表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その名はニシュタマリゼーション  作者: 古川モトイ
13/21

方針

ボクは草ぶきの粗末なテントに住んでいる彼らの生活を思った。


「地球で言うところのこの世界の文明はどのレベルなんですか?」

「うーんとなぁ……青銅器文明ぐらいといえば分かるか?」


ボクが村で見た道具は青銅器だったのか。


「別の地域ではもう少し発展した場所もあるんだが、ここは遅れているな。」


彼らの受けている呪いを考えればそれも仕方がない。子供が育たない、慢性的に不健康、早死にする……それら全て栄養失調に由来している。


「農耕より狩りをしたほうが、マシじゃないんですか?」

「彼らは別の土地から追われてきた農耕民族だ。弱いんだよ。ただ、この世界で唯一……」


ボクはわかった気がした。


「トウモロコシを主食に選んだと。」

「察しがいい!さすが私が選んだメッセンジャー!」


褒められてもうれしくはない。気が重くなる話だ。


「まあ、ボクも塩がなくて困ってますが、彼らも放っとけば全滅しますよね?」

「するだろうなぁ……」


まあ、何と言うか、知らない集団に打ち解けるのはボクが最も苦手とする分野だ。


「なんでもっと社交的な人間を選ばなかったんですか?」

「あれ?気づいてないの?地球でワタシの事が見えるの、多分、キミ一人だけだよ?」

「その貴重な人材を地球から連れ出したんですか?」

「まあ、轍鮒の急だな。」


岩場を登ると、村が見下ろせる。


「何ですかその言葉?」


センテオトルは答えた。


「とにかく、時間はないよね?急いでいたんだよ。」


上から見ると良くわかるが、ボクがいじくった場所だけ見るからに豊作になっている。パワーが本物だと分かったところで彼らの今の窮状は救えないのだ。センテオトルはしばらく話し相手になってくれた。自分が古代の地球でなにをしたか、ここの狼達がそうであるように神のメッセンジャーは多くの野獣に襲われないということ、そしてワニやヘビは襲ってくるらしいことなどだった。


「彼らを救ってどうしたいんですか?」

「崇められたいわけではないんだ。ただ、トウモロコシを主食とする民をワタシは愛しているんだよ。ワタシの話し相手になってくれる貴重なキミを派遣するほどには、彼らを愛しているんだ。」


ボクはどんな顔をしてセンテオトルを見ているのだろう。


「初めて、アナタの事を神様だと思いました。」

「ワタシはずっとキミの事をワタシの預言者だと思っていたよ。キミが生まれた瞬間から確信していた。」


なにかがボクの心の中で動いたのだろうか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