異世界生活
異世界に来て早10ヶ月
気温も暖かく過ごしやすい季節だった。
前世で言えば春だろう。
そんな気持ちのいい天候の中、屋敷の前の広大な芝生の上でお茶をすする。
「なあ、ふと思い出したんだけど、俺、金持ってたわ」
「そうなの?まあ今となってはいらないわよ」
「だよなー、一通りの事はこの島の中で完結するし、此処は、元魔属領なだけあってモンスターいっぱいいるし、牛乳あるしチーズもある。おまけに今は日本酒とかワインを作ってる。もう俺何でこの世界着たのかわからんわ」
「それにしても背の高い建物が多くなったわね」
「ああ、何でも電力を今のまま維持し続ける為の施設だとか」
「ふ~ん」
この世界でのこの島は勇者いがい入ったことのない前人未到の領域らしく、この世界で人間に会うのは非常に困難だ。
故に、リエルと二人っきりが長い間続いている。
「本当に、このままだと人見知りになっちゃうよ」
「大丈夫よ、私と話しているし他のここにいる娘とも話してるじゃない」
「いやいや、魔王の娘か機械って、まあ正確には機械じゃないんだが」
「なら良いじゃない。この島と周辺の島を入れればそこらの国よりおおきいのよ?」
「いやいや、広さだけあっても」
「でもあなた、半分以上は使ってるじゃない」
「…そうだな」
「なら必要な領域なのよ」
異世界に来て10ヶ月
異世界らしい生活は最初の数日で終わり、現代風の生活を満喫していた。
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「なあ、今ってどれくらい経ったっけ」
「この屋敷ができてから一年」
「…まじか」
この一年、異世界らしいものは何もしていない。
「このままだと、誰かに見つかるまでこのままだぞ」
「それは分からないわよ?」
「どういう意味だ?」
「一年前に魔王が倒されたなら、この土地の現状を誰も知らない。だったら誰かが見に来るでしょ。勇者とか」
「……まずいじゃねえか」
「まあ私もさっき気付いたんだけど」
「じゃあ、何か?今から俺はここにある全ての施設に不可視化のバフを付けなきゃならんのか?」
「ここが見られて良いなら別にやらなくても構わないわよ?」
「ちくしょう!」
俺はその日、久しぶりに魔法を使った。




