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57話 カジノに行こう(続)

カジノ編の続きです。

題名、そのままですが……

 カジノ、それは夢を叶える所か、はたまた夢破れる所なのか。


 モブ達を連れて、皆より遅れてカジノの中に入って行く。


 入口で武器は没収された。

それも仕方がないのかもしれない。

過去に、ボロくそに負け、暴れた者もいたらしい。


 ヤケクソになった人間は何をするかわからない所があるからね……


「旦那、俺達は行くぜ! 母ちゃん(ヴァニラちゃん)を解放するんだ!」


 おおっ、モブ達が燃えている。


 でもどうせなら、普段の時でも、そのくらいのやる気を出してもらいたいものなのだが。


 だが、もしかしたらあいつらは、運だけはいいのかもしれない。

今まで、なんとなくでも、これまで生きてこれたのだから……



 入口より入って直ぐに、アリエルが待っていた。

だが、様子がおかしい。

なにやら、体をモジモジしているのだが。


「アリエル、どうした? 待っててくれたのか? それともトイレの場所がわからないのか?」


「修平、すまん! あたしに金を貸してくれ!」


 ……なんで? なくなるのが速すぎない?


「前にモブBがルーレットで赤黒とか言っていただろ」


 そういえば、前にそんな会話していたな……


「それで赤に全額つぎ込んだら、止まったのが黒だったんだ……」


 馬鹿なの? その時に二分の一は外れるって言ったよね。


「女ならドーンと度胸だ!」


 ハイハイ、後は見学してなさい。

家にそんな余裕はありませんからね。


「ヤダ、ヤダ、ヤダ! あたしはもっと賭けるんだ! あのドキドキが忘れられないんだよ!」


 確かに、十万円の一発勝負なんて、もの凄くドキドキするだろうけど。


 うっ! そんな上目遣いしても、駄目なものは駄目です。


 とりあえずは、誰かが勝ったら貸してもらう、と納得してもらった。

また渡しても、同じ事を繰り返しそうだったからね……


 暫く進むと、ラミィが警備員に連れていかれそうになっていた。

慌てて、止めるのだが……


「困りますよ。この人がスロットの台を壊そうとしていたので……」


「インチキよ! なんで全然当たらないのよ! 裏で操作しているに違いないわ!」


 警備員もかなり困惑している。


「このカジノは決してそんな事はしていませんよ。言いがかりは止めてください!」


「嘘よ! 私がこんなに簡単に負けるはずが無いわ!」


 どうやら、外れた腹いせに、座っていた台を壊そうとしていたらしい。

しかも、高倍率の台に座っていたらしく、既に懐がスッカラカンになったそうだ。


 事情を話し、警備員に身柄を渡してもらう。

何故か、こっぴどく叱られたのだが……

まだ何もしていないのに、なんだか疲れてきた。


 とぼとぼと歩く二人を連れて、更に先に進む。


 何かの雑誌で見たが、女性はギャンブルに嵌まりやすいとか書いてあった気がする。


 しかし、当たる当たらない以前の問題な気がするのだが……


 サイコ達がいた……だが?

既にほぼ半裸になっている。

なんで?


「熱くなりすぎて、質屋に走ってもうたのじゃ……」


 頼むから、熱くなるのは首チョンパだけにしてくれ。


 ゴーレムコロシアム。


 ゴーレム達が闘い、どのゴーレムが残るかを賭ける。

そこで全額、注ぎ込んだらしい。

いや、半裸で既に装備が何もないとか、全額以上だな。

装備を買い戻さないと、頭が痛い……


 お前らは、まだまともかと思っていたのだが、カジノは人を狂わせるのだろうか。


「レオニアルはどこだ?」


 真っ先に問題を起こしそうな奴なので心配になる。

だが、サイコが指を指したのは……


 え? コロシアムの……中だと?


 何故かゴーレムと闘っていた。


倍率は……1.03倍。

全然、儲からねぇ!


 あまりの強さに、会場からはブーイングが沸き起こっている。

満足そうな顔をしているのはレオニアル本人のみ。

これは……見なかった事にしよう。そうしよう。



 そういえばダニエウ達の姿が見えない。

何処にいるのだろうか?


 探してみると、カードゲームの所に三人はいた。

ブラックジャックの台だが、よく見ると、横にチップが積み上がっている。


 まさかの展開だった。

一番最初に文無しになるかと思っていたが、仲間の中で一番勝っているとは……


 チップを全て換金すれば、金貨五十枚くらいにはなるそうだ。

凄いな、いったいどうした?


