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第67話 本音の建前

投稿が遅れて申し訳ございませんでした。

 12月15日、ポーランシャへと帰還を果たしたその日の昼、俺とメーティスとロベリアの3人は小さな喫茶店に集まって話していた。喫茶店と言っても砂漠のど真ん中にある此処では休憩所程度の規模でしかなく、品揃えも直搾りのジュースのみとささやかなものである。遠征の直後ということでこの日は全員が一日中休めるように取り計らい、ロベリアはその決定と同時に俺達を誘い出したのだった。

 店の外に設けられたテーブルを3人で囲み、柑橘類のジュースを各々好きに用意して顔を合わせる。暫し葬式のような重苦しい沈黙が流れ、誘ったロベリアはテーブルの中央を凝視して言い出し方を悩んでいたようだった。俺も俺で、ロベリアが発言しないことには下手に何も言えず、メーティスはと言えば俺とロベリアの方をキョロキョロと見てそわそわしていた。

「…レムくん」

 前触れは無く、ふとロベリアが顔を上げて俺に呼び掛けた。俺はピクリと揺れたメーティスを一瞥して「ん…」と答えた。

「私はレムくんが好き。その気持ちが変わったことは一度も無いよ。レムくんは教室で1人でいた私に声を掛けてくれた。それが励みになって、私はたくさん友達を作れた。嫌いだったこの髪だって、レムくんが褒めてくれたから自信が持てた。…レムくんには本当に感謝してるし、だからこそ好きだって言い張れる。いろんな事があったけど、今でもやっぱり、誰にも渡したくないって強く思ってる」

「…あぁ、ありがとう」

「でも、今レムくんが好きでいるのは、やっぱりクリスティーネ様なんだよね。クリスティーネ様もきっとレムくんに好意を持っておられるし、相思相愛なのが互いに分かってる」

「…まぁ、一応は」

「けど、その恋が実る保証はどこにも無い」

 その言葉に息を呑んだのは俺ではなくメーティスだった。メーティスは感情の纏まらない内に立ち上がり、ロベリアにその激情を叩きつけようとして言葉に詰まった。その表情は、怒りと同調の分岐に差し掛かって足踏みをするようでいたが、数秒掛けて頼りなく憤慨した。

「…ロベリア、そんなこと言うのは…」

「メーティスだってそう思ってるでしょ?でも、レムくんが諦めないから言いたくても言い出せない」

「違う、私はッ…!」

 メーティスは自らの胸に右手を当て、堪らず叫んだ。しかしその後は続かず、睨むように見上げるロベリアにメーティスはその手を垂れ下ろした。

「いい、メーティス。ロベリアの言うことは正しいし、俺は俺なりにその覚悟をしてる。…寧ろ、その事でお前に気を遣わせていたなら俺からも謝らなくちゃならない」

 俺は座りながら眼を合わせて告げた。メーティスはまたも息を呑み、一拍子遅れて激しく首を振った。しかしやはり、それを上手く言葉に表せてはいなかった。

「違う…!…私は、そんなんじゃ……そんなんじゃない…」

 それ以上は続かない。メーティスからの発言を待ち倦ね、またロベリアが俺を向いて話し始めた。その面持ちは冷淡である。

「私はレムくんに、『ちゃんと好きな人と付き合って』って言ってたよね。それは撤回しない。レムくんがクリスティーネ様を好きでいること自体は別に反対しないよ。でも、それなら私だってレムくんを好きでい続けるし、付き合えるようにアピールし続けるよ。諦めて代わりを探すなんてことはしないし、レムくんには本気で私を好きになってもらった上で交際してもらいたい」

 そこまで言い終えると、今度は熱の籠った視線をメーティスへと向ける。ロベリアがこの場で本当に告げたいのは次だった。今となっては俺もロベリアを止めるような真似はしなかった。

