ため息
「センテオトルー!センテオトルー!」
「なんだ?」
呼ぶと出てきた。
「塩がない。そろそろやばい気がする。」
「それは間違いないな。」
ここまでの食生活といえば水とトウモロコシとやっと一羽手に入れたスズメだった。
「野菜も食ってないぞ。」
「それも、まあまあ良くないな。」
センテオトルは自ら食べられる草を教えてくれた。
「生で食えるの?」
「あまり美味くはないかもしれないが、食べられるはずだ。」
久々にみずみずしい物を食べたのでかなり美味しく感じた。しかし塩味がない。
「塩は入手できるのか?」
「入手しないと死ぬからな。」
センテオトルは悩んでいる。
「ここから歩いて三日の場所に塩気が強い土が掘れる場所がある。」
「村の連中はどうやって塩を入手してるんだ?」
センテオトルはこちらを向きなおした。
「買ってる。」
物々交換で行商人から買っているらしい。
「その行商人はどこから塩持ってくるんだ?」
「海だよ。塩田があるんだ。ここから3週間ぐらい歩いた場所にある。」
「神様、ハードすぎるよ。」
センテオトルも唸っている。
「その辺はワタシの管轄じゃないんだよ。」
「知っております。トウモロコシの神様ですよね?」
センテオトルは頷いている。
「村の人間もあんなに頑なだと思わなかったしな。」
ボクはいい機会なのでセンテオトルに一番聞きたかった質問をした。
「何で自分でニシュタマリゼーションを伝えなかったんですか?」
センテオトルが再び唸っている。
「彼らには私が見えない。何と言うか適正がない。ただ、このまま行くと彼らは全滅してしまう。この世界ではトウモロコシの地位が上がらないままになってしまう。」
「でしょうな。」
ボクは長いため息をついた。