code:9 「自由」
あれから数日後の話―
トンとサムはトンの家でのんびりしていた。
「なぁ、サム。」
「どうしたよ、トン。いきなり深刻そうな顔して言うなよー。」
「最近さ、就職活動しているときによく面接で『あのニュースに出てた.....』とか『ビルを崩壊してまで怪人を倒した......』とか言ってくるわけだよ。」
「事実じゃん。俺も仕事場でよく、そんなこと言われるよ。」
「え、サムお前就職してたの!?ちょっと、俺やばくね.....?」
「うん。やばいよ。このままじゃずっと無職だよ。」
「あっちゃ~......世の中不平等や......」
突然、ドアのノック。
なんだろうと思い、トンがドアを開ける。
トンは後ろへ飛びのいた。
「お、大家さん、こんちわっす.....」
大家さんは領収書を持ってこっちに押しかけてきた。
[今月の家賃、まだかい?あと、アンタが開けた床の穴の修理費も]
サムはごめん、という顔をした。トンは困った。
そこへ、後ろからエンが現れた。
『ばあさん、ちょっとどいてはくれまいか?』
大家さんは驚いた。なんてったって、あのエンだからだ。
[あのスーパーヒーロー、エンさんがここに何の用ですの?]
『いやいや、こいつらとは仲がいいんでね。で、ばあさんこそ
何かこいつらに用が.....ん?領収書......』
トンとサムは顔を赤らめた。
『なんだ、そんな用事か。なら、ほい。これでいいだろ?』
ドスン 札束ドーン
「「!!?」」一同、驚いた。
『これで、12年くらいは持つだろ。な?』エンが得意そうに言った。
[......確かに徴収しました。むしろここのアパート買い占めれますわい。]
そう言うと、大家さんはどこかへいってしまった。
トンは何度もお礼を言った。
『なに、気にするな。前に怪人を2度も助けてくれたお礼だ、
むしろこっちが感謝せねばならないくらいだ。ははは!』
エンは、どっかりと地面に座った。
『この流れで申し訳ないんだけど、やっぱり俺らの同盟に
協力してはくれまいか?頼む!』
「「分かりました」」トンとサムは即答だった。
『トン、サム、君たちは自由主義だから、怪人が来る情報で動いてくれれば
それでいいから、な?よし、契約完了!!』
後日、手紙が書いてあった。大家からだ。
「そこの部屋と隣の部屋、エンさんのお金で『買った』ことにしました。
二人でお使いください。 大家」
エンには頭が上がらなくなった。サムは困惑した。
「俺、自分の家もう持ってるんだよなぁ......」
第九話です。
エンさんいい人。




