本の中身
「見覚えのない文字なのに読めるってのもおかしな話だが…この世界のルールねぇ…管理者とか神様に呼び出されて説明とかじゃないのか」
現状を認めたくないが、異世界転生系は事情を説明してくれた上で送られるもの、という思考があった。だが、それが行われるのは小説の中での事だったらしい。
色々疑問が解消されればうれしいんだがなぁと思いながら、まず世界のルールとやらを知るために、本を開いた。
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本の中身もやはり知らない言語だったが、やはり読めてしまう事にいよいよ声を出して突っ込みたい戸部だったが、その理由は早くに解消された。
曰く、転生者は能力として翻訳機能が自動的に付与される、他人と話す時もこの世界の言語に自動翻訳されるので意思疎通が可能、とのことだった。
また、この世界には人の他にも魔物も住んでいるとも書かれてある。場所によっては魔物ではなく、同じく人として扱われる程知能が発達している魔物も存在しており、その者たちは皆強大な力を持っているとも書かれてあった。
だが読み進めていっても大陸の名前等の記載がない。それにどういうわけか、本の中盤以降がページではなく箱みたいになっている。まるで雑誌とかの付録のように、だけど何も書かれていない。そして箱を開いたりする方法が分からない。
(人がいるとか魔物がどうとかはある程度分かったが、流石に情報が少なすぎるぞ。まさか俺がこの世界になじむまでこの先読めないとかそういう仕様じゃないだろうな?)
等と思いながら箱をつついたりしてみたが、何も起こらない。戸部は色々府に落ちない顔をしながら空を見上げた。
天気がいい。こんな状況じゃなかったらドライブでもしてたんだろうなぁと思いながら無意識に箱に手を置いた。
「お、やっとつながりましたか。」
いきなり脳内に声が響いた。