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小さいおじさんの独り言  作者: 田澤 邑
12/12

人間観察

 公園に人間観察に来た小さいおじさん

 どうも、小さいおじさんです。

 今日はいつかの公園に来ています。

 前回までの事を反省して今日は人間観察に徹しようと思います。

 相変わらず私の事が見える人間はまったくいないようです。

 今も公園のベンチで私の隣に私に似た格好をした人間の大人の男性が座っていますが男性は下を向いたまま全く反応しません。


 遠くでこちらを井戸端会議する主婦たちがチラチラ見ながら話していますが私が見えている様子はないので隣りに座っている男性の事を見ているようです。


 知り合いなのでしょうか?


 その他にもこの公園には色々な人がいるのですが誰一人私に気づいてる様子はありません。


「ちょっと、待って!急にどうしたの⁉」

 そんな事を考えていると遠くから人間の女性の声が聞こえてきました。

 見るとどうやら散歩中の犬が突然走り出してしまい大型犬なので抑えきれないようです。

 微笑ましい平和な光景です。


 などと考えて呆けているとその犬はどんどん私に近づいてきました。

 どうやら、その犬は私に気づいてこちらに向かって走ってきているようです。


 私はこのままでは危ないと慌てて逃げ出しました。


 公園の中の林に入り込み木陰から犬の様子を(うかが)うと犬はキョロキョロと辺りを見回して私の事を見失っている様子でした。

 まったく、飼い主が飼い犬に引きづられてとっさの時に抑えきれないようでは困ります。


 そのまま、しばらく犬に見つからないように隠れていると、また遠くから今度はドッドッドッドッ!と低い音が聞こえてきました。

 今度は何事かと顔を覗かせて音のする方を見てみると前にカラスに連れ去られた人間の事に詳しい仲間が革ジャンと皮のズボンを身にまといハーレーに乗ってこちらに近づいてくるではありませんか。


「よう!久しぶりだな!」

 彼は私のすくそばに停車するとヘルメットを取り片手を上げて声をかけてきました。

「その格好はどうしたんだ?それにそのバイクも……」

 私がバイクを指さしながら聞くと彼はニカッと笑い。

「気づいたらこうなってたんだ。近くに私たちをこういう風に想像した人間がいたんだろうな!じゃあな!」

 それだけ言うと彼は再びヘルメットを被りハーレーで猛スピードで走り去って行きました。


 走り去っていく彼の背中を見ながら私は自分だけが取り残されていくような不思議な感覚を感じました。

 小さいおじさんの独り言はここで一旦終了です。

 また機会があれば続きを書くかもしれません。

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