9話 事後処理
時間はちょうど昼くらいだろうか、凄く暑い。
ボスはナタリーが討ち取ったが、戦いが終わった訳ではない。
ここからは残党狩りである。
生き残りがいると知恵をつける。
今後のリスクを考えると、殲滅しなければならないのだ。
後は死体の処理だ。
疫病の元となりかねない為、穴に落とし、焼いて埋める。
修平は土魔法を使える。
その為、穴をあける役目を引き受ける。
「フォール!」
以外、まともなネーミングだ。
深さ3メートル、幅5メートル程の穴を幾つか作る。
しかし、残党の数次第では、もう少し穴が必要になるかもしれない。
子供のゴブリンの死体も運ばれてくる。
理性ではわかってはいるのだが、やるせない。
見廻り組以外は、ゴブリンの死体を次々と穴に落としていく。
負傷者は先に荷車に乗せられて帰還することになった。
ダニエウ、彼はキノコのまま運ばれて行った。
まるで出荷されて行くみたいだな。
でも、それって重くない? 崩せばいいんだよ?
「門の閉まる時間は調整してもらう。だが、急いで終わらせるぞ!」
ギルドマスターが激をとばす。
しかし、思っていたよりゴブリンの数が多い。
この激しかった戦闘で、死傷者が出なかったというのは、不幸中の幸いだっただろう。
全てのゴブリンが穴に落とされ、火が点される。
熱気と匂い、更には気温の暑さで、目眩がする。
「あ〜、冷えたビールが飲みたい〜!」
どうやら、この世界はあまり冷えた飲み物はないらしい。
先日、果実のジュースも飲んでみたが、やはり温かった。
氷の確保が難しいのであろう。
氷魔法の使い手もいるにはいるのだが、希少だそうで、たかが飲み物を冷やすためだけには使われないのだとか。
皆、黙々と作業を続ける。
ただただ、この作業を早く終わらせるために……
作業を終え、街に帰ってくる頃には日が沈みかけていた。
とても長い、長い1日だった。
体はくたくたで、汗まみれだ。
早く横になりたい、おっさん、もういい歳なので……
「報酬は明日の昼頃に支払います! その時間頃にギルドまでお越しください! 皆さま、お疲れ様でした!」
解散の声がかかると、皆それぞれの帰路につく。
飲みにいく者、娼館に向かう者、様々だ。
しかし、修平はどっちにも行く元気がない。
決して立たない(ED)訳ではない、疲れているだけなのだ。
宿に戻って顔を洗うと、ベッドに横になる。
食欲もわかない。
戦闘の光景を思い出すと、吐きそうになるのだ。
「もし、対人間だったら……あまり考えたくないな。寝よ寝よ、おやすみ~」
こうして、暑く、寝苦しい夜は過ぎて行くのだった。
次の日、修平は報酬を貰う為、ギルドへと向かう。
受付は混んではいたが、報酬は問題なく受け取る事ができた。
基本報酬銀貨20枚、討伐報酬は一体につき銀貨3枚、合計銀貨80枚。
装備の事を考えると、大赤字である。
仕方がない、闘いとは無常なものなのである。
それから3日経った。
そろそろシーズンオフになってしまう、いつものウサギ狩り。修平はこの依頼を中心に、冒険者業務を勤しんでいた。
ついでに薬草等の納品も受けてみた。
どんな仕事でも、経験は糧になるのだ。
頑張って、それなりに稼いできたので、銀貨を300枚を返済にあてる。
人生はコツコツの積み重ねだ。
千里の道も一歩からなのである。
休憩の合間、ナタリーに剣の稽古をつけてもらう。
修平はゴブリン戦において、剣の未熟さを痛感したのだ。
できる手数は増やすに越したことはない。
風魔法も少しづつ練習するのだが、目に見えない故、イメージを形にするのが難しい。
ギルドに在籍している冒険者の中、風魔法の使える魔導師に話を聞きながら、少しずつは形になっていっている。
今まで感じた事がない、実りある充実感。
おっさんはいつにも増して、灰テンションだ。
「え、俺を指名で……はぁ、護衛依頼ですか?」
修平は、ギルドにやって来るなり、いきなりリリアから伝えられたのだが……
どうやらトゥラン商店から、修平を指名の護衛依頼がきたようだ。
前回は失敗して終わってしまったが、交易所までの護衛をして欲しいとのことだった。
ローン残高45315850円
なかなか減りませんね………
現実もそんなもんです(笑)
初めての作品なので細かい変更をちょこちょこしてます。
本筋はかわらないのですが……なかなか難しいです。