33話 おっさん解放する
ちょっと短いです。
東の一つ角の集落。
奇跡的にアリエル達の住まいは無事だった。
おっさんは部屋で悶々としていた。
気がついたら二日経っていた。
「いかん、いかん。いい加減、前に進まないと……」
覚えてない、だからもう一度お願いします、とは言えない小心者であり。
更に覚えてないからノーカンね、とも言えない。
一応、責任感は強いのである。
胃が痛いのは治らないが。
集落は落ち着きを取り戻しつつある。
里の被害は建物が崩れたのが大半であり、人的被害はほぼ無かった為だ。
オアシスも徐々にではあるが元に戻りつつある。
枯れなくてほんと良かった。
言っておくが、決してわざとではない、力を入れすぎただけなのだ。
周りにも沢山叱られた事だし、この件はここらで一件落着にしてほしい。
各集落にはアルナートカゲが最低1体はおり、戦闘があったという事を、直ぐ様、他の集落へと知らせる為に走らせたそうだ。
そして既に一段落した事も。
「とりあえずは今後の指針だな」
アリエルを部屋に呼び、これからの事を話し合う。
「西の集落にも行っておくべきか、更に南に下りエルフの里を探すか、砂漠を出て街へ向かうか、うーん、どうするべきかな?」
「あたしはどこでもいいぞ、もう傷も癒えたしな!」
治りが速いね、あんなに傷だらけだったのに。
少し痛むが、おおむねどうでもいいらしい。
鈍感力半端ないって!
「修平さん、南から巻き角の方達が来られてますよ」
ん、いったい何の用だろう?
「おお、お二方! この里の者に、我ら同胞の仇を取ってくれたと聞いた!」
「感謝する! これで亡くなった者も安らかに逝けるだろう!」
あー、1人逃してしまったのだが。
この感じだと言いづらいな。
「そういえば、貸していたアルナートカゲはどうした?」
「もう、使わないなら返してほしいのだが?」
「いや、移動するのにまだ貸してもら、あれ?」
わ、忘れてた。
そういえば、ぶつかってひっくり返った後、どうなった?
その後の戦闘も激しかったし、終わった後は、長い悶々タイムに入ってしまったから。
おっさんは急いでトカゲがひっくり返っていた場所へ行く。
しかし、そこにあったのは大きな骨の残骸であった。
どうやら、脳震盪で倒れていた所を、他の魔物に食べられたらしい。
「な、なんてこった!」
その時は、後先考えていなかったが、まさかである。
「すまぬ、言いにくいのだが我らも復興するのにお金がかかる」
「ただと言うわけにはいかないのだ、恩人に心苦しいのだが」
で、ですよね〜〜!
おっさんは泣く泣く金貨百八十枚を支払う。
少しはまけてもらったのだが、それでも一千八百万、まさに高級車、大破であった。
ラダは連れてきてもらったので、また歩きで向かわねばならない。
もう一度、"貸してくれ"とは、怖くて言えないおっさんであった。
とりあえず西の集落に向かうことにした。
エルフの里はエルフがいないと入れない可能性が高い。
それならば砂漠を一通り回ってしまおうと決めたのだった。
ラダがいるとしても、歩きでは交易所のオアシスを経由して4日程かかる。
早速、向かうことにする。
どうやら、アリエルも準備できているようだ。
もうすぐ日が暮れる。
アリアス達は里に残り、復興を手伝うそうだ。
また二人旅だが、おっさんには心配事があった。
あんな事があったにも係わらず我が息子が大人しくしていないのだ。
おかしいとは思いながらも平常心を貫く。
だが事件は次の日の昼過ぎに起きた。
暑さを凌ぐため、テントで休んでいた時。
ふいに振り向くと、アリエルが裸になって着替えていたのだ。
プチん!
何かが弾ける音が聞こえた様な気がした。
おっさんはル◯ン三世ばりにスポンと服を脱ぎ捨てると、アリエルへと覆い被さった。
アリエルも最初はビックリはしたのだが、修平を優しく受け止める。
"それ"は長く続いた。
月光の下、そのスペルマは月を白く染め上げるかの如く。
まるでタガがはずれた獣の様に。
今まで溜まった何かを吐き出すように。
空高く、時に長く、何度も、何度も繰り返される。
そして丸1日が経っていた。
……
…………
ふっ、真っ白に燃え尽きちまったぜ……
ん、あ、あれっ?
何か赤いものが……
アリエルは息も絶え絶えだが、なにやらモジモジしている。
「だって、初めてだったから……ちゃんと責任とれよな!」
……
…………
な、なんですと!
やっちまった〜〜〜〜〜(色んな意味で)!
あれ、この前のは?
あれ? あれ? あれ?
まさに思考のメリーゴーランドや〜〜〜〜!
おっさんは暫くフリーズする。
すると、アリエルにじと目で見られる。
落ち着け俺、落ち着くんだ!
「すまんな、激しくしすぎた」
止まれなかったんです。
申し訳ない。
ちゃんと責任は取らせて頂きます。
「修平がいいなら、それでいい」
アリエルは満足げに笑う。
チクショウ、可愛いじゃねぇか!
「動けるか?」
「腰が、ちょっとまだ無理かも」
なんか色々とすいません。
進みは遅いのだが、違う何かが進んだおっさんであった。
ガクガク、ブルブル……
美緒「お、お母さん、後ろに般若が見えるんだけど!」
美鈴「なにかしら、何でもないわよ……」
美緒「ちょっと、な、何でいきなり包丁を研ぎ出すの?」
美鈴「なんでかしら、ふふっ、こうしなきゃいけない気がしてね、ふふふっ」
ついにやっちまいました。
そりゃ我慢できませんわ!
(開き直り)
なんかすいません。