小説家になろう
運営さんへ
すみませんでした。
僕は小説家になりたい。
僕がまだ中学生の時は授業がつまらなくて、ずっとずっと自分で小説を書いていた。それぐらい小説が好きだ。だから、小説家になりたい。
そんなことを思っていたある日である。とあるサイトを見つけた。
「小説家になろう」
誰でも簡単にネット上に小説を載せることができるというサイト、その名も「小説家になろう」。これを見た瞬間、僕は心に決めたのであった。
「ここで小説を書こう!」
早速僕はそのサイトで執筆を始めた。
最初は、悲しくて泣けるストーリーの短編を書いた。
久しぶりに書く小説。あの中学時代が脳裏に浮かび上がってくる。
暫くしてついに小説が完成した。題名は「うんちもりもりマンの憂鬱」にした。
「うんちもりもりマンの憂鬱」...泣ける、泣けるぞ。僕は心からそう思った。
ただの一般人が大便を漏らすだけのバカみたいな内容なのに、人を泣かせる。そんな前代未聞な小説を書けたことに、僕は感動した。
「もしかしたら僕は、小説家の素質があるかもしれない!」
僕は自信を持ってそう心に思った。
次の日、早速評価が来ていた。
「こんなに泣ける話は初めてです。本当に感動しました。久々にこんな笑い泣きさせて頂きました」
「感動の小説のはずなのに内容で笑う」
「ネットやめろ」
俺「はぁぁぁぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁあああぁぁああああA-aaaaaaaaaa AAAAE-A-A-I-A-U-JO-oooooooooooooo」
俺は激怒してBrain Powerを歌ってしまった。初めて書ききった小説だ。初めてきちんと書いて公開した小説だ。題名も「うんちもりもりマンの憂鬱」である。なのに、どうして「ネットやめろ」とまで言われればならないのか。
怒りを抑えられなかった俺は、BPMを抑えられずに曲を出しまくる某か◯りあのように小説を出しまくった。代表作は「となりの山形くん」「貸し暮らしのアリエンティ」「となりのトットロ」「もののけ爺」「地中海の城ラピュータ」などなど。全て完全オリジナルの作品で決めてやった。
俺はまた、評価を楽しみに次の日を待った。
決まって同じコメントが来た。
「これどう考えてもジ◯リ作品のパクリでしょ」
「宮◯◯監督に謝罪しろ」
「運営に垢BANされろ」
俺は気が済むまで泣いた。どうして完全オリジナルの作品でここまで批判されなければいけないのだろうか。
その時、僕の頭に哲学的な考えが浮かんだ。
「人の評価は人の評価。自分の中の評価を優先しろ。自分らしい小説を書け。」
今まで僕は、小説の評価だけを気にして来た。時には有名な作品のストーリーを参考にしたりしていた。しかしそれでは、自分らしさが欠けてしまうのではないか。
僕は決めた。評価は気にしない。自分らしい小説を書いていくぞ、と。
次の日、僕は早速小説を書いた。
「うんこもりもり森鴎外」
「アソコがいくんじゃぁー」
「真夏の夜の悪夢」
「クッピー★」
いずれもかなり高い評価を貰った。
「◯◯らしい小説。共感できる」
「こんな感動できる小説は初めて」
「ネットやめろ」
こうして僕は気づいた。自分らしさを引き出して、この世の中を歩んでいく。それが結局、一番重要なことだと僕は学んだ。
小説って、面白い。そう、心から思った。
1週間後。僕の「小説家になろう」のアカウントがBANされた。
BANされて当然