「旦那、甘いぜ! 俺はまだまだ上に行く。旦那はついてこられるかな?」


 なんだろう、そのドヤ顔に無性に腹が立つ。

アリエルが少し貸してくれと言っているが、断られていた。

恨めしそうに、ダニエウの事を何度も見ながら、こちらへと戻ってくる。


「旦那、目標は金貨三百枚だぜ! 兄貴の豪運、ここが見せ所だ!」


「ヴァニラちゃん、もう少しの辛抱なんだな!」


 三人の持ち金をまとめて勝負したのか。


おおっ! また勝ったぞ。

やるじゃないか!


「倍率を上げて勝負に挑戦しますか?」


 ディーラー側から提案がされる。

リスクは大きいが、リターンも大きい。

どうするんだ?


「へっ、舐めてもらっちゃ困るぜ! 俺はドーンと行く男だ!」


ダニエウ側のカードは、19。

なかなかの数だ。


ディーラー側は18。

ダニエウの勝ちだ!


 凄い、これなら金貨百五十枚にはなるんじゃないか?


「まだ、足りねぇ。ふっ、俺にかかれば楽勝だぜ!」


 ちょっと調子に乗り過ぎでは?

お前ら、だいたい最後は落ちて終わってるんだぞ!


「ここで決める! 全額ベットで!」


 待て、ダニエウ! 慎重になれ!

ディーラーが笑みを浮かべているぞ!

これは上げて落とすパターンだ!


「旦那、うるさいぜ! 俺は今、最高のビッグウェーブに乗っているんだ!」


ダニエウの数は20。

むぅ、これならば……


ディーラーは……

ブラックジャック21だと……


「あ、兄貴、そんな……」

「ヴァニラちゃん、もう無理なんだな……」


 モブに支えられ、ダニエウが燃え尽きた灰の様になっている。

だから慎重にって言ったのに、聞かずに全額賭けるから……


 結局、レオニアルはどうか知らないが、他の皆は(サイコ達は更にマイナスだが)駄目だった。


 アリエルは誰にも借りれなくて、悲しんでいるが……

他の人に借りてまでギャンブルに嵌まっちゃ駄目、絶対!


 皆は先に宿へと帰るそうだ。

皆の後ろ姿には、なにやら哀愁が漂っている。


 しかし、サイコ達は半裸なのだが、途中で捕まらないだろうか?


 修平は気を取り直し、スロット台に座ってみる。


 自身もちょい運は持っているが、今までは命の危機でしか発動していない。


 更にゲージも貯まっているかどうかを確認していない。


「金貨一枚分が無くなったら……止めにする」


 追加でお金を足さないよう、自身に言い聞かせるように呟く。



ピン、ピン、ポン!


「ふむ、動体視力が上がっているからなのか、簡単に狙えるな」


ピン、ピン、ピン!


「店員さ〜ん! 何か入れ物持って来て下さい〜!」


ポン、ポン、ピン!


「おおっ、7が揃ったぞ! 一度、高倍率の台に移ってみるか」


ピン、ポン、ピン!


「凄い。これだけ楽しいと、ついつい時間を忘れそうだ」


ガヤガヤ……


なんだ?

急に後ろが五月蝿くなってきたのだが……


 何故か後ろに人だかりが出来ている。

自分の周りを見てみると、コインが山の様に積まれていた。

いつの間に……


 コインをチップに変え、場所を変えることにした。

このままでは、見られ過ぎて集中できない。


 何処にしようか迷っていると、カジノ側からVIPルームを案内された。


そこは、見るからにお金持ちしか入れなさそうな場所だった。

だがそこには、見たことがある人物が……


「あー、久しぶりって程でもないか。あんたも息抜きをしにきたのか?」


 それは、レイリーだった。


 レイリーはスーツを、連れの女性三人は、見えそうで見えない、かなり際どいドレスを着ている。

流石は大金持ち、VIPルームは当たり前なのか。


「そういや、デカイ魔石貰っていたな。結構な金額になっただろ?」


 なったけど、ほとんどが消えました。

必要経費だからしょうがないのだが……


「俺達は結構来るんだ。意外にもリーンの奴が賭け事が好きなんでな」


 そう言ってリーンの方を見てみると、賭けている金額が……



 ……あれ、どんだけなの?

一回で金貨三百枚くらい賭けてないか?


「博才もあるんだよな、信じられないかもしれないが、今まで負けて終わった事が無いんだ」


 マジか……羨ましすぎる。

ん、リーンが手招きしている。


 レイリーと一緒にリーンの元へ行くのだが……


「…………」


「なんて言ってるのかな?」


 声が小さくて聞き取れない。

レイリーがリーンの口元に耳を寄せ通訳をしてくれる。


「私と勝負しませんか? だってさ」


止めて! この子はなんてことを言い出すの!

