冒険者になる
家に帰ると村が焼けていた。
街に出ている間、魔物の群れに襲われたそうだ。
偶然通りかかった冒険者たちが魔物を追い払ったそうだが、被害は甚大。
村人は十人ほどしか生き残らず、魔物が放った炎が村を覆っていた。
唯一の肉親である祖母も失い、これからどうやって生きればいいか分からなくなっていた。
「おう、青年。ここかい。先日襲われた村ってのは」
一週間は経っただろうか。
そんな日に一人の男が村を訪れて来た。
筋骨隆々。
その一言で表せる体格。
やたらと大きな声。
見た目は野蛮人とも見れる。
そんな男だった。
「俺はアストリオス。屍狩り団って言うギルドの団長をやっている。ここに支部を作りたいんだがいいか?」
あまりにも唐突な提案だった。
村は全壊、生き残った村人たちも近くの農村に雇われて、多分もう帰ってこないのだろう。
彼への答えは一つしかなかった。
「おい、青年。お前はこれからどうするんだ」
がっしりとした大きな手を肩に乗せ、距離を縮めてくる。
「これから。どういうことですか」
「そりゃあ、お前は一人でこの村に残って何とかしようとしてたんだろう?ここに支部建てたらお前は居場所がなくなる。違うか?」
「そう、ですね。適当に近くの村を訪ねてみようかと思います」
荷物を纏めるために小屋へ戻ろうとすると次は頭の上に手が乗った。
「こいつ、このままじゃ死ぬな」
ボソッと呟き、「ヨシっ」と何か言っている様だった。
「アストリオスさん?」
「お前、俺の所に来い。冒険者にしてやろう」
断る理由もなく俺は冒険者になった。
「カイネスです。これからよろしくお願いします」
屍狩り団。
第二の人生が始まった。