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人魔大戦 近所の悪魔殺し(デビルスレイヤー)【六章連載中】  作者: 村本 凪
閑話

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登場人物、悪魔紹介 その三

 今回の登場人物紹介でも、初登場の人物と前回から大きな変化があったキャラクターのみを記載しております。ご不便をかけますが、他のキャラクターについては過去の登場人物、悪魔紹介を閲覧ください。

天原 翔


 ラウラとの訓練とカバタとの実戦によって守りと制圧に特化した新たな奥義、擬井制圧(ぎせいせいあつ) 曼殊沙華(まんじゅしゃげ)を手に入れた。


 また、死者の尊厳を踏みにじるカバタの悪行を目にしたことで精神的に成長し、あらためて悪魔を討伐することの大切さを学び取った。本来ならばそのまま日本に帰還するはずだったが、とある報告を大熊からもたらされ......



擬井制圧(ぎせいせいあつ) 曼殊沙華(まんじゅしゃげ)


 十字型の柵で結界を作り出し、内部に(ただよ)う翔以外の魔力の全てを結界外に押し出す新たな奥義。


 発動に若干のタイムラグがあるが、その分発動すれば内部で相手の魔法を一切発動させない強力な結界となる。おまけに結界そのものにも実体があるため、少々の物理攻撃では破壊されない。


 カバタの眷属戦において、発動基点を手に持つという単純であるが強力な戦法を思いつく。この戦法のおかげで発動のタイムラグを減らしつつ場所もある程度自由が効くようになり、近接戦闘で用いることが出来るようになった。


 欠点は魔力の消費が激しいこと。加えて、生物の体内に存在する魔力まで押し出せないことがあげられる。


 後者の欠点は翔の未熟な魔力制御が原因であり、もし術者がラウラやダンタリアであったなら、相手の魔力を魂ごと結界外に押し出す残酷な魔法へと様変わりしていただろう。


 ただし、創造魔法は良くも悪くも術者のイメージに引っ張られる魔法であり、勝負事は好きでも相手を死に追いやる覚悟は無い翔だからこそ、この魔法の形で収まったのかもしれない。





ニナ・デュモン


 血族と呼ばれる悪魔との混血の一族。幼少期には父と兄を亡くし、母も重い後遺症を(わずら)う。自身も命の危機に瀕していたが、その際にラウラに助けられたことで大切な人を守り切れるだけの強さを求めるようになり、悪魔殺しとなった。


 そのため特段戦いは好きなわけではなく、戦わずに済むならそれに越したことは無いと思っている。


 カバタとの戦いを通してずっと自分を信じてくれた翔のことを少なからず意識するようになった。今は彼にふさわしい女性になるべく努力を重ねている。


 こういった所は良くも悪くも家族依存なラウラの性質を受け継いでしまっているとも言える。


 元々魔力が少なかった上に契約を果たした相手が魔獣だったため、翔の契約時のような新たな魔法の習得は出来ていない。戦闘時の魔法は血族として授かった血の魔法を使用している。


 また、彼女の戦いは常に魔力と血液の残量を気にかけねばならないリソース勝負であるため、他者よりも多くの魔道具を使用することで少しでもリソースの消費を抑えている。


 魔道具の作成者は、同じようにラウラに拾われた悪魔殺しのリリアンとビラル。生化学と魔法の融合品である弾丸や煙幕はリリアン製であり、錬金術で生み出された鳥喰銀蛇(バンクボア)一なる身体と千の鱗(リザードスキンローブ)はビラル製。


 ニナの戦いはまさにこの二人に支えられていると言っても過言ではなく、カバタとの戦いを生き残れたのも二人のおかげと言えるだろう。




使用魔法 血族の魔法


 血族が使用出来る、血の悪魔達の魔法に類似した魔法群。


 他の魔法と同様にこれらも才能によって性能と強さが大きく変わり、血族によっては生涯魔法が発動しない者もいる。つまり、通常の魔法使いとしては落ちこぼれだったニナだが、血族として見れば稀有な才能の持ち主だったのだ。


