はい。このボス個体を倒すことができれば、少なくとも数年の間、モンスターウェーブは起きなくなります。ただ……私どもの実力では全滅は免れないものでして」


「そのクイーンビックアントを倒したら、街はしばらく平和になるんですよね?」


「はい。少なくともビックアントの脅威は少なくなります」


「それなら、やりましょう」


 それで少しでもジャポリの街が平和に近づくならやらないという選択肢はない。


「あ、ありがとうございます!! それではご案内致します……!」


「もちろん。私も行くよ?」


「ありがとう。ラティは僕が守るから」


「さすがアーク様。エドワードはとても感動しております。アーク様の強さであれば間違いなく討伐はできるでしょう。もちろん、このエドワードもお供させて頂きます」


「ありがとうございます。ですが、エドワードさんは街にいて指揮を執ってください……誰もいないのは心配です」


 もしも僕がいない間に何かが起きた時、エドワードさんがいれば安心できる。


「くっ……! 残念ではありますが承知致しました……ジャポリの事はこのエドワードにお任せ下さい」


 僕はエドワードさんの言葉に頷いて、


「では早速向かいましょう」

 

 そうして僕達はクイーンビックアントの巣がある洞窟に向かった。


**************


 僕達はビックアントの巣がある洞窟にたどり着く。


洞窟の中では無数に蠢くがそんな事は関係ない。僕は【ただの木の枝(SSS)】でビックアントを斬り伏せた。


 鉄の盾すら噛み砕く、鋭いアゴだろうが関係ない。ただ【ただの木の枝(SSS)】を振るだけで倒せる。


「アーク様。本当は剣士系のジョブなのでは……? いや、剣士系のジョブならあんな凄まじいファイアーボールなんて撃てないか……」


 スカーレットさんは僕がビックアントを倒しているのを見て困惑していた。


「それにしても、アーク様は本当にすごいですね。特に初級剣術スキルとはいえ、洗練されているのが良く分かります」


「まだまだですが……剣術スキルは特に頑張って修練していたので……なんか照れますね」


「まったくアーク様には敵いませんね。普通なら一人でビックアントを倒せるならば、自身の実力を驕ってもおかしくないですのに」


 スカーレットさんは苦笑している。でも事実、僕はまだ初級スキルしか習得していない。今後は中級スキルも取得していくつもりだ。【レアリティ変更士】の力に頼らなくても強くなる努力はするべきだと思うから。


「この奥の空間にクイーンビックアントがいます」


 僕達は大きい道を移動し、一番奥の広い空間に入った。


 クイーンビックアントがいる空間だ。そこは壁全面が青い結晶で覆われて青く光っている。


「これは!! 魔法石じゃないか!?」


 それを見たスカーレットさんは声を驚きの声をあげた。

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