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異人  作者: 蒼蕣
26/59

会話

女とは一体どういうものなのだ?

また連絡するからという言葉はお世辞ではないのか。

本当に二時間後にショートメッセージを送ってきた。

私は施設では携帯を持たなかったし、社会に出てからはメールのやり方を教わったくらいで、携帯のショートメッセージ機能を知らなかった。

そのためこんなに便利な機能が携帯に備わっていることにひどく感動した。

電話番号を交換したのだから、電話がかかって来るかと思いきやメッセージ。まあ今すぐ返さなくてもいいという点で考えればこっちの方が楽か。

使用方法も簡単だと言いたいが、パソコンもろくに使えない私にとって、ローマ字打ちでメッセージを送るのは非常に困難を極めた。

施設では女はいなかった。なんでも、女性は犯罪計画者育成所で犯罪を学びながら、子供を産むのが任務なんだそうだ。

つまり今後はわざわざ見込みのあるやつを社会から攫って来なくても済むというわけだ。

彼女らにも卒業試験や昇格試験があるのだろうか。

なぜあんな昭和初期のように男女別々で教育を受けているのだろう。

確かに寝床は別々にしていいとしても共同スペースは男女共有でもいいのではないかと今更ながら思う。

やはり女性視点の犯罪計画というのも世の中には必要ではないか。

—最近どう? うまくやってるの?—

そう言われてもついさっき会ったばっかだ。

なんと返事をすればいいんだ。

—はいー

—今何してるの?—

—普通の会社員ですー

私が今の短い言葉を三分近くかけて送信しているのに対し、彼女の返答はほんの数秒で帰ってくる。

—へぇ。そういえばさ、なんで突然引っ越しちゃったの?—

これは正直に言うべきなのだろうか。

いや、本当のことを言って信じてもらえるとは到底思えない。

—まあ父の仕事の都合でー

適当に返事をする。決してこっちから詮索はしない。

すると相手も私と話すのはつまらないと感じるのだ。

人と会話するのを嫌う私にとってはいい手だと勝手に思っている。

コミュニケーションは自慢の言い合いだ。

それに相手が共感してくれれば、なお幸せに感じる。

しかし、私は相手の質問に対し、ただ単調に答えるだけなので、相手が自慢するチャンスがない。

きっと私にも何か質問してほしいと相手は思っていることだろうが、私には興味もない。

きっと私と話が釣り合うのは、自分の言いたいことをひたすら話してくるマシンガントーカーぐらいだろう。

彼女もまたすぐに飽きるだろうと思っていたが、彼女は私を質問攻めにした。

流石に無視するわけにもいかず、私は彼女の質問を一つ一つ丁寧に返した。

—長く話し込んじゃってごめんね。明日も出勤するよね。じゃあまた。今日克くんに会えて嬉しかったよ。—

ようやく、終わりが来た。

私はーありがとう。じゃあまた。—と打った。

質問攻めにあってから四十分近く経っていたが、なぜかあっという間に感じた…

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