閑話 鍛治士ガストンの話
本日は閑話を2話投稿します。
俺の名はガストン、ドワーフの鍛治士だ。
周りからは変わり者とか、変人とか言われているが、他人の嫉妬は醜いもんだ。
俺がいくら才能の塊だからと言って、やっかみすぎだろう。
まぁ、この工房には、俺の芸術的武具たちが所狭しとおいてあるが。
え、たくさんの売れ残りだって?
違う違う、価値観の相違ってやつだな。
こいつらは、今か今かと出番を待ちわびているのさ。
待ちすぎて錆びたやつもあ……
おっと、いい間違えた、丁度鉄が足りなかったのさ。
溶かして再利用さ! 鋳造、鋳造!
それに最近、大手の武防具店の専属になったんだぜ!
引く手あまたの俺だが、いっちょ一肌脱いでやろうかってやつだな。
最初にきた奴なんだがよぉ。
見た目は小綺麗なお嬢ちゃんだから、あんまり信用してなかったんだがな、俺の作品を誉めまくりやがる。
こいつ〜、中々の審美眼を持っているじゃねえか!
しょうがねぇ、もってけドロボーだ!
そんでよ、ニコニコしながら、こう言うんだ。
「ありがとうございます、またお願いしますね。」
ってな。
え、小さい悪口を言われてる?
最近、火花で目がチカチカしてな、よく見えねぇ。
まぁ、男は細かい事を気にしちゃ負けだ!
ドーンといくぜ、俺は!
次は注文がきたんだがよぉ。
あん、魔力発動媒体つき武器はあるかだと?
ふん、お前さんはよくわかってるじゃねえか。
他の奴からは、こんなのエルフしか使えねぇとか、普通は単一の呪文を刻むだろとか言うけどよ。
俺は声を大にして言いたいね。
そこに浪漫はあるのかい?
ってな。
だがよ、お嬢ちゃんの注文が細かくなっていくんだ。
まさか、俺を試しているのか? 舐められたもんだな。
望むところだ! てやんでぇ、べらぼうめ!
はんっ、ミスリルを使えだと、ドワーフなめんじゃねぇぞ!
ミスリルでもオリハルコンでも持ってきやがれ!
俺にかかればそんなもんは、ちょちょいのちょいだぜ!
すまん!
失敗した!
え、土下座しろだと。
男がどげ…………ごふっ!
そこから3日3晩徹夜で作らされたぜ。
嬢ちゃん半端ねぇ、いや、これからは姉御って呼ばせて頂きます。
今回の品物は完璧でさぁ。
ちょ、ちょっと待ってくれよ! この値段じゃこっちはあか…………ごふっ!
勘弁してくだせぇ、姉御。
こっちも魂削って作ってるんだ。
盾にこんなちゅ………………ごふっ!
単一呪文を腕輪に刻めだと。
そこにろま………………ごふっ!
……………
……………………………
拝啓、里のおっかさん。
俺はもう疲れちまった、そろそろ里に帰るとするわ。
都会は怖い所だったぜ。
こんな根性のねぇ息子で、すまなかったな。
一から基本をやり直す、そしてまた……………
ルミル「いらなかった物も安く処分できてwinwinの関係ですね」
ガストン「俺は負けねぇ! 必ずリベンジするぜー!」