episode5 疑う心
長々とお休みしてしまいスミマセンでした。
今回の話は宮越刑事が主にとなっております
少しずつですが明らかになっていきます。
今日は何だか可笑しな一日だった。
夜叉という奴にあり得ん話はされるわ
指から炎は出すわ…奴は本当に信じられるのか?爆発させた犯人は恐らくその五十嵐という奴に違いないだろうが、彼自体信用しても良いのか?
宮越は今になって夜叉の事を信じられないようになっていた。
急に”真実”とやらを訊かされ混乱していた…。あの時は”信じる”と謂ったものの本当に信じて良いのか彼は今になって冷静に思い始める。
『現場に着くな…』
愛車を停めると宮越は車から降り
先程まで夜叉が戦っていた現場へと足を運ぶ。現場は鑑識の連中や仲間で騒がしかった。
『宮越刑事!いったいこれは何なんです?普通じゃ有り得ないですよ?』
『そうだな順を追って話そうとしよう』
宮越は後輩である撫川という男に
その出来事を話した。
撫川は宮越から訊かされると顔色を変えた。
『署長から以前訊いたことが有ります。その研究所、署長がマークしている所です。
表向きは動物に関する研究をしているような保護施設となっているとか…しかし身寄りのない子供やホームレスが謎の失踪があったり
ひょっこり戻って来る事が四年前に何度も有りましたよね?あの施設が出来て暫くしてからです。最初は署長も僕達と同じく家出や自殺等々と考えて居ましたが、偶然見てしまったらしいです』
『何を?』
『ネームプレートに五十嵐とあった人物が小さい子供とホームレスを無理矢理連れて車へ乗り込む所です』
『しかし家族の誰かだと思うだろう?』
『いえ、そのホームレスは我々が何度か声をかけていた古真立さんだと…
不信に思った署長は自らの愛車で気付かれない様に尾行し、五十嵐の車は研究所の近くまで走行したそうなんですよ
署長はY路地で五十嵐の車を追うのをやめたと仰って居ました』
『そうか…ところで署長は人間と動物を合成させていることも知っているのか?』
『誰かを送り込んで情報を仕入れているみたいですからご存知のはずです』
『いつ頃から?』
『四年前です。尾行した日に手配したのでしょう』
『そうか…』
『詳しい話は署長本人から訊いた方が良いかも知れません』
『あー!そう謂えば君は署長の甥だったな』
『いつも見張られてますよ…』
撫川は苦笑いをしながらも
宮越と現場を見てまわる。
『しかし署長は何故黙って…?』
『…恐らくですが…』
宮越は撫川の言葉に目をまるくした…。
彼の話が一段落すると女性鑑識が小走りで宮越の元へやって来た。
プレートには永嶋美紗とある。
撫川は一礼すると焼けた建物へ入っていった。
『此を調べるのか?』
『はい』
鑑識から渡された物は腕時計のような物だ。夜叉の物では無いのは明らかだ…
横二㎝縦一㎝で左右にはとめるためのベルトがある。一体何のための物なのか…何処で造られているのか…。
『それともう一つ』
『ん?』
『此方です』
またもビニールに入れられた物が宮越へ出された。白い物…彼はペンライトを出すと光をあて、その物体を見直す。
所々小さな窪みがあり、血が付着している。
『歯?』
『はい。あ、それとこの事件の事は署長から訊いています』
『け…知らなかったのは俺とあのオタンコナスだけか…』
『いいえ』
『…?』
『知っているのは署内一部だけです。鑑識では私だけ。宮越刑事とそのオタンコナスさん…?は…近々署長から話が有るかと思います。…失礼します……それともう一つ今宮越刑事が保護している二人のうち男性が一人居ますよね?ずば抜けた体力の…』
永嶋はスマホを手にすると誰かからのメールを読み終えると再び宮越と向き合う。
『ああ…本当に信じても良いのか…今になって疑って居るよ』
『先程近々と謂いましたが今日中に連絡が有りそうです』
『何故?』
『たった今署長からメールでその彼と話をすると有ったので』
『何で俺じゃないんだ?』
『どうぞ』
永嶋は拗ねている宮越へ自分のスマホを渡し、メールを読ませる。
【此から保護している彼と話をする。まぁ、お前の事だ宮越と接触しているだろう。彼に伝えてくれ直ぐに署へ戻るように】とあった。
『電話でも何でもすればいいのに』
『あの人の携帯は発信ボタンが壊れているので同じ会社の携帯を使う私のスマホへ届けるんだと思いますよ?伝達に使われる身にもなって欲しいものだわ…』
永嶋はため息混じえ両手を参ったと顔の横へやると直ぐに両手は下ろされた。
宮越は一つ思い出した。署長と彼女が親子であることを。
『そうだったな…ま、頑張れ伝達係の鑑識さん』
『宮越刑事…』
宮越は永嶋の肩を軽く叩くと現場を後に
再び愛車へ乗り込むと署へと戻って行った。
『しかし身内だけに話をするなんて署長…ひでぇよ…と謂いたいがアレを訊いちゃな…』
ー恐らくですが…その尾行した日
実は友人の東川刑事と自らあの施設へ乗り込んだ事が一度だけあったんです…怪しまれず気づかれず施設の作業着を身に纏い中での会話や実験を目の当たりにしたんです。
そこでの実験はそんなに広くない診察室か手術室の様だったと訊いてます。
メスを握るかと思えばベットへ子供を寝かせ注射を一本…その時、東川さんと目があった白髪混じりの男が彼に"誰だ"と…気付かれてしまい
彼を銃で撃ったそうなんです。命は助かりましたが、撃たれた左肩は…きっとそれが原因で宮越刑事達へ謂えなかったのでしょう…一人を犠牲にしてしまったから…ー
『…全くだな…』
署へ戻った宮越は真っ直ぐ署長室へ向かった。ノックをすると彼の声で"入りなさい"と聞こえた。
ドアを開けると黒く立派なソファーに
夜叉と署長が向き合って座っていた。
夜叉は宮越を見る。
宮越もたま夜叉を見る。
『彼の隣へ』
『はい』
『今まで彼の生い立ちを訊いていたんだ。惨い話だよ…』
『そうなのか?』
宮越は夜叉へ問い掛けた。
その問の応えは初めて見せる彼の寂しい笑みにあった。
『…では…私の話を二人に訊いて貰おうか…』
署長は二人を真っ直ぐ見ると
四年前の出来事を話始めた…。
有り難う御座います。
次回は署長から何が起きているのか
宮越達が知らされる事になります。
そして夜叉は署長からあるものを渡されます…。
次回未定ですm(__)m