思いでの日記
今年の春、新しく増える家族を
迎えるために引っ越しの準備をしている。
「一途ー、要らないものは私に
ちょーだいねっ!!」
「それじゃ片付けにならないじゃん!」
僕の名前は永岡 一途
この、訳のわからないことを言っている
女性の名前は宇佐見 美月
かわいいかわいい僕の妻だ。
「おっ。。。!」
懐かしいものが出てきた。
えーと、確かこれは僕が美月と
付き合い始めたときつけ始めた日記だろう。
片付けする手を止めて、まるで
いままでの歴史を振り返るかのように
おもむろに日記を開いていた。そして、その
日記の1ページ目にはこう綴られていた。
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4月8日(水)曜日(晴れ)
最上級生になったばかりの日。
僕に人生初の春がきた。暦の上では
少しばかり遅いけれど、
そんなことなど関係ないっ!
とりあえず、この記念すべき日を
忘れないために日記をつけようと思う。
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あれは確か、今から5年前の事。
携帯電話と言うものが普及してからは、
靴箱に手紙?え?屋上に来てください?
おっと?!告白されちゃったよ!
みたいなのは、なにそれ?アニメのはなし?
ってなくらいの感覚で、
ましてや、僕なんかには
無縁のはなしだと思っていた。
そんな僕の常識がぶっ壊された新学期初日。
「昨日の夜、こんなメールが来るなんて。」
呼び出しこそ、メールだったものの
密かに片想いしていた、美月から
まさかメールそんなメールが来るとは。
そんなこんなで、今は屋上に向かっている。
「ごめん、待ったー??」
約束の時刻より1分遅れて登場する。
正直格好をつけたかっただけだ。。。
「大丈夫。全然待ってなかったよ。
だから気にしないで?」
「そうなんだ。ありがとう。」
待ってない?ふむふむ。
30分も前から来ていたのに???
そうなんだ。とか、意地悪な事をしてみた。
「話ってなに?」
わざとらしくそう聞いてみた。
「あ、あの。一途君。私、一途君の事が好き
です。毎朝教室で私を見かけると『おはよう』って、声をかけてくれるところとか、私が教科書を忘れて困っていたら、さりげなく教科書を見せてくれたり、友達としゃべっている時のひまわりみたいに明るく笑っている顔とか、他の男子たちは掃除をサボっているのに1人だけ頑張っていたり、帰り道にいるワンちゃんといつも遊んであげているところとか、家に帰ったときちゃんと『ただいまぁ』って、言っているところとか、お風呂に入るとき、からだの洗う順番を決めているところとか、お湯に浸かると歌を歌い出すところとか。。。。」
以下略。
傾いていた太陽は完全に沈み、
2時間はたっただろうかと言うところで
告白は終了した。この世にうぶ声をあげて
17年と、ちょっと。
1度も告白されたことなどないけれど。
からだが僕に訴えかけてくる。。
こ れ は 異 常 だ 。。。
長期休みにはいる前の集会で毎年恒例
倒れる人続出の、年に数人死者が
いるんじゃないとかと思われるほどに
長いはなしをする、はge。。
じゃなかった!校長大先生が
かわいく見えてしまうぐらいだ。
あ、校長はかわいくないから!!!
などと考えていると、
「返事、すぐでないならまた明日でも
いいし、なんなら来年でもいいから?!」
と、不安げに訳のわからんことを
言ってきた。すでに、答えは出ていたので
少しも間を開けず、答えた。
「いや、嬉しくて固まっていたんだよ。
ごめんね?不安にさせて。こんな僕で
よかったら、これからよろしくね?」
そういうと、目に涙を浮かべながら
嬉しそうに頷いて走っていってしまった。
なんてかわいいんだろう。。
つづく。。ハズ