知らない場所にいる
(ん…朝か…)
今日は夜勤だというのに、結局いつもの時間に起きてしまったらしい。
だが、昨日少し酒を入れすぎたのか、目覚めが悪いような気がする。どうせ夜勤だから2度寝してしまえと寝返りをうった所で違和感に気づいた。
(ベッドの上な感覚じゃない…?それに掛布団もどこに行った…?というかまぶしいな)
もしかして転げ落ちたかと思ったが、それだけだとまぶしい理由が分からない。寝る前にカーテンは閉めたはずだ。
とりあえず確認をしなければと目を開けたが、目の前に広がる光景に唖然としてしまった。
そこは自分のマンションの一室ではなく、木々が生い茂る森?山?ともかくそんな場所の中だった。
「どこだここ…?昨日確かに俺、ベッドにもぐって眠ったよな?もしかしてまだ夢みてるのか…?」
きっとまだ夢の中だ、目が覚めればいつもの布団の上だ、と目の前の後継を否定しようとしたが、それにしては落ち葉や土の感触がリアルであり、夢でここまでリアルなことはないだろうとたっぷり時間をかけて理解してしまった。
そうなると誰かに恨みを買って、空き巣よろしく部屋に侵入されてここまで連れてこられたか、夢遊病よろしくよくわからない場所まで歩いてきたかとも考えた。その可能性も限りなく低い事も理解できていたが0ではない。
それにわからないこともある。服装も部屋着として使っているジャージではなく、うちの国で作りました、とはとうてい言えないような着心地の悪い服装はなんなのか?それに
「妙に腹のあたりに違和感があるんだよなぁ。なんだこれ?」
そう、違和感があった。正確に言えば、腹が気持ち温かく感じるのだ。不快ではない。違和感として感じたのにそのうち気にならない程度のものだ。
何もかもがよく分からない状態だが、体は動くのでとりあえず周りを歩いてみることにした。
よっこらしょと立ち上がり、とりあえず前に進んでみようと思い、そのまま歩き出したが、少し歩いて結局諦めた。
「方位磁石なんて持ってないし、そもそも日本ならこんくらい歩けば何かしら見えるはずなんだがなぁ。わからん。一度戻って別の方向に向かってみよう。」
そう決めて寝てた場所にまっすぐ戻ったのだが、戻った場所に2冊の本が落ちていた。
タイトルがどうみても日本語ではないけど、戸部にはなんと書かれているか理解できてしまった。なぜ理解できたかわからないが、それらの本のタイトルを見た時、朧気ながらも今の状況が非現実のような現実だと理解してしまった。
なぜなら、その本には『この世界のルール』と『魔力の使い方」と書かれていたから。
こっから本番ですどうじよろしゅう