【青い夏の夢】‐2
「終わったー!!」
一日の授業が終わり。三組のホームルーム終了と共にコハルが飛び込んでくる。呆れ顔で教室を後にする先生を見送り、鞄から端末を取り出した。
「で? ニュースって何なの、アキラ」
これでもかというくらいに瞳を輝かせたコハルの隣で、私も端末を取り出す。
授業の間電源を切っていたから気づかなかったが、チャットルームにアキラからの新着メッセージが届いていた。『要相談!放課後三組で』と書かれている。
「ん。そのことなんだけどさ……」
アキラは何か迷っている。
「呼び出しといて言わないってないでしょ。さっさと言いなさいよ」
コハルの言葉に、アキラは頷いた。
「それもそうだ……ってわけで、海行かね?」
「はぁ?」
「海?」
あまりに突飛な発言に、口々に呟いて、コハルと私は顔を見合わせる。
「別にいいけど……それが相談したいことなの?」
コハルの疑問には私も同感だった。アキラは何か、大きな問題を抱えているような、気がする。
アキラはしばらく考え込んで、端末を操作しながら応えた。
「実はさ、二人を誘ってくれって頼まれたんだ」
「誰から?」
ほら、と言ってアキラが別のチャットルームを見せた。個人同士のチャット。相手は
「宗馬 冬夜……!トウヤって……嘘」
コハルが息を飲む。
教室に残っていた何人かが、心配そうな表情でこちらを見た。
私の脳内に、一人の男の子が現れる。少し困ったような顔で笑う彼は、突如としてこの世の全てを憎むような冷たい顔をして去ってしまう。呼び止める声に、振り向きもせず。
もう何度この映像を見ただろう。