瓶ラムネってすごい
お祭りでももんじゃ焼きの話でも登場した瓶ラムネ。
今はキャップ部分がプラスチックだけど、昔はすべてガラスで作られていた、っていうのは知ってる人も多いと思う。
中にビー玉を入れた状態で瓶部分を成形できるのってすごい技術。一歩加減を間違えれば、熱でビー玉まで溶けてくっついちゃうのに。
空気さえ漏らさない密封。どれだけの精度で球体と円を作れたというのか……。
そんなガラスだけで成形する技術を持った工場も、今はもう一軒もない。
最後の一軒が閉鎖したって話がニュースになったときに、その工場の情報を見てみたの。
そしたらなんと、実家のすぐ近く。――というかわりと頻繁に横を通ってる建物だった。
何かの製造工場だとは知ってたけど、まさかオールガラス製ラムネ瓶の唯一の生き残り工場だったとはね……。
まあ、閉じる寸前までオールガラスを貫いてたのか、作れる技術があるってだけだったのかはわからないけど。
すごい偶然だよね。搬入搬出のためか入口はいつも開いてたし、もっと中をのぞき込んでおけばよかった。
そんなラムネ瓶、改めて考えると本当によく考えられたデザインだなーと感心してしまう。
炭酸に栓をするのって結構難しい。炭酸の内部気圧で弾き飛ばされちゃうから。
シャンパンとかは、コルク栓が外れないように上からワイヤーで固定してあったりするでしょ?
対してラムネは、『中に』栓があることで決して弾き飛ばされない構造。
その昔、テレビでラムネの封入工程を見たことがある。
ビー玉が落ちてる状態の瓶にラムネを注いだら、そのまま勢いよくひっくり返すの。
そうすると重力でビー玉が飲み口の位置まで落ちたあと、炭酸の膨張によって内部からググッと圧されて、ビー玉がピッタリ固定される。
中に炭酸がある限り振っても逆さにしても膨張でハマりがきつくなるだけで、決して栓は開かない。
すごいアイディアだよね。
そして内部に栓があるということは、そのままだと飲むときに栓が落ちて飲み口を塞いでしまう。
だからあの『くぼみ』!
上部側面にある二本指でつまんだようなあのくぼみは、飲むときにビー玉を引っかけておくためのもの。これ、昔はほとんど知られてなかったけど、最近だと結構広まってるみたい。
そしてあの独特のくびれたフォルム。
胴体中央がくびれていることで、栓を開けたときにビー玉がくびれに引っかかって中腹にとどまる。
これもよく考えられてる。
瓶の口を開けたときにビー玉が一気に底に落下したら、たぶん強くぶつかって底にヒビが入ったりしちゃうと思うんだ。
それを勢いがつきすぎない中腹でキャッチすることで防いでいる、と。
遊び心にあふれた独特な形状としか思ってなかったけど、考えれば考えるほどしっかりと考え抜かれた機能美フォルム……!
※ちなみに『ラムネ』は『レモン』がなまった(?)もので、レモン味のソーダのことです。でもレモン味ソーダ飲んで、ラムネ味に感じるかなぁ……?
オールガラス製のラムネ瓶は、ビー玉を取り出すために子どもたちが割っちゃってたせいで、もうあんまり現存していないらしい。
自分はおそらく実際に飲んだことない。無念。
逆に最近のラムネ瓶は、プラスチックのスクリューキャップを外すだけでビー玉が取れるから手軽でいいね。
そして子どもたちが嬉々としてキャップを外すと何が起こるか……。
――ゴミの分別が完了するのです!!!
すごい!
なんにも調べず自分のなかにある記憶だけで書いてるので、『それは諸説あるうちの一つだよ』みたいな内容もあるかもしれません。
まぁでも、真実の情報を求める人はエッセイになんて頼らないよね!