集めろ柴犬
名前を借りました
柴犬の生首が出ます。念の為。
私、イシスは聖女だったが、偽物聖女と言われて王都を追放された。
黒髪に黒目で、大人しい性格、男爵令嬢という低い身分。地味なのが、婚約者のアモン王子は気に入らなかったようで、美人な公爵令嬢ハトホルを新しい聖女にして、私を婚約破棄したのだ。
私は、聖女だからとアモン王子との婚約を押し付けられた。
だから、婚約破棄されても痛くもない。
それに、アモン王子は顔と身分しか取り柄がない。
頭はお花畑。
婚約者を大切にしない。
そもそも婚約者が嫌だから浮気するとか、人間終わってる。
そんなに嫌なら、何が何でも婚約を解消してもらえるように行動すれば良いだけなのに。
そんな考えが頭に浮かばない。残念な人だ。
王命の婚約だからね…無事では済まないんじゃないかな〜知らんけど。
それに。
私は神殿で、沢山の怪我人や病人を癒してきた。
公爵令嬢は、貴族の偉い人で、怪我が軽いとか、病気が軽い人しか癒さない。というか、力が弱いから癒せない。
私がいなくなったら困るのはこの国の民なんだけどね。知らんけど。
アモン王子が、追放しちゃったからね。仕方ないね。知らんけど。
私は、王都を出てテクテク歩いていた。
どこに行こうかな?
王都から、うんと離れた所に…隣の国でもいっか。
アモン王子はともかく、国王が、癒しの力が強い私を追い掛けてくる可能性もある。知らんけど。
国境の森に入った。
野宿しながら、森の奥に進む。
森の中に、とんでもなく大きな木があった。
大きな木の下で、休憩をした。
「おい!娘!」
どこからか、声がした。
見ると、木からはみ出た柴犬の頭があった。
頭だけ。黒柴の頭。
「…なんで木から生えてるんです?」
私は聞いてみた。
「分裂して封印されてる」
柴犬が答えた。
分裂?
封印?
「何したの柴犬?」
「女神の大事なぬいぐるみを噛みちぎった」
ぬいぐるみを噛みちぎった?
「柴犬〜!?」
「女神はそれはもうご立腹で」
女神様ご立腹。
「女神さま〜!?」
そんなに大事なぬいぐるみだったの?
「女神はその時、幼女だったから仕方ないのだ」
幼女の女神とは?
「幼女!?」
「あれから500年」
「500年も封印されてるの!?」
ツッコミ所が多すぎる。
「やっと女神と波長の合う巫女がやってきたってわけ(ドヤ顔)」
「ドヤ顔すんな!」
ん?女神と波長の合う巫女?
「女神と波長の合う巫女って、私の事ですか?」
「そうだ」
「…何をすれば良いんですか?」
「我の全身を見付けて元通りの身体にしろ」
女神に分裂させられたのに、元通りになるの?
「私にそんな事できるんですか?」
「女神と波長が合うお前にしかできない」
何か詐欺師が言いそうなセリフだなぁ…
「まずは、この頭の封印を解け」
柴犬が言った。
「封印ってどうやって解くんですか?」
「手を我にかざせ。そして封印解けろと念じろ」
「分かりました」
とりあえず、柴犬頭に近付いた。
「頭が先に見付かって良かった」
柴犬が呟いた。
「他の部分は喋れないんですか?」
「片足だけでも喋れないわけではないが…」
想像してみた。
喋る犬の片足。
「犬の片足が喋ったら怖いわ!」
「だろう?」
「だろう…じゃないよ…」
「というわけで、封印を解け」
「というわけで…じゃないよ!」
ツッコミを入れつつ、言われた通りに柴犬頭に手をかざし
「封印解けろ」と心の中で思った。
柴犬が光った。
封印は解けたようだ。
目の前に、柴犬の頭だけが浮かんでいる。
「柴犬の生首〜」
これは…いくら可愛い柴犬でも、生首なのはどうなのだろう…
浮かんでいる生首が言った。
「早くボディと足と尻尾を探せ」
「命令?しかも、そんなに分かれてるの!?」
「封印を解けるのはお前だけだ」
「そんなぁ」
「集めろ」
仕方ない。
「名前は何ていうんですか?」
「オシリスだ」
「じゃ、行こうか…オシリス」
「そうだな」
そんなこんなで、柴犬を集める旅(?)が始まったのだった。
現在集まっている部位
頭
残りの部位
ボディ
右前足
左前足
右後ろ足
左後ろ足
尻尾
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