プロローグ
第2章が始まります。
第一次獣神戦争、おおよそ20年前に起きた王国と獣人の反乱による大規模な戦闘である。
獣人、人の姿でありながら獣の特徴をあわせ持つ種族。
身体能力が高く、長らく奴隷として虐げられた獣人達。
獣王レオニアルをによる戦闘部隊を筆頭に3年で西の大陸の東方を奪われ、独立を果たし、共和国を作り上げた。
その共和国との戦争、後半は泥沼化していたのだが、王国との和解により戦争は終結する。
その裏には異世界人やエルフの介入があったとかなかったとか、真実には表沙汰にはなってない。
「冒険者の方々は、王国の法により半強制で戦争に参加しなければなりません……」
リリアは悔しさを堪えるように唇を噛んでいる。
「ようやく訪れた平和なのに……」
リリアは戦争孤児らしい。
前回の戦争によって、両親を亡くしている。
勇者か……
担ぎ上げられたのか? 戦争の理由は何なのか?
「まだはっきりとした情報が上がってきていません。情報規制がされてるらしくて……」
この街は辺境ゆえ、王都からも遠い。
湿原地帯を抜け、更に東に向かわねばならない。
徒歩では十五日ほどはかかるそうだ。
現代と違い、この世界には、車も電車も飛行機もない。
馬車はあるが、全ての冒険者が乗る事はできない。
多数は徒歩で、王都へと向かわねばならないだろう。
各街の冒険者ギルドには、魔法による通信ネットワークが構築されているらしく(秘匿情報で公開はされていないそうだが)、それにより、命令が下された。
「1ヶ月の間に、各々のギルドは部隊を構成し、王都に集結せよ。とのことでした」
冒険者は一般人に比べると、戦闘能力は高い。
民兵も徴収されるかもしれないが、とりあえずといったところだろうか……
おっさんは平和主義なのだ。
戦争なんて嫌だよ。
だけど、冒険者を止める?
戦争が始まってからだと、急には止めれない法律があるそうだ。
何より、冒険者を止めると稼ぎがない。
修平は手に職は持ってない、それにスキルもない。
王都には一度行ってみたかった。
だがまさか、こんな形で行かなければならないなんて……
「混乱されている方も多いでしょうが、召集は三日後です。三日後の朝、東門に集合をお願い致します!」
「あと三日しかないのか、俺はどうすればいいのだろう……」
修平はいずれ元の世界に帰る。
だから、ほとぼりが冷めるまで逃げる?
花梨ちゃんもいる、エルフの里に匿ってもらうとか?
答えがなかなか出てこない………
この世界で親しくなった人達を見殺しにして、自分だけ助かろうなんてできないか……
おっさんはお人好しなので……
「とりあえず、今は自分にできることをしよう」
そう心に決める、キメ顔はちょっと渋い、おっさんなのであった。
戦争、嫌ですね。
少し残酷な描写が増えるかも知れません。