「ねぇメーティス、レムくんとクリスティーネ様の関係を応援してるよね?」

「…う、うん」

「私のことは応援出来る?」

 メーティスは言葉に詰まり、ロベリアは嘲るように目を細めた。俺は口を開かずそれを眺めていた。

「クリスティーネ様は良くて、私はダメなんだ?何で?」

「べ、別に、そんなことは…」

「あるでしょ。何で?」

 強気の物言いにメーティスはたじろぎ、眼を逸らす。

「…2人は、好き合ってるから…」

「でも、交際に漕ぎ着けるかは怪しいよね?身分が違う上に、クリスティーネ様自身が付き合わないように自戒してるのをメーティスは知ってるでしょ?それでも応援するの?クリスティーネ様にとっては余計なお世話…それどころか、もしかするといい迷惑かもしれないよ?」

「…でも、レムは一生懸命クリスのためになろうとしてるし、報われて欲しいから」

「それってつまり、レムくんのため?それともクリスティーネ様のため?…2人のため?」

 メーティスは口を僅かに開いて虚空を見据え、少し経って答えた。

「…レムのため」

「…そう、レムくんのためだよね。でも、レムくんのためにどうしてそこまでするの?友達だから?それだけでここまで尽くしてきたなら、もうそれは聖人の域だよ」

「別の理由があるって言うの?」

「それをメーティス自身で見つけて欲しいの」

 メーティスは戸惑って俺を見ると、そのままゆっくり椅子に座り直した。目線の高さを合わせて、問い掛けようと口を開いたメーティスより僅かに早く、睨み付けてきたロベリアから俺に声が掛かった。

「レムくん、さっきから黙ってるけど、これはレムくんの話でもあるからね。レムくんはクリスティーネ様と結ばれることを夢見て頑張ってるのかもしれないけど、そんな不確定なことに阻まれて手が出せないなんて私が堪らないの。だから遠慮無くアプローチさせてもらう」

「…いや、分かってる。黙ってたのは口を挟みたくなかっただけだよ。お前の言い分には納得しているつもりだ。ただ先に宣言しておくのは、俺からクリスへの気持ちはそれなりに強いってことだけだ」

「うん、それならいいよ」

 そしてまた、ロベリアはメーティスを向く。…もうメーティスも全てを悟ったのだろう。ロベリアを恨むように眉を寄せて俯いていた。

「…私のことは放っといて。ロベリア、頑張りなよ」

「私だけじゃない。メーティスもだよ。レムくんの前では無理して笑って、1人になるといつも下向いて過ごして、後悔が無いなんて言わせないよ。私が頑張っていいならメーティスも頑張っていいはずでしょ。脇に徹していてもメーティスが浮かばれることは何も無いよ」

 メーティスは目を大きく見開き、勢い良く立ち上がった。そうして俺とロベリアを恨めしく見下ろすと、バッと身を翻して歩き出す。

「私は私の考えがあるの!もう放っといて!」

 メーティスが立ち去った後には、俺達と、3人分のジュースだけが残る。メーティスの分をロベリアに預けて、俺は自分のジュースを飲み干すとすぐに立ち上がった。…メーティスがいないなら、もうこれ以上ここで話すことは無い。ここから先のことはロベリアを交えず、俺とメーティスとの間で進めるべき話だ。

「…レムくん」

 お代は出しているからと立ち去りかけた俺に、続いて立ったロベリアが呼び掛けた。俺は半身ほど振り返り眼を合わせた。メーティスのことで念を押されるものと思ったが、ロベリアは寂しそうに微笑んでいた。

「…私は最後でもいいから。…迷ったら、メーティスを選んであげてね」

 俺は彼女の口からそれを聞いて驚いたが、「…そうか」と辛うじて返答した。それ以上のどんな言葉も憚られ、彼女の微笑に背を向けて歩いていった。


 一度宿に帰ったが、珍しくレシナがルイに部屋で甘えているだけで、メーティスはまだ帰っていなかった。…それもそうだ、さっきの今で宿に戻ろうと、すぐに俺達は追い付くのだから。俺のことは独りにしないと言っておいて…、と頭を掻いて少し笑い、俺は彼女を探しに街へ出た。

