54話 完全勝利?
書き始めて、2ヶ月が経ちました。
早いものですね。
今週は木曜日を休んだので、話を書いてみました。
修平がカミラの異空間に飛び込む少し前の事。
ゴルドは職員を各場所に飛ばし、現状の把握に努めていた。
あの光の雨は、アンデッドを倒すだけでなく、精神異常を回復する効果もあった。
更に調べた結果、光の雨はアンデッドを一万程削ったらしい。
これで戦力差は半分くらいにまで縮まった。
今はこちらが押している。
主幹となる最上位種をその場に留めていることが大きい。
これが崩れると、すぐにでも戦場が崩壊しかねない。
レイリーのパーティーはジャイアントスケルトンと、Aランクのパーティーが二組、リッチと戦っていた。
レイリーの戦闘スタイルは単独突破だ。
魔術師のメイがバフをかけ、ヒーラーのリーンが防御結界や回復をする。
盗賊のニナはレイリーの隙の間を埋めるように、飛び道具で牽制する。
彼女達による、レイリーを活かす為のスタンスである。
しかも、各自持っている武器や防具は超一流だ。
古代遺跡から発掘された物や、最高の素材を用い作られた物など、売ったとしたら金貨三千枚は下らないだろう。
「おらおらおらおらおらおら!」
どこぞの奇妙な冒険ばりに、おらおらと言っているが。
レイリーは全長二メートルを越すバスターソードを軽く振り回し、ジャイアントスケルトンの骨を次々と破壊する。
破壊した後の骨は再生しないように、リーンが浄化するのも忘れない。
ジャイアントスケルトンもただ黙ってやられているわけではない。
周りにいたスケルトン達を取り込みながら再生するのだが、破壊されるスピードの方が速い。
威嚇咆哮や、砕けた骨を雨の様に降らすが、各自オートで自身の周りに光の結界が張られ、まったくダメージを与えられない。
「攻撃は最大の防御ってなぁ! こっちは手前らのせいで動きぱなしだ。無茶苦茶溜まってるんだよ! とっとと消えやがれ!」
倒そうとする理由が酷い。
だが、徐々にジャイアントスケルトンは小さくなり、最後は黒い煙を吐きながら、巨大な魔石だけ残し、塵となり崩れた。
危なげなく、完全勝利である。
『ふん、全てやられたか。だがこれで義理は果たしただろう。まったく、あんな物に頼るからそうなるのだ』
リッチと対峙してた二組のパーティーは、魔力の鎖で拘束され、身動きがとれなくされていた。
いつ殺されてもおかしくない状況、だがリッチは暗闇の眼で退屈そうに冒険者達を眺める。
『儂はどちらが勝とうがあまり興味が無い。若いのは力に溺れて誘われたがな。儂は早くサンプルを持って帰って研究をしたいのだ』
パチンッ!
リッチが指を鳴らすと、冒険者達の拘束がとけ、暗闇が晴れていく。
『何百年振りに会話というものをしたか、さて、帰るとするか……』
そう呟くと、リッチは何処かに行ってしまった。
残された冒険者達は呆然としているが、暗闇が晴れた事により、戦況は結した。
日の光が射し込み、残っていたアンデッド達も動きが鈍くなる。
これならば民兵でも倒すのが容易だ。
やがて全てのアンデッドが動かなくなると、ゴルドによる終戦宣言がだされたのだった。
その頃、修平は異空間の中をさ迷っていた。
「広すぎだよ、この城。カミラの魔石があるからまだ暫くは持つみたいだけど、早くしないとアリエル達が……」
カミラの人形が物言わぬ骸となり、所々に倒れている。
やがて、ここほ寝室だろうか?
ベッドが置いてある場所に着くと、アリエルとラミィが裸で寝かされている。
心なしか肌が白くなっている様な……
「アリエル! ラミィ!」
修平は名前を呼ぶが、二人の応答はない。
間に合わなかったのだろうか?
