表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

掌ですくいあげた物語15 ~ひとり劇場~

作者: タンザン

今日は朝からラーメンの口になっていた

昼を待ってそそくさと 気に入っているラーメン屋さんへ急いだ


ところがどうだ 

店の入り口には 《臨時休業》の貼り紙


「どういうことだよ!」 こころの中で叫ぶ

「なにかやろうとすると いつもこうなんだ!」

貼り紙を破り捨てたい衝動に駆られた


積み重ねてきた自分の不運を一気に掻き集めた怒りと嘆き


見えないアッパーカットやボディブローを自分に向けてくり出し 

もういちど貼り紙を確認すると ため息が出た


別にここのラーメンじゃなくてもイイや と ひとり大物ぶりを演じて 立ち去った 

コンビニでカップラーメンとおにぎりを買って食べる


臨時休業になっている ただそれだけの現実

これはぼくの ひとり激情


     *  *  *


翌日 いつものコンビニへ朝の缶コーヒーを買いに寄ったら

レジにいっぱいの人が並んでいたので 店内には入らず 

先に銀行へ行って 家賃を振り込むことにした


2台あるATMには 誰もいなかった

家賃を振り込み ATMを離れて うしろをふり返ったら

5人も並んで待っていた


ふたたびコンビニへ行く

レジには もう誰もいなくなっていた

缶コーヒーを持ってレジの前へ

すぐに精算は終わり 店を出た


今日は何かいいことありそうだ 

ああ空が青い

なぜかこころが軽かった


ふと歩く足が止まって・・・笑いが込み上げてきた


こんなにどうでもいいことが ラッキーだとよろこべるほど

思いどおりにいかない現実を こんなにも深く 

選び取っていたんだってことに 気がついた


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