 とはいえ、この街では行き先に検討が付かず、1時間近くは無駄に歩いていたように思う。行けども行けども砂漠街で、メーティスが好みそうな華やかな店などもまるっきり見当たらなかった。俺自身もポーランシャの街など殆ど歩かなかったもので何処に何があるという情報すら持ち合わせていなかった。

 …俺が幼少期の記憶をちゃんと思い出せれば少しは検討も付いただろうに、と溜め息一つに空を仰ぐ。この街に初めに来た時に感じたようなデジャブの感覚もすっかり均されてしまって、喪失した記憶が呼び起こされる予感なども現れない。俺の中に眠るレミオの人格も、無理をして表層に浮かび上がるつもりは無いのだろう。

 ふと、通りすがった路地の裏に男女が覗き見えた。それはいつか小物売りをしていた捨て奴隷の少年と、彼に小銭と小さなパンを与えて膝を畳んでいる女性だった。女性は身体に張りついたような薄い布の赤いドレスを身に付け、そのドレスの端は摩り切れたように何ヵ所も破れていた。また、薄布のドレスに関わらず下着の凹凸が浮かばない所を見るに、下着等を着用していないようだ。彼女も少年と然程変わらない境遇にあるのだろうと、その2人の間に広がる共感の温かみから察することが出来た。

 彼らを見ていて何故か防具屋に足が向いた。どうしたことかと思っている内に辿り着き、扉を開けるとカウンターの傍の椅子に腰掛けたメーティスを見つけた。

「あっ…レム…」

 メーティスは振り向くと気まずそうに顔を歪めて膝の上の握り拳に眼を落とした。カウンター越しに彼女と話していたらしいオーディンは、胸の前で腕を組んだままの状態で、俺の来訪を喜び微笑んで頷いていた。

「おお、レムリアドくんか!今ちょうど彼女と君の話をしていた所だ」

「俺の…?」

 メーティスはフイッと顔を俺から背けて身体を強張らせ、俺は扉を閉めて入りながら彼女を一瞥しオーディンと顔を合わせた。

「ああ、昨日まで仕事で出ていたというのでどんなことをするのか訊いたのだが、それから意図せず君の様子に話題が変わって、彼女からは君の、私からはレミオのことで情報交換していたんだよ」

「…ほお、なるほど」

「ところで、何か用事があるのか?君から訪ねてくるとは」

「あぁ、いえ、メーティスを探しに来ただけです。ここに来てたとは思いませんでしたが…」

 前に比べれば多少気楽に話せるようにはなってきたが、それでも彼がこのように言う程、俺からの訪問や会話の頻度は少ないままだ。やはりこの溝だけは易々と埋まらない気がしている。

「…すいません。長くお邪魔して…」

 ふと、メーティスはそうオーディンに頭を下げながら椅子を立った。「いや、楽しかったよ。またいつでも来なさい」と笑うオーディンを意に介さず、メーティスはせっせと椅子を壁際に運んでいって俺の隣に並んだ。彼女は俺を見ようとはしないまま、俺がこの場を離れるのを待っているように見えた。

「…じゃあ、俺達はこれで。お騒がせしました」

「あぁ、構わないさ。また来なさい」

「はい、また」

 短く話して一礼し、メーティスを連れて外へ出る。オーディンは寂しそうに笑って俺達を大人しく送り出し、俺は扉を閉じる前の一瞬に眼を合わせて再度頭を下げておいた。日の下に出て、両腕を上に軽く伸びをした俺を、メーティスは幼い子供のような丸っこい目で見上げた。

