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プロローグ

 首都クロイツ。


 人口もさることながら、技術、物が集まる世界一の国と言っても過言ではない街。


 色々あったが、おっさん達一向はようやくこの街へと着くことができた。

今はニンフを出て、二日目の昼過ぎである。


「クロイツへようこそ! あなたが噂の冒険者さん?」


 門を越え、街の中に入ってすぐに、活発そうな女の子に声をかけられた。


 へ、噂になっている?

自分の見た目ははそんなにパッとした外見ではない。

ごく普通の外見だと思うのだが……


「だって衛兵さんが話してたもの。街を沢山救った人は、鬼の綺麗な女の子達とエルフの小さい子とおじさん、それに冴えない三人組が一緒って」


 問題は自分以外だった。


 この世界では他種族混合パーティーは珍しい。

目立つのも仕方がない。

アリエルもラミィも綺麗所だからね。

しかし、冴えない三人組か。

まだまだだな。

頑張れダニエウブラザーズ。


「街の混乱も落ち着いてきたからカジノも再開するみたい。未成年は入れないけどね。案内いらないですか? 1日、銀貨五枚ですけど」


 なるほど、これは営業か。

周りをよく見ると、他にも子供達が街に入ってきた人達へと声をかけている。


 確かにこの街は広い。

案内を欲しがる人もいるかもしれない。


 サイコに聞くと、この世界の未成年は十五歳以下らしい。

残念、ファンケルにはカジノは無理だな。

横でファンケルがブーブー、言ってはいるが……


「それならお願いしようかな、はい銀貨。とりあえずは宿が先で」


「は〜い、まいどあり〜! わっ! お兄さん太っ腹。銀貨が三枚も多いよ! いいの?」


 少女は笑顔で銀貨を受けとる。


 子供が働いているのを見ると、何かしたくなってしまうのだ。

しょうがないよね。

みんながジト目で見ているが気にしない。


「まぁ、チップだよ。案内の方、よろしくね」


 アリエルとラミィも呆れている。


「まったく、修平は子供に甘すぎる! このくらいの歳なら働いてて当たり前だぞ!」


「財布は管理した方がいいかも知れないわね。お金がいくらあっても足りなくなりそうだわ」


 ごめんなさい。日本基準で考えると、ついね。

しかし、このままではおこづかい制になってしまう。

異世界くらい、自分の好きにさせて欲しいものだ。


 現在、少女に渡した額を差し引いて、金貨三十七枚、銀貨二十九枚。

 魔石がニンフで貰ったカミラの物と他が少々。


 うーむ、最初に比べれば大金持ちなのだろうが……


 最近は出ていく金額も大きい。

鎧も新しいのを買うか、直さないといけない。

頭が痛いところだ……


 なんだろう? 湯気が立ち上っている。


「公衆浴場もあるのか……」


 ふと看板に目が止まる。


「お風呂に入りたいですか? 一人、銅貨六枚かかります。服のクリーニングは一人、銅貨五枚です」


 ふむ、全員分のクリーニングまで合わせても、銀貨が十枚ほどか。

この浴場には、専属で水魔法と風魔法を使える者を雇っているそうだ。


 久しぶりにさっぱりしたい気持ちはある。

外の気温も低くなってきている上、ラミィとアリエルは砂漠出身だからか、この寒さがキツそうだ。


「どうかな? 俺は風呂に入りたい!」


 何故か皆、ため息をついている。


 しょうがないじゃないか。

体を拭くだけでは満足できないのだ。


 ちょっと強引ではあるが、皆で風呂に入る事にした。

勿論、男女は別々であるが……


「ヒャッホォ〜!」


 いきなり湯船に飛び込もうとするダニエウ達を止める。


「おい! 駄目だダニエウにモブ共! ちゃんと体を洗ってから湯船には入れ!」


 やれやれ、風呂のマナーくらい守って欲しいものだ。


 む、これはなんだ……備え付けなのだろうか。

体の表面から泡がでる不思議なカエルみたいな生き物がいる。


 勝手に使っても大丈夫なのだろうか?


 周りを見てみると、その生き物を体に擦り付けた後、泡を伸ばして布で洗い流している。


 修平も他の人を真似して使ってみる。


 香りはほとんど無いが、石鹸みたいな肌触りだ。

洗った後は肌がスベスベになる。

なかなかにいいものだな。


 体を綺麗にして、湯船に浸かる。

ダニエウ達も見よう見まねで、自分達の体を綺麗にしているみたいだ。

凄まじく汚れていたのか、なかなか泡がたたない様だが……

どんだけだよ!


「ふぅ〜、極楽、極楽」


 視線を感じ、横を見る。

よくわからない毛むくじゃらの毛玉がいる。


「修平よ、ようやく会えたな」


「毛玉が喋った! ってレオニアルじゃないか!」


 一月(ひとつき)ぶりだろうか。

ようやく修平とレオニアルはクロイツで合流する事ができたのだった。


ようやく合流できました。

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