ワッショイといえば
まさか前回のシメが伏線だったとはね……!?
そう、ワッショイで思い出したんだけど、自分の地元はお江戸下町。上野浅草まで自転車で行けちゃうようなお祭り過密地帯だった。
『どんぶり』って、聞いたことない人も多いんじゃないかな。お祭りの時に着る黒いサロペットみたいな見た目の服。
実際には前掛けとズボンなんだけどね、人力車のお兄さんが着てるやつ、って言うとイメージしやすいかもしれない。
そのどんぶりを着た幼少期の写真が実家にいっぱいある。
子どもたちが綱持って引く山車の上に乗って、太鼓叩いたりしたのは覚えてる。
あれは誰でも乗って叩けるんだよ、順番こでね。
ドーンドーン、カッカッカッ!
ドドドーン、カッカッ!
って一定のリズム、意外と覚えてるもんだ。
途中途中で休憩が挟まって、そのたびに子どもたちにお菓子が配られる。
お菓子配ってるところに出くわすと「間に合ったー!」とか言いながら列に加わって、金のガチョウ形式で子どもたちが増えていく(笑)
終着点ではちょっと豪華にお菓子の詰め合わせなんかが貰えたりするもんで、みんな最後までがんばるんだ。
もちろんそんな地域だから、自治会主催のお祭りも、商店街の縁日も、盆踊りだってあった。
夏場は毎週のようにどこかしらで何かがやってる感じ。隅田川の花火大会も親戚の家の屋上から見てた。
お祭りといえば楽しい思い出がいっぱいで――だからだろうね。
自分は必要に迫られても行き渋るくらいものすごーーーーくインドアなんだけど、花火や祭り囃子の音が聞こえたときだけはブワッと血が騒ぐ。
近場でやってるとわかれば即駆けつけるよ。
……でもね、地元を離れた途端、お祭りが『観光目的でわざわざ電車に乗って向かうもの』になった。
近場では全然やってない。
地域の催しがあっても、ステージでの習いごと発表会、みたいな側面が強くて屋台なんてないの。
脱祭症状進行中。
懐かしいなぁ。
じゃんけんで勝つと2本貰えたチョコバナナ。
ルーレットで枚数が決まるソースせんべいの、トランプみたいに広げたせんべいに刷毛で一直線に塗られるだけの足りないソース。今はなき真っ赤な梅ジャム。
ハッカパイプも好きだった。笛を吸うと粉末状のハッカ飴が出てくるの。話聞くだけでむせそうでしょ。もちろんむせる。
現存してるのかな?とんと見かけない。
謎に欲しくなるでっかい飴玉。表面のザラメで口の中傷だらけになるやつ。
瓶のラムネはもちろん、ビー玉を取り出すところまでがセット。
中身を出した途端に価値が失われる、キャラクター袋に入った綿あめ。
あんず飴であんずが売られてるのを見たことがない。関東はすもも飴。大好きだった。あんず飴の一大勢力に圧されてか、りんご飴は屋台を見た記憶さえない。
ヨーヨーつり、わなげ、カタヌキは途中で諦めて食べる。
スーパーボールすくいのモナカですくうやつ、あれは知ってる人いるんだろうか。割り箸の先に洗濯バサミをくくりつけ、そこにモナカの皮を挟んでオタマみたいな形になってるの。
そんなん一瞬で割れるでしょ、って思うじゃん。その通り、一瞬で割れるよね。すくえやしない。「すくえなくても3個は貰える」みたいな救済措置で好きな柄を選ぶのもまたよし。
縁日のたびに金魚すくいをするもんだから、家の水槽にどんどん金魚が増えていってた。結局お世話をするのは父だけ。出目金はなんか怖くて狙わない。
目の前で見事に作り上げられていく飴細工の屋台は、浅草近辺ならではのものだったんだと最近知った。もう地元でも見かけなくなっちゃったけど。
ペガサスを作ってもらったのを覚えてる。カンガルーもあったかもしれない。なんでカンガルーなんだろう、幼少期の自分よ。
舐めかけで袋をかけた状態で、リビングのペン立てにずっと置かれていた記憶。飴細工は味が単調だし大きいしで、舐めきれるものじゃない。作る工程を見るために買うようなもの。
親も舐めきれないのをわかってて買ってくれるんだから、やっぱり作るのを見たかったんだろう。
定番のかき氷とか焼きそばとかはほとんど買ったことがない。
じゃがバターは大好き。大人になってから出会った『素揚げしてあるじゃがいも』を使ったじゃがバターはパリパリの皮が絶品だった。食べながらカップの端に溜まっていく、バターでぐずぐずになった破片が大好物。
父はよくベビーカステラを買ってたな。味はそこそこなんだけど、コロンとした形が可愛くてつまんでた。お祭りのもとで食べればなんだって3割増しで美味しくなる。
電車で向かうお祭りはなんか、『自分のお祭り』ではないんだよね。人様のお祭りに混ぜてもらってるよそ者感。
お祭りがあんなに楽しかったのも、子どもだったからなんだろうか……。
夏の熱気をさらに熱く追い蒸すような、地元のお祭りが懐かしい。
そういえば神輿を担いだことはないなぁ。