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孤児院へ向かう少女



「魔力回路を細くすれば小型化も省エネ化もできそう。だけど、そうなると周辺魔力の影響で誤動作も増えるしなぁ…魔力遮断用の機構考えないと」


 少女は”鉛筆”を片手に、茶色のメモ用紙とクリップボードにちらちらと目を落としつつ、目的地へと歩を進めている。大通りは人は多いが、それを見越してかなり広く、気もそぞろに歩いていても滅多なことで他人とぶつかる事は無い。


 目下、考え中なのは護符の技術を応用した制御機構だ。ただ、少女の受け継いだ記憶には弱電系の基礎ハードウェア自体への深い知識は無い。そう言った部分を気にしないで済む程の高度な制御演算機構とライブラリが既にあり、そこへのアプローチや全体をデザインする研究をしていたからだ。


「…お父さんにもっと、モーターとか回路とか、教えて貰えばよかったな」


 思い出すのは、縁側で二人並んで組み立てていた、ホビー用の二足歩行ロボットの姿だ。一度組み上げた後、好みの形にしようとプロポーションを変え、それでバランスが崩れたため制御用プログラムの変更や自作部品の追加など、まるで魔法のように道筋が見えていたかのように、かつての父はロボットを組んでは直していた。


 …結局、父の手でそれは完成する事は無く、少女は残されたそれを完成させたいが為に大学でロボット工学を学び、道半ばで生涯を閉じた。


 心残りは、比較的交友のあった親戚の家に居た、甥っ子へあげる予定であったそのロボット。ブンドドで遊ぶまだ小さな甥っ子の前で、まだ未完成であったそれがファイティングポーズを取ったり、バク転をしたり、手に持たせた剣を振らせる…実に苦心した自慢のモーションだ…など、甥っ子にとって見知らぬオンナからロボを自在に操るハカセになったきっかけだ。


 少々やんちゃな甥っ子が真面目になった事もあり、中学生への進学祝いにと考えていた。


「あのネジを締めれば完成だったんだけどな」



 少し鬱の入った気分を変えようと、手にしていたクリップボードと鉛筆を鞄の中に入れる。大通りだけに人の往来は多く、道端の店は繁盛している。


「母さんのお勧めで来たけど、こっちの大陸って元気だよね」


 賢人族、妖精族、獣人族、鬼人族、小人族…、人族は確かに多いが目に入る範囲の半分以上はそれ以外の種族だ。希少種は流石に居ないが、安定を望んで古き大陸に骨を埋めるか、入植と開拓が始まってまだ二百年も経っていない新しい大陸で一旗揚げるか、新しい大陸の開拓に夢を見るのはどの種族も一緒と少女の母は苦笑していた。


 人種もそうだが、様々な身なりの者達が大通りを行き交う。通常の居住区に近いものの、普通の出で立ちの者達に混ざり、武装を身につけた傭兵や探索者らしき者達、何かやらかしたのか街の衛士に小突かれながらうなだれて歩く男達と、多種多様な人種や職業や境遇の者達が居る。


(ふふ、そこまでは多くないけど、まるでどこかの西館方面へいく通路みたい)


 派手だったり地味だったり、出で立ちや人種の雑多さ、その割に秩序が保たれている不思議な光景に、この世界では極一部を除いて共感はされないであろう感想を心の中で述べた。

かなり短め。火口要素ねぇww

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