料理部部長と渡瀬くん
神様・・・・贅沢はいいません。どうか、どうか!!憐れな子羊に平和で心安らかなる日々をください!
「よぉ!料理部部長♪」
「ヒィ〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!」
朝の教室に私の悲鳴が響き渡り一瞬、教室中の視線が恐怖に固まる私とその私の頭を笑顔でわしづかみにしている男子生徒に集中する。
だ、誰か助けて!
目で訴えた救難信号は逸らされかわされ頭を振られと事ごとく拒否された。
皆、酷いです!見捨てないでください!
「オイコラ。俺を前にして考える事とはいい度胸だな〜〜〜」
お前いつからそんなに偉くなった?と耳元で脅され私の目は決壊寸前ですよ!
「まったく。お前は本当に可愛いなぁ〜〜♪」
「にゃぁァ!!イタッ!頭、力入れすぎ・・・・イタタタタ!!!!!」
わしづかみにされた頭から割れるような痛みがぁ!
「痛い!痛い!やめてください〜〜〜〜〜!」
「やめてほしかったらホレ。」
にこやかに差し出された魔王の手に涙目で鞄に入れておいた大量のクッキー入りの特大袋を供物として渡した。その途端に頭の痛みは無くなり視線の先にはうれしそうクッキーを食べる渡瀬くん。
「うん!旨い!いや〜料理部部長はさすがの腕前だな」
褒められてもうれしくない。しかもそのクッキーは半分以上渡瀬くんに脅されて作ったようなものだし。 恨みがましく睨んだら笑顔で頬を引っ張られた。
うぇ〜〜〜〜ん!
我が校の料理部唯一の部員兼部長である私と食べ物に釣られてチョッカイをだし続ける渡瀬くん。
入学して半年。私の悲鳴が響かない日はない。