僕はキミの細胞に入り込んで、キミの角度から世界を知る!
僕はキミの細胞に入り込んで、キミの角度から世界を知る!
僕にはずっと好きな女の子が居る!
でも僕は勇気がないから、彼女に告白する事も出来ないでいる。
そんな彼女の身体の中に僕は入り込む事ができたんだ!
・・・僕には、”博士”という友人が居て。
その友人に、僕を細胞まで小さくしてもらい彼女の身体の中に入り
込む事に成功した。
『“ねえ、博士? 本当に大丈夫なの?”』
『勿論だ、ジューク! 必ず上手くいくよ、何の問題もない!』
『博士の事は信じているけど、少し怖いよ。』
『“そうだな! これは人類で初めての事だしな!”』
『僕が彼女を絶対に守る!』
『ジューク! 元に戻りたい時は青の薬だ! 必ず飲むんだぞ!
タイムリミットは1週間! それ以上はお前の体がもたないんだ、
1週間を超えたら、お前は元の体には戻れないかもしれない、必ず
ワタシとの約束を守るんだぞ、いいな! それから今から飲むのが
赤の薬だ! サナの近くに近づいてから、サナの体に入り込むんだ!』
『あぁ、分かってる! さあ、早速始めよう!』
『そうだな! ワタシがサナに話しかけるから、その間にジュークは
サナの体の中に入れ!』
『うん、分かったよ博士!』
『よし!』
*
博士は、サナに偶然を装ってさりげなく話しかけてくれた。
僕は博士の肩からサナの鼻の穴から入り込む!
『やあ、サナ!』
『あら? 博士じゃない! ジュークは一緒じゃないの?』
『・・・ジュ、ジュークは、今は別の所に居るよ。』
【ハ、ハックション!】
『・・・きゅ、急に、どうした?』
『鼻に何か入ったのかな? 急にくすぐったくなったわ!』
『サナ、大丈夫かい?』
『大丈夫よ! じゃあ、またね博士!』
『あぁ、またなサナ!』
僕は博士に予め言われた通り、サナの鼻の穴から脳まで這い上がり、
サナの脳では何を考え思い、サナの思考を見れる場所に辿り着く!
【ココが、サナの指令本部になる脳の中心部か?】
【サナと一緒で、キレイな場所だな。】
【早速、サナの考えを見てみよう。】
【前から、ベンが来たぞ!】
【・・・うーん? サナはベンが少し苦手なのか?】
【出来るだけ話しかけてほしくない態度を取ってるな。】
『やあ、サナ!』
『・・・あぁ、ベン、』
『今日は、一人かい?』
『いえ、今からジュークと会うの!』
『へーえ、ジュークとかい?』
『そうよ、じゃあバイバイ!』
『あぁ、バイバイまたな!』
『・・・えぇ!』
【おいおい? 僕と会う約束なんてしてないよなサナ?】
【でも知らなかった、まさか? サナがベンの事が苦手だったなんて。】
【ゲッ!? 今度は前からレンが来たぞ!】
【嘘だよな、サナ? 何顔が真っ赤になってるよ。】
【急に色気づいて、そんなに前髪を気にしないだろう?】
【サナは、レンが好きなのか?】
『ハーイ、サナ!』
『ハーイ、レン。』
『相変わらず、キレイだね!』
『もぉ~またそうやって私を揶揄わないでよ~!』
『俺の本当の気持ちだよ、サナは美しい!』
『・・・レン。』
『ごめんね、今日は急いでるからこれで! じゃあまたね、サナ!』
『えぇ、またねレン!』
【なんだよ、デレデレして、サナどうしちゃったの?】
【レンだけはやめとけって! アイツは女の子なら誰でもああ言って
るんだよ、サナなら分かるよね?】
【・・・サ、サナ、】
*
僕はこうやって6日間が過ぎた、明日には僕は元に戻らなくては
いけない!
サナの気持ちがまだ分からないよ。
でも? 6日目の今日は少しいつもと違った!
サナの細胞がなんだかおかしい、、、!?
もしかしたら? ”サナの細胞にくっついているこの黒い塊は、【腫瘍か?】
癌細胞がサナの細胞に攻撃をしている!? 僕がサナを守らなくちゃ!”
僕は一つ一つサナの体にくっついて癌細胞をやっつけてやった!
それは1日かけてサナの癌細胞を僕は攻撃して退治したから、
もうぐったりだよ! そして遂に、1週間過ぎた。
僕は青い薬を飲んで、元に戻ったんだ!
『おかえり、ジューク! サナの事はよく分かったか?』
『ただいま! まあ、少しは分かったと思うよ。』
『サナはこれでジュークの事を好きになると思うか?』
『さあ、それは僕にも分からないな。』
『ジューク! サナの思考を見てきたんじゃないのか?』
『“それが、サナに癌細胞があって、僕はその癌細胞をやっつけていた
から、あんまり最後の方は見てないんだ!”』
『・・・サ、サナが、癌?』
『もう大丈夫だよ、僕がサナの癌細胞を全てやっつけたからね!』
『そうか、良かった!』
『結局、サナの心の中は何も分からなかったよ。』
『・・・まあ、それで良かったんじゃないのか。』
『えぇ!? どう言う事?』
『“知らない方がいいコトもあるという事だ!”』
『・・・うーん、そうだね。』
『あぁ!』
僕は結局、サナが誰を本当に好きなのかまでは分からなかった。
でもきっとサナは、レンの事が好きなのだろう。
凄くレンの前だと、サナは照れていたし、、、!
ただ僕は今の体で、サナに会えている事が嬉しかった。
サナの体の中ではなく、サナの見ている目の前に僕が居る事が嬉しい!
『ジューク! 何処に行っていたの?』
『えぇ!? 別に、何処にも、』
『ずっとジュークを探していたのよ、それになんだか今の私は不思議な
気持ちでいっぱいなの!』
『・・・うーん?』
『ジュークが私の体の中で、私の悪いトコロを攻撃している夢を見たの!』
『えぇ!?』
『私の為に戦ってくれているジュークを夢の中の私は好きになっていて、
なんだか不思議よね。』
『・・・あぁ、ううん、』
『それに少し体調が悪くて、病院で診てもらったら? 私は癌細胞に侵され
ていたらしく、次に診てもらったら? その癌細胞は全て無くなっていたら
しいの! 夢で見たジュークが私の癌細胞をやっつけてくれていたように!
もしかして、ジュークが私の癌細胞をやっつけてくれたの?』
『・・・えぇ!? ま、まさか?』
『そうよね、そんなはずがある訳ないわよね!』
『・・・あぁ、ううん、』
『ごめんね、変な事言って、、、!』
『別にいいよ。』
『“でも、ありがとう。”』
『えぇ!? あぁ、ううん、』
なにしろ! ”サナが元気で居てくれる事が僕は嬉しいんだ!”
サナの笑顔を守る事が僕の今の使命だと思っている。
これからも僕はサナを守るよ! 僕がサナを守るから!
最後まで読んでいただいてありがとうございます。