code:8 「協力」
サムは怪人の前に立つと、叫んだ。
「やーい、怪人やーい!お前なんか怖くないんだよーだ!
ただのデカブツだろーウェーイ!!」
『!? あんたたち......』エリーが唖然とする。
案の定、怪人トンフは挑発に乗ってきた。
[貴様ァ!この怪人トンフに挑発とは、許さん、許さん!!]
怪人は思いっきりサムを追いかけた。さっきより速い。
サムはトンの前に来ると、「あとは頼んだ。」と、手をクロスさせた。
怪人が飛びかかってくる。とっさに、サムは後ろのトンとバトンタッチ。
怪人がそのまま殴りかかってきた。
トンはその腕を空へ払いつつ、お腹に手を支えながら思いっきり
投げ飛ばす。
投げ飛ばすときに力をこめる。
投げ飛ばす方向は、下.......床である。
轟音とともに、床が崩れ落ちる。怪人は背中を強打し、そのまま下へ、
下へ、下へ、下へ、..........。
落ちていく二人。トンはサムの背中に乗る。
「思ったけど、これって普通の人じゃ無理だよね。」サムがため息をつく。
「お前の耐久を一番知ってるから、こうしてるんだ」とトン。
崩壊していくビル。
逃げまとう傍観者。
ボロボロになりながらピンピンしているサムと、
何事もなかったように歩くトン。
空中から声がする。
『......イミワカンナイ』エリーの声だった。
上を見上げると、そこには宙に浮いたエリーとエンがいた。
どんどん下に下りていく。着地。
『君たち、恐ろしいわ......本当に。』エリーが青ざめる。
「普通......じゃないことはもう分かってるさ。ははは.....」と、
トンとサムは一緒に笑う。
『ねえ、君たちも一緒に怪人を討伐しない?』エリーが聞く。
「暇だったらね。なぁ?サム」とトン。
「俺はいつでも暇だよ。でも、ひとつ嫌なことがあってね。」
サムは空を向くと、つぶやいた。
「何かに縛られるより、自由気ままなほうが俺らに合ってる気がするんだ。」