こんなおっさんからケツ毛までむしりとる気なの?


 だが、レイリーに説得され、無理矢理席に座らされた。

リーンが自分から言い出すのは珍しいそうだ。


 一応、"今持っている分だけで勝負"と、いうことで承諾したのだが。


 気がつかない内に、スロットで金貨六百枚ほど稼いでいた。

できればこのまま帰りたい気分だ。


 だが、リーンを見るとヤル気満々だ。

頼むから、そんなに気合いを入れないでほしいのだが……


 リーンとはバカラで勝負をすることにした。


 ルールも単純だから、わかりやすい。

本来ならばバンカーとプレーヤーのどちらかを予想するのだが、今回はリーンと一対一で勝負する。


 最初に二枚引いて、9に近い数を出せばいい。

10はゼロ、10以上は一桁の数字を、絵札は全て10扱いだ。

条件次第で三枚目も取るが、そこはいいだろう。

シャッフルはカジノのディーラーがしてくれるそうだ。


 冷や汗が流れ、首裏がチリチリする。

こんなに緊張するのは港町での戦闘以来だろうか……


 持ち金はあちらが多く、こちらは二回負ければ破産する。

いったいどれだけ持ってきているのか?


「どんだけだったかな? メイ、わかるか?」


「え、金貨五千枚ほどじゃない?」


 今ならカ◯ジの気持ちがわかる。

圧倒的に"ざわ、ざわ"しそうだ。

くそぅ、セレブリティめ。

所詮、庶民はお金持ちにはかなわないのか?


「……」


「相変わらず声は聞こえないが、こっちもオープン」


 二人は手札を見せ合う。


おお、勝った!

やったぞ!

ブレイ◯・メン・ロードを渡りきった様な達成感。


 リーンを見ると凄く悔しそうだ。

すまない気持ちはあるが、こちらとて負けるわけにはいかないのだ。


「……」


「オープン!」


また勝った!

凄い、凄い!

人生逆転か!


…………



「……」


「オープン、そ、そろそろ止めにしませんか?」


 リーンが涙目になっている。


 最初の方は単純に嬉しかったのだが、こちらが勝ちすぎて可哀想になってきた。

既にチップの数も逆転し、始めの立ち位置が反転している。



「……」


「オープン、勝った……おわっ!」


 リーンがいきなり服を脱ぎだそうとして、レイリーに止められた。


「リーン、もう止めとけ! 自己棒気になって自分を賭けるとか言うんじゃない! 負けた分は気にするな! このくらいなら屁でもねぇから!」


 リーンを押さえつけながら、レイリー達は帰って行った。


 しかし、この金額が屁でもないのか……

改めて現実をみると、少し寂しくなるおっさんなのであった。


 チップを全て換金した。


 カジノ側に手数料を差し引かれても、金貨が五千三百枚。

一気にセレブリティになってしまった。


 もう外は夜だ。


 マジックバックをレオニアルから渡して貰っていたので、重さがなくて助かる。

これで強盗に襲われでもしたら、目も当てれない。


 しかし、これだけあれば、当分はお金に困ることはないだろう。


 周りから見ると、おっさんがスキップしながら歩いているという、かなり奇妙な光景ではあったが……


 宿に戻ると、皆、各部屋に戻っていた。

先に帰った後、酒をたらふく呑んで、そのまま寝たらしい。


 しょうがないので、酒代と四日分の宿代を払ってしまう。

合計、金貨二十枚。


 どんだけ呑んでるんだよ!


 まったく……カジノに行く前なら頭が痛いところだったが、懐が安定すると精神も安定するようだ。


 とりあえずは、皆には儲かった事を内緒にしておく事にした。


 サイコ達の装備は買い戻しておいたが、儲けた話をすると、またカジノに行こうとか言われそうだったからなのだが。


「今夜はいい夢が見れそうだ♪」


 修平は笑顔で就寝した。



 ……深夜


『ボックスオープン、何故かボックスの限界が近いようです。急遽返済が必要です。個体sを操作、金貨四千八百枚を返済に……』


 小さく無機質な機械音が、立て続けに修平の部屋から聞こえてくるのだった。

御盆おそるべし。

保育園も休みの為、一番下の子供にスマホを取られるという……

青鬼オンラインやるってきかないのです。


子供が寝てる間になんとか書きました。

仕事も忙しいので、書けない時があるかもしれません。

申し訳ないです。

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