登場人物、悪魔紹介
こちらの回は人魔大戦 近所の悪魔殺しをもっと楽しめるよう、フレーバー要素を紹介するために投稿した回です。
天原 翔
高校一年生。幼馴染の親友二人と同じ高校に進学したはいいが、合格点ギリギリの合格だったため、学校の授業ではとても苦しんでいる。
祖父の教育の一環で始めた剣道の腕前は大人も顔負けの実力だが、大吾とのルール無用の立ち合いを繰り返していたことで、試合形式の剣道ではいまいち実力を発揮できないでいる。そのため、幼馴染二人のように推薦入学を勝ち取ることが出来ず、中学最後の一年は受験勉強で地獄を見た。
家族は父親を残して他界しており、存命の父親も翔が生まれて間もない頃に別居してしまっている。しかし最低限の義理立てか毎月生活費は振り込まれているため、そこまで不自由することなく生活出来ている。
■の悪魔との契約によって、悪魔殺しとなったことで魔力で形成された木刀を生み出す魔法を得た。初めは左右両手に通常の木刀と同質の木刀を生み出すことしかできなかったが、剣の魔王凡百のハプスベルタとの戦いで、木刀を強化したり様々な魔法をかけることができるようになった。
神崎 姫野
日本の魔法界をまとめる組織、日魔連の人魔大戦対策課に所属する少女。
降神教と呼ばれるカルト宗教で生贄の一人として生まれ育てられたため、一部知識を除いてほとんど常識を学ばぬまま成長を続けてしまった。
大熊に保護されてからの数年間で最低限常識の勉強をすることが出来たが、長い時間を過ごしていると怪しい行動や言動が出てきてしまうことがある。
現在は翔達と同じ高校に在学中。こちらでもたびたび常識外れの行動や言動をとってしまうようだが、天然だと思われており、周囲からの反応は悪くないようだ。
元々彼女は神々に捧げる生贄として生まれた命であり、どれだけ大熊が手を尽くそうとも13歳から15歳までの間に神々の我慢が効かなくなり、いずれかの神にその存在の全てを奪われてしまうはずであった。
しかし反骨心の塊ともいうべき■■の悪魔との契約によって彼女の人生は変わった。
悪魔殺しとして人間でありながら後天的に魔力を獲得することが可能になったため、16歳となった今でも彼女は生き続られるようになった。ただしその生は悪魔と戦い続けることによって保障された、薄氷の上を歩くが如き生である。
悪魔殺しとなってその命の価値を押し上げることが可能になった彼女は、神々と交信し、対価を渡すことで彼らの魔法を限定的に使用すること可能になった。
彼女はあらゆる神の魔法を使いこなす才能を持った人類の至宝であり、その境地に到達した人間は彼女を除いて存在しない。
岩国 大吾
翔の幼馴染その一。実家から一番近い高校という理由で高校を受験したため、たびたび補習に参加させられている。
推薦を勝ち取った肝心の部活の方も、顧問から実力差がありすぎて他の部員が自信を無くしてしまうと言われ、大会当日のみ参加する幽霊部員のようだ。
武道の実力は、実家の道場で幼い頃から様々な流派の実力者と手合わせしてきたことから身に付いたものであり、特に徒手空拳は木刀を持った翔と互角の戦いを繰り広げることができるほど洗練されている。
ただし、失敗と経験を積み上げて強くなっていくタイプのため初見の戦法にはめっぽう弱く、奇抜な戦法を翔が仕掛けてきた場合は、対応を誤り痛い目に合っている。
結城 凜花
翔の幼馴染その二。元々高校を受験するつもりはなく、中学卒業後は恵まれた華道の才能を生かして小銭を稼いで遊びつつ、お金が無くなったらまた稼ぐという場当たり的な生活を計画していた。
しかしギリギリで厳格な祖母に計画が露見。表向きは華道の推薦入学として半ば無理やり入学させられてしまった。
勉強は興味がないためやる気も無い。おまけに高校に行く気も無かったため、三人の中では一番悲惨な点数を取っている。
実家は江戸時代から続く華道の名家。幼い頃から華道で名を知らぬ者はいない祖母と母によって教育をされてきたが、永い家の歴史の中で一番華道に対してやる気がなく、そして幸か不幸か初代さえしのぐほどの才能を持っていた。
その才能をどうにか生かそうと二人は凜花を厳しく育ててきたが、よその家の情報が簡単に手に入るこの時代。実家の教育が厳しすぎることに気付いた凜花が、幼馴染達と遊び惚けるようになるまでに時間はかからなかった。
それでも万が一実家から追い出されることが無いよう、コンテスト等に徹夜で作品を作って応募しては結果を出してしまうため、二人は本当に腹立たしく思っている。
大熊 源
