エピローグ
「カランティ様」
カランティがやってきた知らせを聞きつけ、ウィンレイは駆けつける。
ウィンレイ、彼女こそがカランティの弟子筆頭であり、彼女にもっとも近いとされる一番弟子である。トラードにいる彼女の上司が目の前に現れ、ウィンレイは動揺していた。
ウィンレイが顔を出すときにはカランティはドレスを着終えるところだった。
「ウィンレイ、いいタイミングね。あの方の元へ案内しなさい」
「どうしたのですか?」
「いろいろと会ったのよ。歩きながら情報交換をしましょう」
ドレスを身に着け終わるとカランティはすぐに歩き始める。
「はい」
二人は宮殿のような場所を進む。
「それでどうしてこちらに?」
「事情が変わったのです。トラードが占拠されたのよ」
「そんな…」
「まさか聖カルヴィナ聖装隊が出てくるとは思いませんでした。結界も無効化されちゃうし、ああほんとくやしいわぁ」
聖カルヴィナ聖装隊、その響きにウィンレイは眉をひそめた。
「聖カルヴィナ聖装隊?教皇直属の?」
ウィンレイが信じられない様子で聞き返す。
「あれはユドゥンの差し金ね。妹の場所を奪ったことをまだ根に持っているのかしら。
本当に困ったおばさんですねぇ。詳しい話は後で話しましょう」
「申し訳ございません。私が不在であったばかりに」
ウィンレイはすまなさそうに頭を下げた。
「ヒョヒョヒョ、いいんですよ。トラードなどこれから幾らでも取り返せます。
そうそう我々の呼称だけれど、『真夜中の道化』(ミッドナイトクラウン)にしようと思います。いつまでもカランティ一派ではしまらないでしょう。
『黒狼』、『シバト北部同盟』、『エトラ魔族連盟』他の連中にはきちんとした呼び名があるのに変ですしねぇ?」
「ミッドナイトクラウン…良い響きです」
ウィンレイはカランティのそばでそれを受け入れる。
「それでウィンレイ、実験の状況は?」
カランティの瞳が鋭く光る。
「先日、魔物と並列化した意識から一つの肉体に意識をまとめることに成功しました」
「さすがね。あなたとネリートに任せたかいがありました。それでどう?あの方の様子は?」
「至って健康です。ただし、肉体が安定しません。
ちょっとした魔法を使うだけで体に不調をきたします。
やはり肉体の魔法抵抗力が飛びぬけて強い肉体ではないと魔法が安定しないようです。
さすが元魔王と言ったところですか」
ウィンレイは歩きながらその事実を語る。
「ヒョヒョヒョ…その件は解決出来そうよ、高純度の『魔王の卵』を見つけました。
ここには連れてこれませんでしたが、目星はつけてあります。
他の機関の者の手が空き次第、彼を連れて来させましょう」
カランティは嬉々としてウィンレイにそれを告げる。
「それはそれは」
ウィンレイはにやりと笑う。
「ヒョヒョヒョ…こちらの計画は順調ですよ。これで計画の中核は出来上がった。
他の連中も準備ができ次第動きだすとのこと」
その扉の前には執事のような恰好をした二人の男が立っている。
顔色の色素が異様に青白い。彼らは異邦にだけ存在するという魔族である。
人間界でその姿を見るのは珍しい。
そんな魔族二人組はカランティを見ると頭を下げ背後の扉を開いた。
その先の玉座には一人の子供が座っていた。
カランティはその子供の前で立ち止まる。
「第五魔王ポルファノア、ようこそ現世に。このカランティ、あなたを歓迎しましょう」
カランティはその男の前に跪き、頭を垂れる。
そして第五魔王が現世に帰還した。
時代はその混沌の色を濃くしていく。
第五魔王ポルファノア来ました!
後半はまじで書いてて楽しい。
これからは一部一部かなり大きな動きがあります。
終わりまであと四部(…三部になるかも)全力で楽しんでいきます。
今まで出てきたキャラも登場します。