「…よしっ、じゃあ帰るぞ。もっと外で羽根を伸ばしたいとこだろうけど、今日は晩飯早めに予約してるんだ。大事を取って帰った方がいい」

「…そうだね」

 互いにもっと話すことがあると分かっているからか、そこから歩き出すまでに少し時間が掛かった。見つめ合い、結局は口を閉ざしたまま歩き出す。暫くは互いに切り口を探して黙り込み、宿への道も半分まで差し掛かった頃、意を決した俺を遮るようにメーティスが呟いた。

「私とレムって、似てる」

 メーティスは俺を見ないままに告げていた。

「……似てる…か?」

「似てるよ、境遇が」

 そうだろうか?俺にはとてもそうは思えなかったが、メーティスは薄く笑って続けた。

「最近だって、故郷が魔物の手に墜ちたこととか、その前もクリスの力になれなくてずっと悩んでたり…」

「それは…同じ場所にいるからだろ。ずっと、誰よりも傍でその時間を過ごしたんだから、そう感じてしまうのも当たり前なのかもしれないな」

「違うよ、これだけじゃない。もっと前、子供の頃から私達は似てたんだよ。…例えば、さっき聞いた話だけど、レミオはあの親父さんにずっと勉強をさせられてた。本当は読書が好きなだけだったのに。…私もね、気になったものを考えたりするのは好きだったの。だけど、それだけでお父様は私に研究の手伝いなんかさせて…。『こうじゃない』、『別に好きじゃない』って、そう思いながらお父様の求める自分を演じて生き延びていた日々だった。…なりたい自分になれずに、周りを気にしてばかりいたの。…多分今も、その名残が、私とレムの両方に残ってる。だから考え方もどこか似てる」

 思いもよらないことだった。俺はレミオのことは深く知らない。オーディンから聞くはずだったのに、俺がそれをやめてしまったからだ。…だというのに、その話の結論には真実味があった。確かに俺はそういう人間だ、と納得してしまうのだった。

「…何か、思い至ったのか?…今日の話で」

 『考え方が似てる』と来るなら、それはきっと彼女が何か考えたからの発見だ。そう感じて訊ねてみると、メーティスは小さくそれに頷いた。

「…レムさ、自分がクリスを好きでいることを理解するのに、凄く時間掛かったでしょ?ロベリアのことがあったから、っていうのもあるかもだけど。…それでさ、初めは友達として、一緒に過ごした仲間として、クリスを助けようとしてた。多分最初の決意は本当にそれだけで、そこに不純な理由を付けたくなかったんだと思うんだ。自分の中で壮大なつもりだった決意が、ただの私欲になるのを恐れたんだと思う。…少なくとも私はそう。ずっとレムの傍にいたから、頑張る君を見続けてきたから、その力になりたいってずっと思ってた。レムがクリスを愛してるのも、クリスがレムを愛してるのも、きっと2人より先に私が気付いてた。…だから、2人が結ばれるのが正しいって、最善だって決めつけてた。それが出来ないなら、本当にどうしようもなくなったら、私がレムを支えようって決めてたの」

 彼女はそう告げて俺を見上げ、その場に立ち止まった。俺も足を止め、真剣な眼差しに向かい合って応えた。

「私、レムと付き合ってた時のこと、『自分のためだった』って言った。それは確かに本当で、私はレムを支えることも忘れて、レムのお姫様でいることに舞い上がってた。…『恋じゃない』、『恋なんてわからない』とも言った。けど、…あれは、今思えば、恋を自覚したくなかっただけだった。…レムとクリスの間に自分が踏み入ることが許せなかったの。全部を壊してしまいそうに思えて、私はレムを支えることだけを考えることにした。…でも、そうすると何だか胸が痛くて苦しくて、…全部が許せなくなった」

「…そうか」

「私、わかったよ。…やっと、ちゃんと気付けた。…私ね、レムのこと、大好きみたい…」

 メーティスは瞳を涙に滲ませた。俺は思わず彼女を抱き締めた。…俺が好きなのはクリスだ。それは変わらない。自らの想いを裏切るつもりもない。ただ彼女は、今日まで誰よりも、クリスよりも俺に寄り添ってくれた人だ。その恩と絆には報いたく思った。