とある功績から日本の魔法界をまとめる組織、日魔連の人魔大戦対策課の課長に就任した。普段は発言権の無いお飾りの部署であるが、人魔大戦においてのみ、日魔連のトップと肩を並べるほどの発言権を得られる立場にいる。
実家は寺。そのため通常なら自動で仏閣派に組み込まれるところだったが、彼の実家が魔法の魔の字も知らない末端の家だったため、このような立ち位置に収まった。
見た目が横にも縦にも大きく、おまけに脂肪の無い筋肉質な肉体であることから文字通りの大熊と揶揄されることが多い。
性格は困っている人間がいたら、仲が悪い程度の相手であれば手を差し伸べるほどのお人よし。その性格ゆえに他人の問題まで抱え込みすぎて苦悩している姿は、日魔連でもよく目撃されている。
常に悪魔殺しである翔と姫野を気にかけており、彼らが日魔連の他の派閥によって拉致されたり望まぬ力の行使を求められたりしないよう、戦いの裏側で必死に根回しを行っている。
二階堂 麗子
日魔連の人魔大戦対策課に所属している構成員。普段の仕事は日本だけに限らず、世界の事件や事故、怪奇現象などをかき集め、その情報の中から悪魔の正体や特徴を探る裏方作業を行っている。
上記の仕事に加え、大熊と外出した時は秘書として、事務所に残った時は課長代理として、そして戦いで傷ついた翔や姫野の身体やメンタルのケア等、まさに万能の働きをしている。
彼女が日魔連に所属したのは、大熊が人魔大戦対策課の課長に就任した時と同時期。それまでの間、彼女が何をしていてどんな生活をしていたかを知るものは、日魔連の中でもごく少数である。
一応魔法は使えるようだが、彼女自身はほとんど魔法を使わない。しかし、彼女が傍にいる時は大熊が物を壊す頻度が極端に減るため、相当な実力者ではと噂されている。
猿飛 健治
日魔連の人魔大戦対策課に所属している構成員。普段の仕事は悪魔が関与した疑いのある地域の調査と、悪魔本体に対する斥候任務。
元々は仏閣派と同じ日魔連のトップに君臨する派閥の一つ、隠形派を導く立場の直系の一族として生を受けた。
しかし、生まれつき魔素を吸収して魔力に変換する機能に異常が発生し、逆に体内の魔力の方が周囲の魔素と同様の物に変換されてしまう病、無染病に罹っていることが判明。一族の汚点として秘密裏に育てられてきた。
10歳を超えた頃から合法的に始末できるよう散々危険任務に送り込まれたが、全てで生存。
そのため殺すことを諦められ、大熊とのパイプ役として表向きは隠形派を破門されたことにして送り込まれることになった。このことは裏の理由も含めて大熊は承知しており、それでも人の好さから裏切られたら仕方ないとして、他の仲間達と分け隔てなく接している。
どんな任務でも生き残ってきたその生命力は群を抜いており、即死しなければどんな悪魔相手でも生き残るのではと言われている。
悪魔陣営
言葉の悪魔 音踏みのカタナシ
飄々とした翁面に老人姿の一一。十二単のオカメ面に婦女の姿を取る二言。二体の影に隠れて暗躍を行う黒子の三寸の三体の眷属を操る悪魔。
本体は三寸の拡声器に化けたまま自身の魔力を極限まで減らすことで、存在を誤認させたまま戦いを行う。
本来であれば姫野との最終決戦の際も一一と二言が姫野を足止めし、三寸の魔法が完成するまでの時間稼ぎを行うつもりであった。
しかし、日魔連に早い段階で存在を気付かれたこととニンゲン側に協力者が現れたこと、おまけに翔というイレギュラーが発生したことによって、螺旋型魔法陣完成に執心してしまった。
そのせいで一一を失い、戦いにも負けた。試合に勝って勝負に負けた典型かもしれない。
使用魔法
契約魔法 遊言
眷属及び本体のカタナシが主に用いる魔法は、数代前の言葉の魔王、童心の根源魔法。
彼女の発する言葉によって様々な効果を発揮する魔法である。汎用性の高さゆえに敵対悪魔達の攻勢が無くなった彼女の時代の言葉の国は隆盛を極めた。しかし、真名の如く童心そのものであった彼女は国を束ねる王としての才能は無かった。
後の時代に言葉の悪魔達によって5つに大系化され、その内の駄洒落に関する遊言 連。回文に関する遊言 回。落語等の長文をまとめた遊言 論の三つを使い、相手を追い詰める。
召喚魔法 生き人形
一一、二言、三寸と名付けられた眷属達を生み出した魔法。
精巧な人型の眷属もしくは使い魔を制作することができるが、いずれも表情を変えることが出来ず、肉体も人形そのもののため、触れられてしまうとすぐに正体が露見する。
構造ゆえに宙を闊歩することが出来るが、こちらも空を飛ぶというよりは気球のように空に浮かぶといった表現の方が正しいため、空中戦には向かない。
このような欠点のために、主な使用法は人ごみに紛れて情報収集を行ったり、戦闘時に囮に使うことが多い。