 ニナの血族としての能力は停止。自身の血液が触れた活性化中の魔力を、問答無用で強制停止させる魔法である。


 発動した停止能力は触れた魔力を赤い結晶体へと変化させた上で、じわじわとその範囲を広げていく。発動中の魔法を止めれば侵食も無くなるが、魔法使いの戦いで魔法を止めるというのは自殺と同義であり、体内に打ち込まれようものなら血液の自然分解が終わるまで魔法の使用は不可能になる。


 人魔大戦とは情報戦であり、魔法使いの戦いはどれだけ相手の魔法を知っているかがものを言う。そのため、奇襲性と致死性が高いニナの魔法は初見殺し力が高く、同世代の翔、姫野、マルティナと比べた場合でも格上に対する勝率は一番高いと言える。






ラウラ・ベルクヴァイン


 軍服に身を包んだ中学生ほどに見える少女。大戦勝者の一人でありながら、下手な悪魔以上に人間のキルスコアを重ねている要注意人物。


 ニナを含めた各国の鼻つまみ者の悪魔殺し達を家族と呼んで傘下に加えており、彼女の家族に手を出して滅ぼされた組織は十を優に超える。


 そんな過激な行動の目立つ彼女だが割と真面目で器用な性格であり、家族や裏切りが絡んでいない案件ならばしっかりと仕事をこなしてくれる意外な面もある。


 大熊と麗子のように、彼女が大戦勝者となったことで強大な悪魔となった相棒の名前はリグ。彼女が一番信頼する家族であり、常に傍を離れない悪い意味での彼女らしさを受け継いでいる悪魔。


 以前語ったようにラウラ自身の魔法は天候によって使用できる魔法が変わる魔法であり、天候を変化させているのはリグの方。普段は彼女のサポートに徹しているが、本気を出せば自分自身だけでも戦える。




使用魔法 悪天候(リアーキンド) 雪模様(ディングフリクト)


 天候が雪の時のみ発動できる変化魔法。


 その能力は魔力や空気といった目に見えない存在を含めて凍結状態へと変化させるものだが、彼女の魔力量ゆえに始祖魔法と遜色(そんしょく)ない射程範囲を誇っている。


 足元を凍らせる、相手を氷の中に閉じ込めるといった攻撃的な使用法はもちろん、自身を凍結させるといった防御能力も持ち合わせており、近接戦闘では華奢(きゃしゃ)な身体を感じさせない無類の強さを発揮する。


 多量の魔力を消費するが、自身を完全な氷へと変化させることで胴体切断状態からの復帰さえ可能。まさしく人類最強の魔法使いと言える。





二階堂 麗子


 日魔連人魔大戦対策課の職員という表の顔を持つが、その正体は過去の人魔大戦で大熊と悪魔殺しの契約を結んだ悪魔。大熊が大戦勝者(テレファスレイヤー)となったことで契約満了となり、今では彼を支える立場についている。


 悪魔殺しの契約以前の階級は魔人であり、自身の魔法ではこれ以上の高みは望めないと悟り、契約の道を選んだ。


 麗子の正体を知っているのは日魔連のトップ五人に他の大戦勝者(テレファスレイヤー)三人とその悪魔、おまけで同僚のよしみとして猿飛と姫野も知っている。


 口が軽そうな猿飛と口を滑らせそうな姫野だが、猿飛は情報が漏れた時点で死ぬ契約を無理やり結ばされており、人外との距離が元々近かった姫野は特に気にしていないようだ。


 悪魔ということで根源魔法に加えて悪魔としての名前も持っており、真名は尺算。大戦勝者(テレファスレイヤー)と契約悪魔のみが知るとある契約によって、現在の所属は大地の国となっている。





モルガン


 ニナの祖父の代からデュモン家に仕える使用人であり、家族全てを失ったに等しい彼女を幼少期から支え続けた忠義者。


 ニナがラウラに保護された後はその恩返しのために様々な仕事をラウラから受け、時には汚れ仕事を、時には後ろ暗い仕事をこなしてラウラの信頼と金銭を集めていた。


 辛い幼少期を過ごしたニナの歪みがあの程度で済んだのはモルガンのおかげ。もしあの夜にモルガンが亡くなっていれば、良くも悪くもニナの性格はラウラそのものになっていた。


 襲撃の夜の無茶な魔力使用が原因で衰えたが、元々は優秀な魔法使いであり今でも使い魔一体程度なら単身で討伐可能。ラウラ発の汚れ仕事をこなし続けてきたせいで、対悪魔というよりも対人間の魔法使いに特化した能力になっている。





