シンデレラ改め狩人
副題は不憫な魔法使い
一番困るのは誰でもない魔法使いだった
シンデレラ?の続編になります
家を出てはや一ヶ月、私は立派な狩人となっていた。家を建てることもなく木の根元で寝ては狩りというなんとも野性的な生活をしていた。
「以外と何とかなるもんだね、そう思わない魔法使い」
「そうだね、なんて賛同すると思った!お願いだから帰ってきてよシンデレラ、これじゃあ物語がめちゃくちゃだよ」
彼は魔法使いで本来なら私を舞踏会に連れて行く役目だったらしいが新しいシンデレラはかなりの人たらしだったらしく私が暮らしていた時よりも家族関係が円滑でなんと一緒に買い物にも行くらしい、それに魔法使いの仕事だったはずの舞踏会へ連れて行くという役目もシンデレラは家族と一緒に行くらしいのでお役御免となってしまったのだ
それよりも父親が死んでから赤字しか出さなかったクソ野郎どもの何処からそんなお金が出てくるかは疑問だが、今さら私には関係のないことだ
「いいじゃないか、家族関係が円滑ならみんなハッピーエンドを迎えられるだろ。そもそも主役なんてものは誰でもいいんだし」
「そんなことないからね、この物語は君が主役じゃなくちゃ成り立たないんだよ!」
こんなやり取りをするようになったのは約半月前のことで涙をボロボロとこぼしながら「帰ってきてよ~」と訪ねてきた彼を「豚小屋に帰るとつもりはないから」と追い返してからというもの毎日のように顔を出すようになった
正直毎日、泣いてくるので鬱陶しいことこの上ないが何からしらの食料を持ってくるので一応話は聞いている
「で、帰ったら私にどんなメリットがあるわけ」
「そりゃあ、玉の輿だよ」
「それ以外ないのかって聞いてんだよ、こっちは」
「それは…その…」
「話にならない、帰れ」
私はそう話を一方的に終わらせると魔法使いとホウキを一緒に近くの谷へとためらいなく落とす
初めての追い返し方だが多分魔法使いなら大丈夫だろう、一応魔法のホウキも一緒なのだから
さて、今日は何を狩ろう
優しい魔法使いが香辛料を持ってきてくれたし兎の丸焼きなんてどうだろうか、想像しただけでもヨダレが溢れてくる
そうと決まれば早速兎でも狩りに行こうか