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天空都市  作者: 上総海椰
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1-1 勝利条件

ルーランを出たヴァロたちは天空都市トラードに向けて進んでいた。

トラードに着くまであと二日の位置にいる。

これからあと二日寝ればトラードに到着するだろう。

北上するにつれ温度も下がってきていた。

外は風が強く吹いていて、たまに窓ガラスをガタガタと揺らす。


ヴァロとフィアは同じ部屋で宿を借りていた。

いきなりの遠征に手持ちの金がなかったというのもある。

ヴァロとフィアはベットの上で向き合う。

フィアは正座、ヴァロは胡坐をかくといった具合である。

宿には兄妹ということで話をして借りている。

もう数回目になり、一緒の部屋にいることにお互い違和感はない。

ヴァロは剣の手入れをして、フィアは布団の上で魔法の練習をしていた。

「フィア、ユドゥンさんから具体的な方法とか聞いてるのか?」

その話が行われたのは先日のことだ。

ユドゥンがそれを話すと言った直後、ヴァロは部屋から閉め出される。

ユドゥンとフィアが話している間、ヴァロは部屋の外でずっと待機していた。

ユドゥンと直接その方法を話したのはフィアだけだ。

「ユドゥンさんからは口止めされているのだけれど、

ヴァロには幾つかは話しておくわね」

フィアはそう言うとこの部屋に結界を張る。

『音断ち』の結界。

フィアによれば絶対に外に聞かれないように、空気の振動を無効化する結界だという。

そうして、布団の上に正座してヴァロと向き合った。

フィアの態度にヴァロは手にした剣をしまった。

「掃滅結界には三つ、結界の力を停止する方法があるらしいの。

もともと掃滅結界は攻撃性の高い結界のための抑止と

悪用される事を危惧されてその方法が作られたって聞いてる。

フゲンガルデンの絶縁結界とはある意味で対極に位置するモノね」

フゲンガルデンは絶縁結界。

その理由はその真下に第三魔王クファトスが封じられているためである。

そのために途切れることのない強固な結界が必要とされた。

ただし例外があって月蝕の際には一定時間その効果も切れるという条件はあるが。

「それで掃滅結界を停止する方法ってのは?」

「ヴァロ、これから言うことは絶対に他言しないでね。これは本当は重要機密だから」

フィアの剣幕にヴァロは頷く。

「一つ、権限を持って結界を停止させること。

掃滅結界の管理権限を持つのはカランティだけだときいてるからこれは無理ね」

管理権限を持っているものは、一つの結界につき二人から三人だという。

そのうち一人は大魔女だと聞いている。

「一つ、結界に矛盾する命令を与えること。

これも結界の使用権限を持っているのはカランティだけと聞いている。

彼女は他の者にその権限を与えないって聞くし、この方法も私たちでは無理ね」

「フィアは与えられてるのにな」

フゲンガルデンにて彼女は荷物を運ぶ際に、絶縁結界を自在に操って見せた。

「おそらく自分以外を信じてないってことでしょう。

裏返せば警戒心が強いとも言いかえることができるかもしれない」

「警戒心か…」

「最後の一つは結界の『抑止の宝石』を使うこと

その『抑止の宝石』を使えば結界の機能を停止させる魔法式が書き込まれてる。

これは非常手段として掃滅結界にだけ備わっているものと聞いてる。

掃滅結界はほかの結界と違って悪用されると厄介だったために

非常手段として設置されているらしいのよ」

「『抑止の宝石』か…」

「存在するのはこの世に二つ、一つは大魔女がそれを持っていると聞いた。

もう一つはトラードの地下深くに眠っている」

「大魔女?ラフェミナ様のことか?それなら直接頼めば…」

「いいえ」

ヴァロの言葉にフィアは首を横に振る。

「所持していたのは大魔女サフェリナ。すべての結界の基礎を築いたと聞いている。

彼女はもうこの世にはいないし、彼女の作った魔法結社メルゴートも

『狩人』の掃滅作戦により、その拠点だった場所ごと失われてしまった」

フィアは淡々とそう述べた。

大魔女サフェリナはフィアの実母であり、メルゴートは彼女の出身結社である。

「フィアの母親なんだろ?」

「正直あったことはないし、自分の母だという実感はないのよね。

ああそういう人がいたんだなって思うだけ。

メルゴートに私を育ててくれた人はいたけれど…」

魔法結社メルゴートはフィアの古巣でもある。

魔王崇拝の罪により、この地上から消されたのだ。

「…すまない。嫌なことを思い出させたな」

ヴァロの声にフィアは小さく首を振った。

「…私にとってはフゲンガルデンが故郷。

そして彼女たちはルーランでヴァロのお兄さんにまで手を出してきた。

私はそれが許せない」

ヴァロは兄貴のことで腹を立ててくれるフィアのことをうれしく思うのと同時に

心強くも感じた。

「それと、結界を解ければ後はユドゥンさんがどうにかするって」

フィアはそう言って部屋に張られた結界を解いた。

「結界を?何をするつもりだ?あの人は…」

宿のドアがノックされる。

「誰だ?」

ヴァロはすぐさま傍にある剣を手に取った。

こんな夜更けにヴァロたちを訪ねてくる心当たりはない。

ましてここは敵地のすぐそばである。


ヴァロが警戒して出入り口のドアの方に近寄ると、見慣れぬ紙がドアの下に差し込まれていた。ドアを廊下を見渡すも人影はない。

紙には明日到着するであろう街にある酒場『猫の皮靴』の奥の部屋にて待つ。

とだけ書かれていた。


自分が書きたいというよりは自身の書いたものの続きを読みたいって感じになってるなと。

次の話も自身の中では終わっているので早めに終わらせます。

ああ、狂ってるなぁ。

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