50位、血の魔王、血脈のカバタ


 赤を基調とした中世貴族風の衣装(ブリーチズ)に身を包み、育ちのよさそうな笑みを常に浮かべながら、目からは血の涙を流す不気味な悪魔。


 所属国家の血の国はカバタを含めた有力な悪魔、四公によって統治される特殊な国である。四公それぞれで統治形態が異なる上に領土も四分割なため、実はカバタ自身の領土は72位である言葉の国より小さい。


 四公同士はそこまで仲が悪くも無いが良くも無いので、一領土が攻められているだけなら裏切りもしないが力も貸さない。こんな雑な国家運営で滅んでいないのは、領土防衛に特化した回復と傀儡という血の悪魔の特性のおかげ。この特性が無ければ秒で国名が変わっている。


 人間という種族をとことん見下している典型的な悪魔であり、おまけに傲慢。その性格は過去の大失敗と今回の大敗北を持ってさえ治ることは無かった。


 性格は欠点だらけだがそれを補うように知力が高く、過去には血族と呼ばれる人間と悪魔のハーフ種族を作り出し、それらを用いて国民増加計画を企んでいた。ちなみにこの増加国民はもちろん、自分の領土のみで運用するつもりだった。


 上記で四公の仲は良くも無いが悪くも無いと記したが、無様に敗北し血の国の品格を下げる者がいるなら話は別。口先だけで生き残ってきた彼は、今頃そのツケを払わされている頃だろう。



使用魔法 真紅の領土(レッドドーム)


 血の悪魔達が好んで使う結界魔法。内部の環境を血の国に近付けることが出来る。


 一見するとただの結界魔法のように見えるが、この魔法の強みはその自由性。


 血液を補充すればするほど結界範囲を広げられる他、血液だからこそ液体に近い性質で物質を楽に通過させることも、逆に粘性を強めて捕らえることも可能。おまけに形状はドーム状である必要が無く、一点に血液を集中させて突撃を防ぐといったことも可能。


 まさに捉え所の無い結界として、他の国の襲撃モチベーションを下げることに一役買っている。




 血染めの盟約(デッドタクト)


 込める魔力と死体の種類によって三種類の召喚魔法に派生する召喚魔法。元々はカバタ配下の凝血(ぎょうけつ)と呼ばれる悪魔の根源魔法だったが、そのノウハウを得た後に凝血(ぎょうけつ)を謀殺し、簒奪(さんだつ)した魔法。


 本来の能力はあらゆる生体情報を血液に写し取った上で授ける魔法であったが、カバタの力では魔力量で召喚魔法を切り替えるのが精いっぱいだった。


 込める魔力が少ない場合に生まれるのが終わりを知らぬ者達(デッドグリム)。上位者の命令で標的を変える程度の知性はあるが、それ以外は獲物に襲い掛かることしか出来ない数の力で押すタイプの使い魔。


 死体さえあれば作り出せるため、森や山で終わりを知らぬ者達(デッドグリム)を一匹放ってやれば、鼠算式に頭数を増やすことが可能。


 込める魔力が適量で一定の知性を持つ死体から生まれるのが終わりに渡れぬ者達(デッドアロン)。最低限の命令を理解する頭を持った使い魔であり、終わりを知らぬ者達(デッドグリム)を使役することも可能。


 意思疎通や複雑な道具の使用は出来ないが、知性も獣並みにはあるためこの使い魔が一体いれば狩りの効率が格段に上がる。


 込める魔力が大量である且つ一定の知性を持ち、おまけに新鮮な死体を利用することで生まれるのが終わりに連なる者達(デッドネクト)。生前の知識の大半を有しており、道具の使用なども問題が無い、まさに生きる死体。


 生前の知能を完全に有しているため反骨心が強いという欠点があるが、それをカバタは自身の根源魔法でカバーしている。


 そもそも凝血(ぎょうけつ)が生み出したこの魔法の本質は、死した仲間の意思を他の仲間に託すといったもの。カバタの使い方が間違っているのだ。


 彼に欠片でも配下を大切に思う気持ちがあれば、二度の致命的な裏切りは起こらなかったのかもしれない。




 邪儡の血樹(クリファケリル)


