37話 悪夢の再来(色んな意味で)
途中、間違って半分くらい文を消してしまった。
書き直すのに時間が……………
みなさんも、こうはならないようにこまめに保存するようにしましょう。(小並感)
現在は南のエルフの里に向かい、進んでいる最中だ。
そろそろ日が沈みそうだ、急がないとな。
現在の場所は里より少し離れてはいるのだが、ダーククラブが出たと報告があった為、被害が出る前に討伐にやってきたそうだ。
思っていたよりも手強かった為、逆に殺られそうにはなっていたのだが。
ラミィも話に聞いていたよりも大きいと言っていた。
最近の魔素の関係で強くなっていたのかも知れない。
「最近、おかしな事ばかり起きておる。ちょっと前にも海賊らしき男達を捕まえたのだ」
海賊か、こんなヤバい海で海賊なんて出来るのだろうか?
「昔捕らえた海賊が言うには、危険だからこそ追手もあまりこないみたいじゃ、五月蝿かったので首をはねてやったがな」
この辺の海域は大渦が近く、他に比べて魔物の数が少ない。
地形もリアス式海岸で、切り立った崖も多く、海底洞窟も多数存在する。
海賊が隠れやすい場所みたいだ。
ちょくちょく住み着くらしい。
かなり迷惑な話だ。
「そいつらは"旦那を呼んでくれ"と、訳のわからない事を喚き散らしているのだ。まったく、こちらとしても大変困っておる」
なんか嫌な予感がするんですけど。
このままUターンして、街を目指しては駄目だろうか。
「安心してくだされ、明日には縛り首からの首チョンパじゃからな」
この世界、危険な物は排除するのが当たり前のようだ。
しょうがない、確認もしないといけないし、行くしかないか。
アリエルとラミィの二人は、初めて行くエルフの里にワクワクしているようだからね。
そういえば、ダーククラブは食べることもできるらしい。
だが、全部を運ぶことはできなかった。
台車も持ってきてはいたのだが、サイズが大き過ぎて、カニ爪と足を数本しか乗せられなかった。
あとは魔石の回収か。
もちろん、ダーククラブの魔石は譲ってモラッタヨ。
しかし、マジックバックは慣れると手放せないな。
早くこの手に戻ってきて欲しいものだ。
ライオンはちゃんと持っているのだろうか。
異空間に落としてないよね?
返済ボックスでは硬貨や加工された物でなければ、いまいち値段が上がらないのだ。
カニ、普通に買うと高そうなんだけどな〜
「もうそろそろだな、入り口が見えてくる」
やはり、隠蔽はされているらしい、遠くからでは認識できない。
「エルフが仲間にいれば別じゃが、里ごとに入るための認識証は違いますからな」
そうだったのか、たまたまだが、彼らに会えて良かった。
里の本拠地は南西の尖った場所の山の上に見えてくる。
裏は崖、前はなだらかな坂に木々が広がっている。
まるで天然の要塞だな。
「縛り首の執行場所は広場の真ん中で行う。なかなかの悪人顔ですからな、さぞかし………いい声で鳴いてくれるでしょうな」
おっさんエルフがニヤリと笑う。
こ、怖いんですけど。
悪、即、斬ですか?
一応、確認しておかないといけないか。
かなり嫌だけど。
「悪人の名前ってわかりますか?」
おっさんエルフはキョトンとしている。
「悪人に名前など必要ないじゃろう?」
このエルフ、殺す気満々だった。
どんだけ首チョンパが好きなんだよ!
「とりあえず会わせてもらっていいですか?」
おっさんエルフは残念そうだ。
そんなに血が見たいの?
「知り合いでなければ、遠慮なく斬ってもらって構わないので」
おっさんエルフの顔にパアッと笑顔の花が咲く。
あー、この人サイコパスだった。
地下牢に捕らえているというので、案内してもらう。
「俺達は無実だ〜〜〜〜出してくれ〜〜〜〜〜!」
「腹減った〜〜〜飯はまだか〜〜〜〜!」
「ヴァニラちゃ〜〜〜ん!」
うん、確定。
ヴァニラちゃんが沢山いるのなら別だけど。
「おいダニエウ、なんでお前らこんな所にいるんだよ!」
チッ!
