エピローグ
エピなので、短いです。
ガリオン帝国王城、寝室。
二つの影は、ベッドの上で折り重なり横たわっている。
周囲には、むせかえるような、なんともいえない甘い香りが広がり、情事の後を思わせる様な雰囲気を漂わせている。
ベッドのシーツには、赤い染みが徐々に広がり、甘い香りは一変、鉄の匂いが部屋に充満する。
「かはっ! な、なぜ……? リ、リンネ様……」
「素敵だよ、サラ。死にそうなところを僕に助けられ、希望から絶望の底に落ちていく。なんて君は美しいのだろう……」
サラの腹部には、横に裂けた大きな傷があり、そこから止めどなく血が流れ続けている。
「最後のピースは君で埋めることができた。嬉しいかい? 君はずっと僕の中で生き続けるんだ」
「わ、わたしは……あなたと……生きて……いた……」
サラの顔には、大粒の涙が流れ、困惑の表情が見てとれる。
そして、サラの瞳からは、少しずつ光が失われていき、彼女は事切れた。
最後、サラの濁った瞳に写ったものは、絶望か哀しみか……
「あっけないものだね。人の死というのは……」
サラの遺体から腕輪を外し、リンネは服装を整え、寝室を出ると、玉座の間に赴き、座る。
そこへ、三人の男がやって来る。
「終わりましたかな、リンネ様」
「せっかくのサンプルだ。死体は貰っても?」
「……」
シラー、ディノ、そしてもう一人は幼さが残る男。
その風貌は、どこかロッドマンに似ている。
「やれやれ、相変わらずだな。なんと呼べばいいのかな? ロッドマンJr.とでも?」
ロッドマン似の男は、フンッと鼻で嗤う。
「名前など、好きに呼べばよい。"あれ"は私であって、私ではない。自分だったものを卑下するのもなんだが、老いというのは愚かなものだな」
ロッドマンは生前、自分のクローンを造っていた。
知識を共有し、もう一人の自分がいれば、研究が二倍進むと考えていたからだ。
「長剣は失われたみたいだが?」
「あんな物はどうでもよい。既に長き時を経て、完成したこれがあれば、魔武具など足下にも及ばん」
ロッドマンの手には三本の剣が握られていた。
それは深淵を思わせる、見ただけで命を吸われる様な、鈍い輝き放ち、剣本体も揺らいで見える。
「魔神器とでも言おうか、三本しか作れなかったが、まあ、充分だろう。リンネ様、お納めます。どうぞ、お使い下さい」
剣はそれぞれ、シラーとリンネ、そしてロッドマンが装備した。
「うん、なかなかいい剣だね。ロッドマン、準備の方は順調かい?」
リンネは剣を鞘から抜き、眺めながら問いかける。
「"種"は仕込み終わりました。ですが、この都の民は触媒にしてしまいましたからな、拠点を北に移すのが良いかと……」
リンネは頷く。
「そうだね。でも、どうせ全て壊すのだから関係ないかもね。さあ、始めようか。ディノ、よろしくね」
ディノが手を翳すと、黒い霧が玉座の間を覆う。
そして四人はその場から、跡形もなく消え、無くなっていたのだった。
最近、脂肪は増えているのですが、脳ミソが小さくなっているのか……なかなか言葉を思い出せない事が多いです。
嫁からは小説ばっかり書いてないで、走れと言われています…
悲しい……