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中島の夏  作者: 鐵人
5/5

駅伝

雪の降る季節になった。


私の地元でも雪は降るが、滅多に積もることはない。


山間部に行けば、積もるところは、愛知も同じだった。


子どもの頃は、もっとたくさん降って、平地でも積もることがあったけど


今は温暖化の影響か、積もることはごく稀だった。


夜間に降り始めた雪は、翌朝には白銀の世界を作りだす。


滅多に積もらない地域だったので、その光景はとても美しく


鮮明に記憶に残ってる。




この季節は、ランの練習量が増える。


そして、期間限定で陸上部に借り出されるのだ。


駅伝大会要員として。



トライアスロン部には、私以外にもう一人、走るのが得意な先輩がいる。


先輩は昨年も駅伝に出たらしいが、今年は私と2人で陸上部に借り出されることになった。




「ホルンには絶対負けん!こんな乳のでかい子に負けてたまるか!」


先輩の口癖だった。


恥ずかしいから、ほんとやめてほしい・・・(涙)




駅伝は全5区で争われ、全国高校女子駅伝の予選会に位置づけられている。


私は華の1区を走ることになった。


距離は6キロ。


最後の1キロは、結構きついのぼりがある。




久しぶりの駅伝大会だった。


中学のときも3年間、地元の駅伝大会に出場した。


高校生となり、スイムとバイクに練習時間を裂かれる中


果たして自分の力がどこまで通用するのか


心配だったが、楽しみでもあった。




スタートとともに、会場の春日部総合公園の陸上競技場を1周。


集団は軽快に外へ飛び出した。


しばらくは、けん制し合い、ペースが上がらなかったので、大集団で走っていた。


しかし、3キロを過ぎたあたりから、スピードアップ


それについていける選手と、ついていけない選手が現れはじめ、集団は少しずつ縦に長くなった。


5キロを過ぎて、ラスト1キロ。


すでに先頭は7人に絞られていた。


私も先頭集団で走っていた。




ラスト600メートル


大きく息を吸い、肺にたくさん空気を取り込んだ。



ラストスパート



歯を食いしばり、必死に前を向く。


私の前にいるのは3人。


最後の力を振り絞り、一気に全員抜き、あとは自分との戦い。


後ろから追われる恐怖


抜かれたくない!




私は1区の区間賞でゴールした。


後続の3人は、私のスパートについて来れず


差は結構開いたようだ。


2区はトライアスロン部の先輩で


そのまま2位でたすきを3区へつなげた。


残念ながら、うちの高校は全国大会へは出場できなかったが


いい経験ができたことに、とても感謝している。


駅伝大会が終わって数日


何度か陸上部の顧問が私を陸上部へ誘いにきた。


しかし、心はトライアスロンに奪われており


誘いを右から左へ聞き流した。






桜が咲き、つくしが顔を出す。


日の光は暖かく世界を包み込み


頭の中は空っぽ。


毎日こんな気持ちのいい天候が続けばいいのにと願ってやまない。


新入生も加わり、いよいよ2年目のシーズンが始まった。


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