なんか後ろから舌打ちが聞こえるんですけど……
「すいません、知り合いです。出してもらえませんか?」
おいっ、そこのエルフ、残念そうな顔しない!
「はぁ、仕方ありませんな、恩人ですし。気が変わったらいつでも声をかけてくだされ、見事一発で首を落としてみせましょうぞ」
はいはい。
里の長老にも会いたいと伝えてもらうため、おっさんエルフには退出してもらった。
興味津々に、アリエルとラミィも修平の影から顔を出す。
「こいつらが修平の仲間なのか?」
「見るからに馬鹿そうなんだけど、こいつらが仲間なんて、あんた、本当に大丈夫なの?」
ラミィ、辛辣だな。
まぁ、当たってるけどね。
「だ、旦那! そこの綺麗処二人はなんです? リリアにチクっちゃいますよ!」
「旦那! 二人もなんてズルいじゃないですか! 1人分けてくれるか、俺も混ぜてくださいよ!」
「ふっ、発育が良すぎるんだな! 俺の許容範囲外……」
やらないよ! っていうか、ラミィとは違うから!
お前らのおかげで二人の視線が痛いじゃないか!
リリアとはそんな仲じゃなかっただろう!
……最後の発言は聞かなかったことにしよう、そうしよう。
相変わらずだな。
こいつらとの会話は疲れる。
もう休みたい。
更に、三人の話を聞くと頭が痛くなってきた。
どうにもこうにも、馬鹿過ぎて。
死ぬくらいなら鉱山行きの方がましだと思うのだが、税金分くらいならすぐ終わるだろうに。
「これからどうするんだ?」
正直、面倒見切れないのだが。
「もちろん旦那についていくに決まっているだろ!」
「俺達と旦那は一蓮托生、生きるも死ぬも一緒だぜ!」
「新しい扉を開きたいんだな!」
冥府の扉はあちらです、死ぬなら勝手にお前らだけで死んでください。
しかし、このまま放り出しても寝覚めが悪いか…………
西の大陸に戻る為には、砂漠を更に北に抜け、中立都市ファーデンから西の港町に向かうか、ここからずっと東にある帝国の軍港まで行かねばならない。
どちらもかなり遠い。
おっさんの頭に浮かぶのは砂漠の捕食者に食べられるダニエウ達の姿が……美味しくはなさそうだが。
「アリエルとラミィ、どうするべきだと思う?」
安全な旅ではない上に、お荷物までついてくるとなると……
ちゃんと二人の意見は聞いておかないとな。
「修平に任せる!」
アリエルはいつもそれだな、少しは考える癖をつけよう。
「帝国はヤバいんじゃない? 私達は鬼族だから」
そうだな、隠していてもバレたら問題になるだろうし。
「よし! とりあえずはファーデンに向かおう。冒険者ギルドがあれば連絡もできる。この魔石も換金したいからな」
ダーククラブの魔石、他にも小さいながら幾つかある。
軍資金が心許ない、少し余裕が欲しい今日この頃。
行き先が決定したところに、足早におっさんエルフが戻ってくる。
「長老が会うそうじゃ、こっちへ」
急かされている。
何かあったのだろうか?
「北のエルフの里が襲撃された、風の聖霊が報せを持ってきたのじゃが……」
状況は最悪。
急に襲われたため、まだ被害の全容は分かっていないみたいだ。
聖霊は北の長老に頼まれて、ここの里に二人だけを運んできた。
1人は歳をとった者、もう1人は幼い者。
余程急いだのだろう、聖霊は疲れはて、今は石の中で眠っているそうだ。
連れてこられた二人も無傷とはいかなかったそうだ。
今は治療中なので、おっさんエルフはよくわかってないらしい。
まずは長老に話を聞かないと、疲れて休んでいる場合ではないな。
大きな扉の前でノックする。
「サイコじゃ、旅の者を連れてきた、入るぞ!」
おっさんエルフはサイコというらしい。
そのまんまだな。
真ん中に長老らしきエルフがいる。
まだ樹化はしていないようだ。
見た目はそれなりのおばあさんだが若いのだろうか?
