表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
100/104

プロローグ

「どうなってんだ?」


 ジューレイド城上空に、三つの人影が浮いている。

ラギアとナキュレイ、それにレイリーだ。

三人はゴルドに指示され、ガリオン帝国領の偵察に来ている。


 偵察するにあたり、ラギア達は帝国の地理に明るい為、レイリーは二人のお目付け役として。


「あなた、脳筋の割には魔力が高いのね。これ、結構魔力をもっていかれるけど」


「魔法も二属性使えるぞ。呪文を覚えるのが面倒なだけさ。はっきり言うと、殴った方が早いからな。どうだ? そこら辺の話、ベッドの中で語り合うか?」


「おいおい、父親の前で娘を口説くな。しかも、いきなりベッドインとは聞き捨てならんぞ! だいたい、お前のパーティーには綺麗所が揃っているだろうが! 俺の娘にまで手をだすんじゃない!」


 空中に浮いている三人の背中には、飛行ユニットが取り付けてある。


 飛行ユニットは、エネルとアキュレーが着けていた物と、予備に一つ、合計で三つしか、既にこの世には存在しない。

作る技術も失われている為、新しく作ることもできないのだ。

三人はエネルから借り受け、身に付けている。


 現在、三人の眼下には、城の姿があるのだが、城には守衛さえいない。人の姿が全く無いのだ。


「いつもこんなに……んな訳無いな。何処に行ったんだ?」


 三人は城に降り立ち、中を探索するが、やはり人の姿はない。


「人だけじゃねぇ、ロッドマンの作っていた気持ち悪い生き物もいない。何がおきた? 俺達がロッドマンと戦ってから、まだそんなに経ってないぞ……」


 レイリー達はポーションを飲み、魔力を補充する。

そして、三人は再び空へと飛び上がり、帝都に向け、空を進んでいくのだが……


「何処にも人の姿が無い……荒らされた形跡も……」


 途中、小さい村や、軍港、全ての施設から人の姿が消えていた。


「いくらなんでもな……このスピードなら、帝都まで往復しても大丈夫だろ。行ってみるか」


 暫くして三人は帝都に着くのだが、やはり人の姿が無い。


「集団神隠し? それとも、洗脳して何処かに連れていった?」


「気味が悪いな。帝都の人口は三十万人はいたと思うが……」


 三人はそのまま、城まで歩いて行く。

民家も、店舗も、兵士の詰所もさえも、やはり誰もいない。

周囲は静まりかえり、三人の足音だけが響いている。


 そして、城へと着くのだが……


「?」


 城の入り口に、黒い大きなシミができていた。


 深い、深い黒い色。

見ているだけで、意識が堕ちていく様な……


「なんだこれは?」


 レイリーは、試しに物を投げてみるが、シミに反応は無い。

だが、直接触る行為は危険な気がする。


「ラギア、触ってみろよ!」


「いや、何かわからんが、これヤバいだろ」


 レイリー達が話している内に、シミは跡形も無く消えていった。

そこには既に、何も無い。


「いったいなんだったの?」


 腑に落ちないまま、三人はクロイツへと帰還するのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