「嫌、まだだ! 諦めてたまるか!」
修平が女性から聞かされた事は、勇者のエキスをアリエル達に注ぐというものだった。
アリエルの唇にキスし、舌を捻りこみ、唾液を流し込む。
するとどうだろう、淡い光がアリエルを包み、肌の色が元に戻っていった。
アリエルの口からは、寝息が規則正しく聞こえてくる。
疲れもあってか、どうやら爆睡している様だが……
「勇者ってなんなの? 歩く薬箱? とりあえず、ラミィにもしないと」
後が怖いが、背に腹はかえられない。
やましい気持ちは……ちょっとだけあるが。
これは人命救助だ!
そうだ!
人命救助なんだ!
自分を言い聞かせ、修平はアリエルと同じ様にラミィの唇に舌を捻り込ませる。
幾分、唾液の量も増やしてみた。
淡く光だすが、変化が弱い。
遂には、光が消えてしまった。
「なんでなんだ? アリエルにあって、ラミィにないもの……おっぱいじゃなくて……ま、まさか?」
今は緊急事態だ、でも相手の合意も無しでは……
そもそも、それが正解かがわからない。
修平は迷っていた。
すると、ラミィがうっすらと目を開ける。
「ちゃっちゃとヤりなさいよ、まだ意識があるけど、いつまでもつかわからないわ……」
アリエルは爆睡している。
ベッドはここにある。
据え膳食わぬは男の恥。
では、いただきます。
……♪♪♪……
鬼のおじいさん、ごめんなさい。
結局、二人とも頂いちゃいました。
アリエルに負けじ劣らず、日に焼けた極上なボディ。
とてもおいしかったです。
「はぁ、はぁ、はぁ、もう少し手加減しなさいよ。こっちは初めてなのよ……」
ラミィはまだ起き上がれないみたいだが、肌の色も元に戻った。
どうやら正解だったみたいだ。
ならば、声を大にして言いたい。
これは人命救助ですから!
城が崩れ始めた。
タイムリミットが近い様だ。
急いで脱出しないと……
まだ寝ているアリエルと、まだ動けないラミィを返済ボックスに入れ、彼女達の装備を担ぎ、急いで来た道を戻る。
裂け目が見えてくる、が、閉じかけている。
体力もそろそろ限界だ。
出すものも全て出しきった。
「限界は越えるためにあるんだよぉぉぉ!」
修平は叫びながら、裂け目に飛び込む。
元にいた場所に戻った瞬間、裂け目が消えた。
「ギリギリセーフかよ、もぅ、動けないぞ……」
いつの間にか暗闇も晴れ、戦場には歓声が響きわたっている。
どうやら、他の場所も勝利で終わった様だ。
その後、ダニエウ達に引きずられながら宿へと連れていってもらい、部屋でアリエル達を出した。
二人とも裸だから、流石にダニエウ達には見せられない。
ファンケルは"次は僕の番ですね"とか言っていたが。
疲れた、もう眠らせて……
修平はそのままベッドで爆睡するのであった。
朝日が見える。
どうやら、次の日の朝まで寝ていた様だ。
おかげで頭もスッキリしている。
食堂に降り、その後どうなったのかをサイコに聞く。
昨日はギルドの職員が何度か来ていたみたいだが、疲れているからと断ってくれていた様だ。
ありがたいことだ。
しかし、遂にはラミィをヒィヒィ言わせてやったぜ。
これで少しはデレてくれるんじゃなかろうか。
ふっ、ふっ、ふっ。
「なんかおっぱいが小さいとか呟いていたわよね?」
ひぃ! ラミィさん、いつからそこに!
「もういいからって言ってたのに、止めなかったわよね?」
ひぃぃぃ!
「どうやらあんたは"三途の川"が見たいようね……」
ひぃぃぃぃぃぃぃ!
結局は、逆にヒィヒィ言わせられるおっさんなのであった。
遂にラミィもおっさんの毒牙に……