「今までありがとう、メーティス。俺もお前のことは、大好きだ。けど、俺はあいつを愛してるんだ。今の俺はそれを変える気は無いんだよ」

「…うん、知ってる。…ねぇ、これからも傍にいてもいい?…ただ、傍に…」

「居てもらわなきゃ困る。…クリスがいない時、独りにしないでくれる約束だろ?それに俺はクリスと一緒になったとしても、お前を独りにはしたくない。お前ともずっと傍にいたいんだ。だから、気持ちには応えられないかもしれないけど、なるべくお前とは隣り合っていたい。…今はとにかく、それで納得してもらえると助かる。お前とのことはこれからも真剣に考えていくつもりだからさ」

 メーティスは小さく「うん」と頷いた。そして彼女の両手はゆっくりと腰を撫でるようにして俺の背中へと回されていき、互いに深い抱擁へと移ろう。

 俺からクリスに対しての愛情と、メーティスが俺へと向けてくれている愛情、どちらが強いだろうか。…いや、そんなことは気にしてもどうにもならないことだ。俺はクリスを愛し、メーティスは俺を愛してくれている。ならば後の選択を握るのはクリスであろう。クリスが俺を選べるように、クリスの抱える重荷を解消していくことこそが俺のやるべきことだ。その目的のために行動した過程に何があるのか、それが全てなのだ。

 ふと、少し遠くから此方へと掛けてくる若い2人の足音に、俺達はそこが道の真ん中であったのに気付く。サッと半歩ずつ下がり合って、回していた互いの腕も解けて垂れ下がる。少し頬を染めたメーティスが俺を一瞥して足音の方へと顔を向ける。俺も倣ってそちらを向くと、暫くしてジャックとキィマが駆け足に近づいてきた。

「ここにいたんだ、探し回っちゃった」

「ロベリアに訊いたら『さぁ』としか言わねぇし、ホントどこ行ってたんだよお前らさぁ」

 キィマ、ジャックと声を掛けながら目前に立ち止まり、俺はメーティスとの会話を聞かれてなかったかという危惧を一旦置いておいてジャックに訊き返した。

「どうかしたのか?そんな慌ててきてさ」

「おお、それがさ、連絡所に行ったらジーン先輩達が来てて、そんでお前とレシナさん呼ぶように頼まれてさ」

「ジーンさんが?…って、今日は全員オフって言ってあったろ。お前らも仕事続きだったんだから休めば良かったのに」

 お節介に呆れながらも嬉しく思っていると、その横からキィマが申し訳なさそうに頭を下げた。

「ごめんなさい、日頃のお礼をと考えたんだけど、こういう日でもないと仕事を代われなかったから。…結果的に仕事を増やしちゃったし」

「あぁ、いや、構わないよ。その気持ちだけで嬉しい。とりあえず、まぁ宿に戻ってレシナと訊きに出るよ。ジーンさん達はどんな用件だって?」

「あ、うん。詳しい話は追って説明するらしいけど、とにかく1、2ヶ月は掛かりそうな案件があって、その協力をしてもらいたいんだって。レシナには私からもう伝えて先に連絡所に行ってもらってる」

 キィマはそれを伝えて頭を上げた。…おそらくこれが、この1年間の最後の任務となるだろう。不意に眼が合ったメーティスとはその思考が重なったように感じ、2人で頷き合うと俺はジャックとキィマを見回した。

「分かった。じゃあ俺も直で行くよ。メーティスと3人で帰っておいてくれ」

 その2人は「はい」「おう」と口々に了承し、メーティスは「行ってらっしゃい」と手を振った。俺は手を振り返しながら歩き出し、メーティスとの過ごし方を思い悩みながら連絡所を目指した。

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