表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
98/104

閑話 リッケルトの話

誤字報告、ありがとうございます。

最初の方の直している文を、また間違うとは……


情けないですが、もし、またありましたら、報告お願い申し上げます。(懲りてない……)


 私の名前はリッケルト。

世界を股にかけ商売を営んでいる者です。


 この商会、起業してから、おおよそ八百年は経っております。

私は十五代目ですね。

それだけ長く続けれるというのは、お客様のお力あってこそ。

とてもありがたいことです。


 初代の記録には、最初、西の大陸の王都に店を構え、それはとても小さな商店だったそうです。


 そして、わが商会には、家訓とでも言いましょうか……

必ず守らなければならない事があります。

それはおいおい、話していきましょう。


 この仕事を長く続けていると、少なからず問題は起きます。


 ここ最近では、まずは、あの子の事でしょうか……


 その子の名前は、ルミルと言うのです。


 彼女は歳の割には幼く見えますが、容姿は悪くはありません。

頭の機転、先を読む力、計算能力、どれをとっても、それなりのものがあります。

ただ彼女は、強引にやり過ぎる()があります。

故に、お客様の家族や、親しい人達からのクレームが、後を絶たないのです。


 彼女が不思議な力を持っている事は、彼女を引き取った時に気付きました。

ルミルは最初、私と、秘書をしている妻に、その力を使ってきました。

しかし、私達は特殊な道具を持っていた為、どうにか防ぐ事ができたのです。


 極稀にですが、お客様の中にも、不届きな輩はおります。

スキルの中には、詐欺や恐喝に有利に働く力もあるのです。

初代から引き継ぐ、この不思議な道具がなければ、私共も幾度となく騙されていたでしょう。


 現在の彼女は、西の大陸へと更迭する準備をしています。

かなり厳重にしないと、あの子はすぐに逃げ出すのです。


 本音を言うと、あれだけは使いたくなかったのですが……


 実は初代の道具の中には、門外不出の品が幾つかあります。

その中に、"人のスキルを消す"という、恐ろしい物があるのです。


 スキルというのは、その人の力、人そのものとも言えます。

それを消すというのは、本来あってはならない事。

私としても、苦渋の決断ですが……致し方ありません。


 あのスキルを失い、ルミルも少しは生き方を考えてくれるといいのですが……



 そういえば、最近、アキュレー様のご子息である、ガストン君に会いました。

アキュレー様には、エネル様同様、とてもご贔屓にさせて頂いております。

彼等の持ってくる魔物の素材は、素晴らしいの一言なのです。

商会としても、とても助かっております。


 エネル様は、なんでも初代とお知り合いだとか……

確かにエルフは長生きなのですが、流石に驚きです。


 おっと、話が脱線しましたね。

ガストン君、彼の才能は確かなものがある。

鍛冶師ではなく、装飾師としてですが……


 彼が作ったという、腕輪を見て驚きました。


 細工は見た目も見事ですが、魔力の流れを増幅させる文字配列。

それらを、上手く組み合わせている内部構造。

装飾品をあまり作った事が無いらしいのですが、とてもそうとは思えない程、素晴らしい出来の腕輪だったのです。


 その腕輪を持っていた人も驚きました。

最初はルミルの被害者の方かと思い、近づいたのですが……

彼は勇者の称号を持っていたのです。

私の眼鏡は少々特殊な物でして、スキルのみを写し出す事ができるのです……まぁ、一瞬、我が目を疑いましたけどね。流石に。


 商会の家訓には、"勇者を手助けせよ"とも書かれております。

西の大陸のヘレナに現れたという勇者は、私が会う前に、いなくなってしまいましたが……


 この様に、色々な事がここ最近続いたのですが、一番驚く出来事はこの後にあったのです。



 それはルミルの更迭と、ガストン君とアキュレー様の遺体を西へと送る準備をしていた時でした。


 アキュレー様の故郷までは遠い。

その為、遺体を運ぶには、特殊な箱を使います。

冷気を出し続け、腐敗を進ませないような作りになっています。

この箱は顔が見える作りになっており、アキュレー様の安らかな死に顔を見て、ガストン君も必死に涙を堪えているようです。


 ガストン君がいなくなり、ふと箱の方を見ると、髪の長い一人の凛々しい女性が、アキュレー様の遺体に近づき、悲しげな瞳で見ていたのです。


 私は、彼女がアキュレー様の知り合いかと思い、声をかけました。

しかし、彼女からは驚きの一言が発せられたのです。


「すまないね。彼女は……いや、それよりも、君がこの商会のオーナーかい? そうか……では、"十字架より落ちし雫は湖となりて、(ほむら)は山を焦がし、天つ風は砂塵をおこす、怒りは矛となりて地を割りけり"だ。急で悪いが……頼むよ」


「その言葉は……わかりました。すぐに準備します」


 最優先事項……

まさか、その言葉を私が聞くことになるとは……


 まさに、"事実は小説より奇なり"ですね。

何かが結末に向け、動いているのでしょう。


 私は、私が出来る事をやるだけなのですが……


次から、最終章へと入ります。


物語が、少し急ぎすぎている感がありますが、処女作なのでペースが……


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