 カバタの根源魔法であり、他者をどれだけ踏みにじろうとも自分だけは生き残るという彼の意思が大いに反映された邪悪な魔法。


 分類は契約魔法であり、見た目はカバタの背部を大本として生える、血管のような枝群となっている。


 能力は統合、提供、搾取の三つ。


 第一の統合によって魔力影響下にある全てに枝を接ぎ、第二の提供によって枝から魔力を提供し、第三の搾取によって接いだ相手が得た情報を自身も得るという、三段階によって成り立っている。


 この能力はどれだけ極小でもカバタの魔力が影響していれば発動し、作中ではニナという、血筋によって最初から接がれていた人間の傷を癒したことで、彼女の自由を搾取するという戦術を用いていた。


 血が混じれば無条件で接げる。つまりニナの子孫は無条件で接がれた状態からこの世に生を受ける。


 この特性を利用して、現世の人間に血族の血が広まった段階で顕現(けんげん)を考えていたが、予想外の出来事によって彼の計画は崩壊寸前となった。


 傲慢(ごうまん)さゆえに表情にこそ出さなかったが、あの時カバタはひどく焦っていたのだ。



 枝の長さは自身の魔力量もしくは血液によって伸ばすことが可能で、村一つと森の大半を飲み込んだ結界は、その多くが彼の枝が張り巡らされた二重の結界となっていた。


 また、切り札として大量の血液を犠牲にすることで、自身の肉体を生まれ変わらせるという荒業も使用可能。


 一見強力そうなこの切り札だが、これは苦し紛れの一手にすぎない。


 彼の強みは枝を用いた情報収集で、血液の大量使用は情報収集に必要な枝の長さを犠牲にしてしまう。


 そう、この切り札は使えば使うほど彼の強みが失われていくのだ。おまけに支援特化の魔王がこんな魔法に頼った段階なんて、十中八九詰みの段階である。


 作中では傲慢さゆえに決して弱みとして見せなかったカバタだったが、二人の切り札を見る前に切り札を切らされた時点で、彼の命運は決まっていたのだ。



 そしてこの魔法の性質からも分かるように、カバタの得意とする戦闘は情報収集からの戦線構築によって行われる軍団戦であり、配下が眷属程度しか用意出来ない人魔大戦とは致命的に相性が悪い。


 それでも彼が人魔大戦に臨んだのは深き知性ゆえだろう。


 カバタは自身が魔王としては弱小であることを理解していた。どれだけ指揮能力が高かろうと、どれだけ優秀な頭脳を持とうと、彼には常に代わりに動かす手足が必要だった。


 配下を動かした時点で、それは彼個人の功績ではなくなり国の功績となる。背後で縮こまるだけの王など誰も恐れない。むしろ手足たる配下にすら侮られる。


 悪魔である彼らは眷属達とは違い、枝を接がれていてもその気になればいつでも手折れる存在。生きる糧など自分で生み出せるのだから。


 そんな彼らが反乱を起こさないのは、(ひとえ)にカバタが王のままであった方が都合が良かったから。裏を返せば都合が悪くなれば消されるだけの王、それを彼は理解してしまっていた。


 だからカバタは人魔大戦で配下を求めた。忠実で裏切らない、いざという時に命すら差し出してくれる優秀な配下を。


 だが結果は憐れなものだった。一度目は見下しによって、二度目は純粋な力比べによって彼の野望は砕け散った。


 何度目になるかは分からないが、彼がもう少しだけニンゲンを人間として見ることが出来れば結果は違っていたかもしれない。


 けれどもそれは、配下からすら見下され続けた者に求めるのは酷なことだったのだろう。

これにて今回の閑話回も終了です。


またそれに伴いまして、二章終了時と同様に二週間ほどお休みをいただきたいと思います。


第四章 砂漠に咲く極寒の樹海 開始日は11/20の予定です。


非常に長い章であったにも関わらず連載を続けられたのは、いつも読んでくださった皆様のおかげです。よろしければ次章もどうかお付き合いいただけたらと思います。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 3章まで面白かったです!続き楽しみに見ます!これからも執筆頑張ってください [気になる点] 今更の確認で申し訳なく、目滑りしてたら悪いのですが、人魔対戦は下記理解ですかね ・悪魔の国はそ…
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