表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
8/30

ーー七天罰倒ーー

 神殺樹。それは神すらも殺すと言われる伝説の樹。

 世界の観測者ダルヘイムが苦悩する時、必ず現れる彼女ーー運命の七連星、録星のヘルヘイム。

 だが、ダルヘイムは運命の存在を知らない。

 三大星に仕えし四星は、運命を教えることなく、ただ導くだけの存在だからだ。

 「これもまた運命の導き......」


 ヘルヘイムは虚ろな目で遠くを見つめながら呟く。


 かつて七連星は神であった。


 北斗七星――変わることなき神の基軸にして、変わることなき神性。

 その光は人を導く星でもある。


 (どうしてこうなってしまったのでしょうね......)


 世界の始まりと終焉を知るはずの彼女ですら、この答えだけは知り得ない。


 (かつて、神は人に近かったというのに......)


 脳裏に浮かぶのは、壊滅した運命の七連星だけ。

 誰と戦い、何に敗れたのか、己の役割や使命もわからない。


 「これが呪いなのでしょうか......」


 大切なことだけを知り得ない。

 それは世界の観測者ダルヘイムも同じだ。


 「悲しいものですね......今なら、彼の気持ちも心から分かるかもしれません......」


 観測者と全てを知る者――立場こそ違えど、その根底にある「世界を知りたい」という気持ちは同じだろう。


 深まりゆく霧が覆う陸の孤島(ホワイト・アース)


 それは苦悩する二人の心情を映し出しているようだった。


 ーー場面は変わり、神殺樹の木の下へーー


 「よいしょっと......こんなもんかな.......」


 セウォルツは神殺樹の実をありったけ鞄に詰め込む。


 (お肉に山菜を少しだけ、あとは木の実をたっぷりと♪)


 神殺樹の枝で作った鞄を肩に掛け、樹に別れを告げた。


 「樹々(じゅじゅ)〜! またね~!」


 愛称で呼びかけると、セウォルツは北へ向けて走り出す。


 (あの方角から、あの子は来たよね♪)


 頭の中にあるのは、ただひとりの男の子のことだけ。

 眠れる森を疾走し続ける。


 ーー場面は再び、陸の孤島へーー


 「ヘルヘイム! まずい! 神堕ち人(カミオチビト)が一斉に移動している! ヘルヘイム?」


 (さっきまでここにいたはずなのに......一体どこへ?)


 陸の孤島(ホワイト・アース)は霧に包まれた孤立の大地。

 焦れば焦るほど霧は深まり、探索は遅れるばかり。


 (冷静にならないと......)


 ダルヘイムは平静を取り戻そうとするが、思うようにいかない。


 神堕ち人の離脱感と興奮の繰り返し、一斉の大移動。 


 (セウォルツ......君はやっぱり恋をしているのか 森を離れるほどに......)


 幾つもの体を操るダルヘイムは考える。


 (分身は増やせるけど、増やしすぎると集中が散る......)


 神堕ち人の回収に追われる間、犠牲者は増え続ける。


 「もうダメかも......」


 覚悟を決めたその時、ダルヘイムの処理能力が急激に向上した。


 ーー智者の探求(クレバー・クエスト)ーー


 ――ヘルヘイムの固有能力 指定された者に作用し、情報処理をすればするほど処理能力が指数関数的に増加する――


 (普通の人なら壊れるけど......あの人なら問題ないでしょうね)


 ヘルヘイムは一瞬で神殺樹の元へワープした。


 「まったく......城を空っぽにするなんて、呆れた姫様だわ......」


 セウォルツの代わりに神殺樹を守る彼女は、密かに呟く。

 (あの子は知らないんでしょうけど......あの樹は貴方と同体なのよ)

 眠れる森の姫は征く。

 森を抜けたその先には街が広がる。

 眠れる姫の暴走は止まることを知らない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