契約魔法 螺旋型魔法陣
太古に存在した供物の悪魔、呪怨によって生み出された根源魔法。
螺旋を描くように外側から魔法を発動することで、完成した時に魔法陣内部にあった魔素全てを自分の魔力に変換することが出来る大味な魔法。
完成した時のリターンが莫大なものであるという反面、多くの厳しい制約が課せられているため露見しやすく、妨害されやすいといった弱点がある。
またその特徴と危険性ゆえに知名度も高く、魔法陣系統の契約魔法を学ぶ魔法使いが手始めに教わる魔法の一つとしても有名である。
根源魔法 寄席立たず
彼自身を悪魔たらしめる根源魔法。
彼の言葉が物理的に聞こえる範囲にいる相手に、必ず声を届かせるといったシンプルな魔法。
これによって威力や範囲が小さい代わりに汎用性が高いという理由で修得した他の遊言二つと違い、相手に聞かせなければ発動しない遊言 論を自分だけは効果的に使用できるとカタナシは考えた。
だが、悪魔の戦いは刹那の戦い。声が聞こえる距離で悠長に契約魔法を発動しようとしている相手を見逃すはずがない。
ましてや距離を取って戦えば何の脅威にもならないと露見すればなおさらだ。こうして言葉の国でも落ち目の一体となってしまったことで、カタナシは人魔大戦の参戦を命じられることとなった。
剣の魔王、凡百のハプスベルタ
剣の国を統べる悪魔の王。最も強い悪魔が国を治めるというルールもあって、実質的に剣の国最強の悪魔となっている。
容姿はピンクに近い赤毛に深紅の目。頭にはハンチング帽を被り、身体は軽装のゴシック式騎士鎧に包まれている。
彼女の目的は悪魔になり切れなかった剣達を悪魔へと昇華させてやることであり、そのために死闘を繰り広げることが出来る好敵手と活躍が望める戦場を求めている。
使用魔法
変化魔法 肉体強化
変化魔法をメインにしていない悪魔達に広く用いられる、最もポピュラーな魔法の一つ。
肉体強化の名にふさわしく、魔力を肉体全体に巡らせることで筋力増強や耐久力の向上等が期待できる。
作中最終決戦で翔の一突きをハプスベルタはレイピアを犠牲にして防いでいたが、仮に直撃していたとしても、この魔法のおかげでとても痛い程度で済んでいた。
契約魔法 敗者は軍門に
ルネサンス初期の時代に存在した略奪の悪魔、零落の根源魔法。
敗北を認めた魂を術者の魔力で完全に染め上げ、異空間に幽閉する契約魔法である。
本来の用途は、全てを奪った敗者をその都度異空間から引っ張り出し晒し物にするための魔法だった。
けれどもハプスベルタは、この魔法に別の可能性を見出した。彼女は契約した武器達を最低限の魔力消費で魂へと収納し、彼女の望んだタイミングで出現させるようにしたのだ。
実質的にハプスベルタそのものである剣達は、彼女が望んだタイミングで出現させ、望んだタイミングで中へと戻せる。剣達が願うは未来。完全なる個として独立する未来のために剣を捧げるのだ。
凡百達
鯨断ち
彼女の身の丈の倍以上もある極大剣。小さな島国の王がいつかこの剣を振るい、国を守ってくれる英雄が表れてくれることを願い造った国宝。
けれども侵略されるその日まで英雄は生まれず、追い詰められて怒りのままに持ち上げた王を押しつぶすのみで、ついぞ振るわれることは無かった。
だが、最期に持ち上げられた極大剣の姿を見た者達の、もしもこの剣を振るう人間がいたらと思う恐怖心から凡百となった。
アラン
成長途中のバラの意匠が柄にこらされたレイピア。フランスで急成長を遂げていた歴史の浅い貴族の長男の剣。
長男の剣技は天才的であり、急成長したことから恨まれている我が家をきっと守ってくれると期待されていた。しかし、長男は毒によって暗殺されてしまい、ついぞ決闘で使われることは無かった。
もしも実際に振るわれていたら、そう思う他家の決闘者達の恐怖から凡百となった。
都落ち
人類の歴史の中で最も多くの建造物を崩壊に導いた投石器。だが、攻め込まれた者達にとって投石器の違いなど分かるはずもない。
個人が握る武器種であれば間違いなく悪魔に至れていただろうその功績と集めたマイナスの感情は、他の投石器達に分散されてしまい凡百に甘んじた。
根源魔法 凡百たちの鞘
■■魔法。それは英雄達を生み出そうとしながらも、英雄を否定しつくす矛盾の産物。
ただ、だからと言って彼女の思いが偽りであるわけでは無い。彼女の根源は、一度でたどり着けなかった者達に二度目の舞台を用意する。最上だったあの時を切り抜くようにして。
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