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あの子

作者: 雉白書屋

 私にはどうしても忘れられない親友がいた。仲違いしてもう三年になる。

 ほんの些細な勘違いから始まったその擦れ違いは、断層のように私たちを隔て

気づいた時には、もう修復不可能。

胸に刺さった棘は黒ずみ、顔を思い出すだけで酷く痛む。

 でも……よせばいいと思うのに私は今日も彼女のSNSを覗いている。


『今日は友達と買い物!』

『今日の服はこんな感じ!』

『ランチ! 太る!』

『電車! 隣にカッコいい人! 何かあったりしたりして』

『これ買ったった』

『200円で獲れたわ』

『ねむねむ』


 彼女の髪型。彼女の服を真似し、外に出る。

もし会えたらなんて思ったりなんかしたりして。

そうしたら二人で笑い合うの。双子みたいだってね。


『いい天気やん!』

『やば、今日知り合い見かけた。見られたかな』

『髪伸びるの早すぎて笑ける』

『人生、振り返ると泣ける』

『匂いフェチフェチ』


 彼女が行っていた店に足を運び、写真を撮ったりして。

また会いたいなって思ったりして涙ぐんで。


『もっと一緒に過ごせばよかった……』

『ライブ参戦! 最近推し活しんどかったり』

『限定品無事ゲット!』


 彼女が好きなものを追ったり。

時々、好みが合わなくてしんどくなるけど、でもやっぱりどこか満たされたり。


『ぽじてぃぶが大事』

『たんぽぽあったわ。育てたい!』

『これはいらないけどなぁ』

『匂いフェチだなぁ』

『非常にねむい』

『これ買ったったわ』

『やば』



『あの時はごめんね。大好きだよ』


 コメントを見て、これ、私が書いたってバレたりしてなんてドキドキして。



『かわいいいぃぃ』

『今度あそぼうよ』

『どこ住み? 近い? こんどご飯いこ』

『やめて、あなた誰なんですか? 娘のまねしないで! おねがい!』

『ぜったいブスでしょ』

『顔全然写さないのな笑』


 よせばいいのに。よせばいいのに。

 あの子は私と今日もまだ生きている。

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