表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

或る雨の記憶【Black】



結局のところ、人生にも生まれたこと自体にも、意味なんてないんだよ。



人間って不思議だよね。どこにだって意味をつけたがる。



名前、存在、思考、出会いにすらだってそうだ。



君がもし、俺と出会った意味を探しているなら、俺は今すぐここから立ち去るよ。


まだコーヒーは温かいけど。




でもさ、意味はないけど、残るものはあるよね。


生きていると、どうしたって何かを作って、それが色々なところに回っていくじゃない。


君たちみたいな『物』を作る仕事をしてなくても、さ。




例えば?


そうだなー。


母の日にプレゼントするお手伝い券とか、開拓地とか、改良して効率化した会社のシステムとか?


そうそう、日報入力の簡略化とかね。


全部俺には経験ないけど。


驚く場所じゃないよ。君には俺が立派な会社員にでも見えてるの?




だからさ、幸運にも長い時を経て尚も残ったものを、保護ていきたいと思ったんだ。




残念ながら誰かが受け継いでいかないと、どんな知恵も名作も朽ちてしまうからね。




そうやって残されたものが、いつしか誰かのアイデアの種になって、更に優れたものが生み出されると思うと、感動すら覚えるよ。


はははっ、そう。かつては俺もそのうちの一人だったかもね。




意味なんていらない。けど、どうせいつか宇宙がなくなって全てが無になってしまうなら、束の間に皆で楽しい夢を見たいよ。





それが修復師を目指したきっかけかな。





あっ、雨だ。また天気予報が外れたね。


ソレ。濡らしちゃまずいし、車で送るよ。


大学でいいんだよね?


ああ、急いで飲まなくていいよ。


君といると、とても居心地がいいんだ。


もう少しこうしていよう。




コーヒーもまだ冷めてない。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