新たなパワーはやはり地味
「バケツ……欲しいか?」
急に声を掛けられてビックリした。センテオトルが後ろにいた。ボクは収穫したトウモロコシを岩場に広げて干していた。
「何ですか、急に。……欲しいですけど?」
センテオトルが木製のバケツを差し出してきた。なんか、「もっと早くくれよ」という感情と「これで水が汲める」という喜びが同時にこみ上げてきて、ぶっちゃけ泣きそうだった。
「あと、もう一個、パワーを授けよう。」
そういって、ボクの背中を叩こうとするので、思わず避けた。
「いらないのか?」
「いや、心の準備があるでしょう。それ背中じゃないとダメなんですか?」
話し合った結果、左腕にしてもらった。背中よりもだいぶマシだ。
「今度のパワーはすぐわかりましたよ。トウモロコシの葉や茎、芯の加工品を作る技術ですね。」
「結構いろいろ作れるだろう?」
ボクは干したトウモロコシを見ながら、それらをどうやって加工すればどんなものが作れるかが頭の中で整理されていくのを感じた。
「結構いろいろ作れますね。むしろ、何で今まで教えてくれなかったんですか?」
センテオトルはいなくなっていた。まあいい、おかげでだいぶサバイバルの知識が増えた。トウモロコシの実を取り出すときの皮は丈夫なロープまでは作れないまでも、籠や茣蓙ぐらいは作れる事がわかった。ボクはさっそく、乾燥したトウモロコシの皮を集める事にした。