魔王城?
気が付けば、地面の上に寝そべっていた。
「転生、したのか?」
周りを見渡すと、ボロボロの黒い城と、銀色の鎧に身を包んだ中性的な顔立ちの好青年、その子を取り囲むように腕を組む四人の女の子。
その集団の体から、光の細かい玉になりやがて全てが玉になって消えた。
そこに静寂が宿る。
「えっと、これ、俺が魔王とか言わないよな」
嫌な予感がした。
起き上がって、自身の体を見る。
見た目はいたって普通の人間だった。
と言うことはと言うことは、さっきの集団が魔王を討伐した直後の現場?という事ではないか、と思う。
他にも、可能性は沢山あるが、目の前にある、そこそこ大きくボロボロになった黒い城を見るに、そう予測する他ないと思う。
俺、勇者の仲間になるんじゃなかったの?
泰平は、今の状況が非常にまずいことに気付く。
もし、これが魔王城なるものならば、ここは魔界、そんな場所から勇者的存在以外が来るなど、常識的にあり得ない。
あったとしても、魔族的な何かに間違われて、襲われるのが目に見えている。
此は、あくまでも自分の知識の範疇の事だが、決して無いとは言い切れないだろう。
さらに言うと、もしも魔王が倒されたのなら、俺は何をしに、ここへ来たのだろうか。
それは、おいおい考えよう。
とすると、自身に都合の良い。そう、例えばその後の調査に来た冒険者か役人についていって、人間の町を確認し、紛れ込む形で定住し、あたかも最初からいた風を装えばいけるはずだはずだ。
この世界に、俺と似たようなスキルを持っている団体が居るのだから、俺が混ざっても問題ないだろう。
泰平は解っていたなった。自身の力が他より強いのではなく、圧倒的に、強く、文字通りの最強である事を。
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側近で必要なもの、それは住居だ。
だが、ここに住居を構えるのは非常に危険。されど住居は必要。
という事で、早速スキルを使う。
「えーと、先ずは素材だよな」
前世で見た石英をイメージする。
その後に、さっき見た城を再現するように思い浮かべる。
城に強化を付与する。
完成形を思い浮かべて、めを開ける。
そこには、石英で出来た、真っ白な城があった。
後、目瞑る必要無かったかも。
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城は、先ず広場から出来ており、想像した通りになっていた。
生憎と、目の前にボロボロの黒い城があるため、日影が出来ておりあまりよい状態とは言えない。後々どうにかしよう。
城事態は大きいが、敷地が狭くなってしまい窮屈かんが拭えない。
だが、自身の初のスキル使用に、かなり興奮している。
今回は、能力を付与行っていないため、普通の建物より強度がある程度だ。
「さてと、これで当分の居住地が出来た」
一息つこうと座ろうとしたとき、ふと思い出す。
ここは、魔王城の跡地の可能性有り、そんなところに一日で城が建てば大騒ぎになってしまう。
「此は、不味いぞ。かといって建てた物を壊すのも嫌だし」
あれこれ考えているうちに、ふと、思い付いた。
「不可視化を付与すれば良いんじゃね?」
という事で、俺は城に向かって付与していく。
「よし。今度こそ一休みしよう」
そう思いそう思い、その場で座る。
外から自身の作った城を満足げに見ていると、隣から声がした。
「そこの人間、城を建てなさい!」
それはそれはどこまでも上から目線の言葉で、何処までも我儘っぽい声だった。