周りにも数人のエルフが待機している。
「申し訳ありません、折角の再開に水を指してしまいまして」
丁寧な挨拶をされたので、おっさんもお辞儀で返す。
「構いません、こちらとしても速く何があったのかを知りたいので」
長老の話によると、連れてこられた者の内、1人は年老いたエルフの研究者。
もう1人は、幼いながら風の加護を持ち、更に紋様も持っているという。
命に別状は無いのだが、まだ意識が戻らないそうだ。
聖霊の足に手紙が括られており、何がおきたのかが記されていた。
「黒く燃え盛る大きな獣に里は襲われたと、どうにか時間稼ぎをして二人を逃がしたそうです。おそらく里はもう……」
黒い獣か、俺達も遭遇したやつかも知れない。
北の里はここから徒歩でなら、一月程はかかってしまう。
今さら救援に行ったとしても後の祭りだ。
研究者は、"紋様が何故闇に対抗することができるのか"を調べている者らしい。
レオニアル達の事も書いてあった。
アメリア達も合流し、中立都市ファーデンに向かったそうだ。
どうやら襲われた時にはいなかったらしい。
くそっ!
あのライオンがいれば、なんとかなったのではないだろうか。
なんとタイミングが悪いことか。
始まりの里の事も書いてあった。
始まりの里も壊滅、リーネ様のレインツリーも結晶化。
なんという悪夢だろう、最悪じゃないか!
だから転移陣が崩壊したのか。
全てが後手に回っている。
沢山のエルフが死んでいるのだろう。
もう少し上手くやれたのではないだろうかと、悔やまれる。
アリエルがそっと手を握ってくれる。
「大丈夫だ修平、あたしがついているぞ」
慈愛の笑みを向けてくれる。
そうだな、大事なのはこれから何をするかだ。
気を引き締めてかかろう。
横でラミィがハンカチを"イーッ"としているが無視しよう。
とりあえずはレオニアルと合流するべきか。
となると、中立都市ファーデンに行く必要がある。
砂漠を最速で抜けるにはアルナートカゲが必須だろう。
西か南の鬼族の集落で借りるべきか。
ダニエウ達の事も考えると2体は必要だろう。
あいつら無駄にデカイからな!
置いていってもいいのだが、サイコに首チョンパされそうである。
その事を長老に話すと、長老は待機していたエルフに指示をだす。
「我らが使う鳥車をお使い下さい。あれらは賢いので乗り捨てしたとしても、ちゃんとここに戻ってきますので」
ダチョウの様な鳥を繋ぎ荷馬車を引っ張るそうだ。
スピードもそれなりに出るらしい、助かるな。
ただ鳥目で夜は危ないため、出発は明日の朝になった。
おっさん達は各自部屋へと案内される。
ベッドへと向かおうとしたのだが、下を見るとなにやら疼いている。
最近、ご無沙汰だったからか、我が息子が淋しそうだ。
ふっ、俺の闇も遂に動き出したようだな! 中二病か!
アリエルの部屋へと向かおうとしたのだが、ラミィの影を見た後からの記憶が何故かない。
しばらくして気がついたら、自分の部屋のベッドにぐるぐる巻きにされ、縛り付けられていました。
「ラミィ〜! カムバッ〜ク!」
これじゃトイレにも行けないよ、この歳で漏らしちゃうよ! 誰か助けて!
先ほどまでのシリアスはなんだったのか、世界が滅んでも変わらなそうなおっさんなのであった。
たまに確認するとブックマークが増えていますね。
読んでくださった皆様、どうもありがとうございます。
一応、毎日更新をしようとは思っているのですが無理な時もあるので、申し訳ないです。
僕の周りでも風邪が流行っております。
皆様も体調にはお気をつけてお過ごし下さい。
それでは………